東京の冬

BERUNです。

2月に入ってから、忘れかけていた真冬の寒さを痛感しています。暖冬であった昨年とはかわり、今年は冬の底力を感じます。
BERUN研究室のアンケート結果によると、およそ50人に1人の割合で、真冬でもコートを必要としない人がいるそうです。
そういった方々がようやく寒いと感じ始めるのは、だいたい5度を下回ったときだそうで、東京より南である限り、それはよほどの寒波でしかやってこないでしょう。笑

先日、ベトナムに駐在しているお客様が教えてくださいました。今ベトナムでは、ダウンジャケットが流行っているそうです。
どうやら暑いベトナムでダウンを着るというのが、ファッションとして”カッコいい”と言われているようです。
わたしはベトナム人ではないのでその感覚はわかりませんが、そこまでいくと、”おしゃれは我慢だ”という言葉はもはや日本では死語のように感じてしまいますね。

最近では、年末から年明けにかけてオーダーをいただいていた方の冬物の納品をしています。

IMG_3316

こちらは伊Loro Piana社のWool/cashmereの生地を使用して作成したアルスターコート。こちらの生地は4年ほど前にたまたま安く仕入れることができ、ロールで保管しておりました。一体いつなくなるのやら、と思っておりましたが、気が付けばこの一着でちょうど終わりとなりました。生地は出会いなので、今年またいいものに出会えることを願います。
よくポロコートとアルスターコートの違いは?ということを聞かれますが、わたしは、「このアルスターを元とし、背中にプリーツを付け、腰ポケットをパッチが上についた蓋つきアウトポケットにし、共地のベルトをし、丈は膝下までの120㎝ほどのロング丈。そしてもちろん素材はキャメル100%のもの」を”正統派”ポロコートと呼ぶようにしています。

イメージをしていただけたらお分かりかと思いますが、さらっと嫌味なくポロコートを着こなせるのは、60歳以上の初老紳士に限ります。つまり”R60”です。男性の装いの愉しみはそこにあります。歳をとってからしか着られない洋服があるなんて、なんとも素敵な話です。
ちなみに杖・ステッキは”R70”くらいではないでしょうか。いい歳の重ね方をして、一生涯おしゃれをし倒していきたいですね。

IMG_3318

袖口はターンナップにしました。筒袖(袖釦のないもの)よりもクラシックな趣が漂います。

IMG_3319

ラペルの吸い付きから肩周り、ロールの柔らかさなど、美しさの贅を尽くした一着です。

IMG_3325

背中は何も施さず、シンプルに仕上げています。
アルスターコートはほどよくカジュアルな印象もあるため、年代や着るシーンを問わず着用できる便利なコートです。

 


 

IMG_3341

こちらは3月に結婚式をむかえる新郎の衣装。テーマは牧歌的な一日。ナチュラル派であるご夫婦、都会的なディナージャケットではなく、土を感じてほしいという希望でした。
ラムウールのツイードの3ピースに、ベージュのシャツ。ボウタイは生地から選びオリジナルで作成しました。

IMG_3363

新郎の衣装と言いますと、今までわたしはディナージャケットしかあげてきませんでしたが、テーマとそのお二人の空気感、そして人柄を感じてご提案しています。

IMG_3362

式が終わったあとは、3ピースで着る機会はあまりないかもしれませんが、それぞれ個別に着ていただくこともできます。その着回しのよさがツイードの魅力です。
ウエストコート(ベスト)はダークスーツの内側に差し込めば、友人の結婚式などに参列する際、活躍するでしょう。

 

 

 

さて、洋服屋はもうすでに春夏へと舵をきっています。今週、英国で取り置きしていた春夏物の生地がこちらに届きました。

IMG_3327
IMG_3332<Smith Woolens (Finmeresco)>
3Pieceでの仕上がり ¥172,800(税込)

IMG_3340
<Harrisons (Mystique)>
3Pieceでの仕上がり ¥172,800(税込)

IMG_3336<Smith Woolens (Antigua)>
3Pieceでの仕上がり ¥178,200(税込)

Smith WoolensのAntiguaは数年前にすでに廃盤になってしまった生地。220~240gmsというライトウェイトな質感でありながら、しっかりとしたハリのある魅力的な生地です。わずかに織り込んだカシミアが美しい光沢を出しています。
英国本社のストック分から、日本で使いやすいベーシックなネイビーとグレーをそれぞれ取り寄せました。各2~3着ずつの仕入れです。

気が付けばもう3月も近づいてきております。毎年お早い方はこの時期に春夏物のオーダーを完了し、来たる春を今か今かと待ちます。
それが一番いいと思います。これからの時期、急に気温が上がり、突然の小春日和がやってくることもあるでしょう。そのとき、すぐさま下ろしたての洋服を着られる嬉しさは計り知れません。


Atelier BERUN

東京都新宿区神楽坂6-8-23

http://berun.jp/
Facebook
◆Tel : 03-3235-2225

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です