春はハイゲージが合う

BERUNです。

15~20度。
最もおしゃれを愉しめる気温ではないでしょうか。
おしゃれが育ったヨーロッパでは、夏でも30度を超える日は数えられるほどです。
人が生活する上では適度な湿度で、365日快適におしゃれをできます。

季節のことを春夏秋冬と言いますが、日本では2010年以降からは、春夏”盛夏”秋冬と入れなければいけないほど、7,8月は生活するのが困難な気候になってきました。

今がアパレルの閑散期ではありますが、感度の高い人は2,3月でもう春夏物を手にしていると思います。
なぜなら”西洋の夏”は”日本の春”なので、春夏のおしゃれを愉しむなら早いほうがいいのです。

2月までは(※)ミドルゲージのニットにツイードを合わせますが、暖かくなってくるこの時期に活躍するニットはやはりハイゲージでしょう。

(※)ゲージとは糸の太さのことで、ローゲージは糸の太いニットのことです。ハイゲージは糸の細いニットのことをさします

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こちらは3年前にミラノで購入したCruciani(クルチアーニ)のニット。
カシミア70%/シルク30%の極上の着心地です。
薄い絶妙なラベンダーカラーも今の時期にハマります。

もうこれ以上の素材の配合のバランスはないのではないか、というほどの肌触りのよさです。

話は変わりますが、先日約10年ぶりに地元の同窓生と再会しました。

彼は都内の最高級フレンチでトップのパティシエとして研鑽を積んでおり、来年にはフランスへ修行にいくそうです。

そんな彼に、東京で必ず押さえておいてほしいパティシエを3店舗教えてもらいました。

しかも、数あるメニューの中でおススメの品物は”これ”と決まっています。

生粋のスイーツ男子の血が騒ぎ、さっそく翌日には全店舗制覇したのはいうまでもありません。

そんな彼が豪語するメニューですが、どれも一筋縄ではいかない(ただ美味い!と言えない)味の深さで、プロが選ぶプロの作品とはこういうものかと舌鼓を打っていました。

彼は口うるさく、「これは一つのケーキの完成形だ」という言い方をしていました。

その言葉を借りるのなら、エルメスなど多くのブランドが使う「カシミア/シルク」の配合は、一つの素材の完成形なのだと思います。

今年に入ってから少しずつ心境の変化もあり、最近は洗練されたものに目がいくようになりました。無骨な職人のものづくりは変わらず好きですが、今は繊細さの”美”に興味のベクトルが向いています。

ラギッド(無骨な、ごつごつした)なものとラグジュアリーなものを、どちらも知るということはとてもいいことだと思います。

数あるブランドのなかでもラルフローレンは、唯一どちらのベクトルでも成功しているブランドではないでしょうか。

「DDL(ダブルアールエル)」というアメリカンカジュアルを基礎としたカジュアルラインから、「パープルレーベル」のような最上級のラグジュアリーラインまで両立し、どちらも確立した人気を誇っています。

おそらくラルフローレン本人は昔から根っからのおしゃれ好きで、若き頃はカジュアル服を存分に楽しんだのでしょう。そして年を重ね、大人としての審美眼が育っていき、ラグジュアリーなものに目覚めていく。
カジュアルスタイルを会得した人が着るラグジュアリーな服は、しっかりと着こなしができているため魅力が倍化して見えるものです。

わたしは上のカシミア/シルクのニットを含むハイゲージニット全般、素材が繊細なため、なかなか着られずにいました。

久しぶりにクローゼットで再会すると、こんないいものがあったのか!という気持ちです。笑

毎年買っては捨ててのサイクルを楽しんでいる方にはなかなか伝わらない話かもしれませんが、昔買った洋服が、久しぶりに着るととても新鮮に見えるというのが、トラッドの服にはあります。

気分や感覚で着たいものが少しずつ変わっていくのが人間であり、それが成長なのだと思います。

カジュアル、ラグジュアリー、どちらの世界でも、時代に流されない不変的な洋服を求め続けるのがいいのだと、改めて感じます。

 


Atelier BERUN

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