冬支度(革手袋について)

BERUNです。

秋がないとはよく言われることですが、まさかここまでないとは、、驚きを隠せません。
昨年の暖冬とは打って変わり、急速に冬がやってきました。

10月末にはツイードがちょうどいい気候になり、11月に入るやいなや、冬用コートを着られる気温になりました。
服好きの立場からすると寒くなるのはうれしいことですが、ジャケットを着て汗をかかずに気持ちよく歩ける秋を、もう少しだけ楽しみたいものです。

BERUNも10月に入ってからは、本格的に秋冬用の製作が始まっております。
例年通り、ツイードに始まりフランネルに終わる。そんな冬になりそうです。

 

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今年の1月にイタリア→イギリスに買い付けに行ってきた際に仕入れてきた手袋もつい先日、店頭に並べました。
冬は小物が増えることで楽しみが何倍にも広がりますが、その分、今年は何を揃えようか、、と悩むこともあるかと思います。

わたしは、おしゃれな人ほど、身体から離れた部分に気をつかっていると思っています。
いわゆる手先足先(頭部も)ですね。
足はここ10数年続いている高級革靴ブーム(もはやブームではない?)によって、一般的に良い靴を履く人が増えたかと思います。
しかし、この手袋に関してはまだ多くの人があまり関心を寄せていないのではないかと、冬の街を歩いていて感じます。
寒ければコートのポケットに手を入れればいい、とおっしゃる方もいらっしゃるかと思いますが、それは我慢であり、装うこととはいかに心にゆとりをもって愉しむかがポイントです。

まず手袋は、冬のクリスマス商戦ではなかなか手を出しづらいものです。手袋にはサイズが明確にあるうえに、いいものは高いため、なかなか人にプレゼントするのは難しい。
その点、手を出しやすいのはマフラーだと思います。マフラーにはサイズがなく、かつ価格も手ごろです。いくつあっても、コーディネイトの幅も広がるので困りません。

img_3060<現代ではオーバースペックかもしれないが、それがいい>

また、最近ではスマートフォンが普及してしまった影響で、手袋が煩わしくなってしまったのでしょう。
スマートフォン対応の手袋が作られておりますが、洒落者は決して選びません。
そもそも、そこまで肌身離さず触っていないと落ち着かないものでしょうか。
せめて冬空の下を歩くときだけでも、革手袋をはめ、白い息を吐きながら前を向いて颯爽と歩いている方が、よっぽどスマートだとわたしは思います。

img_2972<コートの丈はひざにかかる~隠れる長さが理想>

昨今ではコートの丈が短くなり、オーバーコートと呼ばれていた重厚感のあるコートが減ってきました。太ももの真ん中ほどまでしかない短い丈のコートでは、本格的な手袋だとコートが負けてしまうこともあります。
時代の流れで、どんどん短く・軽く・薄くと作られてきた洋服が現代の形です。時代に倣っていくべきか、本質を守るべきか。男を分ける選択です。

洋服のコーディネイトは、バランスが何より大切です。
高級車の路上駐車はみっともないように、ジョンロブやエドワードグリーンを履いているが、手袋はウールの物をはめているようではせっかくの高級靴が台無しです。

革が大好きな日本人ですが、こと革手袋に関してはあまり関心をもった人が少ないことが残念に思います。
革手袋も、革靴同様、いいものを手に入れれば10年20年と使い続けられます。
そう考えれば、決して高くはない買い物ではないでしょうか。

極論、冬の小物は単なる寒さしのぎの物ではないのです。
男としてどうあるべきか、という問いかけに自ら答えるために、いいものを贖う。

物が溢れかえり、本質的な物を探すのが困難な時代だからこそ、一つ一つのアイテムを、しっかりと吟味していきたいものです。

 


Atelier BERUN

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