ハレ

BERUNです。

先週の土曜日は、結婚のお祝いが3件も重なりました。気候もよく、大安で、絶好のお祝い日和。
昼からの披露宴、夜の二次会をはしごするという1年を通してもここまでおめでたい日はないのでは?と思う1日でした。

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昼間は原宿の東郷神社にて。
和装から、お色直しではBERUNで誂えたディナージャケットに着替えていただきました。

夜はディナージャケット、最後はツイードのスリーピースという、わたしがお仕立てさせていただいた洋服がスポットライトを次々と浴びていきます。とても美味しい1日でした。

この仕事の本当に愉しいところは、今まで作った作品たちの経過を見ることができる点だと思います。5年前に誂えたスーツやジャケットなどを店に着てきていただいた際、襟の裏を見ては、「もう5年も着てるんですね!!」というような会話は、わたしにとっては何よりのごちそうです。

そのままそれを、誂えたときの思い出話が始まります。
「あのときはまだこの洋服に着られていた。着こなせていなかった。周りの人、会社の人には初めの頃、『どうしたの!?』と心配されていましたね。今は毎日褒められます。だいぶ柔らかくなってきて、着心地もかなりいいです。後10年は着ます。」
わたしにとっては日々、立派になった我が子に久しぶりに会うような気持ちです。

 


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今日は新国立美術館で開催中のミュシャ(ムハ)展へ。
ミュシャの代表的作品「スラブ叙情詩」が、チェコ国外で初めて全20点まとめて展示されています。
圧倒的な迫力。色使い、世界観、全てが秀逸です。美術の域を超えた作品群に言葉を失います。まだ始まったばかりですので、もう一度足を運ぶつもりです。

残念ながら諸外国に比べ、日本は本当に芸術に触れる機会が圧倒的に少ないと思います。美的センスの点では、国営で大きな美術館をいくつも無料開放している西洋に、肩を並べられるはずがありません。日本ももっと、見えないものに投下するようになっていってほしいとは思いますが、今のままでは難しいですね。

スーツにシャツやタイ、洋服小物など諸々、同じネイビーでも国産と舶来(インポート)では仕上がった後の”色気”が違います。それは数値化された何かではなく、感覚という見えない世界を作り上げてきたからなのでしょう。

 


年始にお客様から勧められ、「海賊と呼ばれた男」を観ました。その映画を通じて、先導する男とはどうあるべきかを考えさせられたのが懐かしいです。そして昨日、1994年の作品ですが、ようやく「シンドラーのリスト」を観ました。ずっと観たかった作品でしたが、3時間15分という長編映画のため、なかなか手が伸びずにいました。
どちらも賛否はあると思いますが、素晴らしい内容だと思います。2つの作品に共通したのは、先導するリーダーの大きさでした。

リーダーとはまず先に周りの人のことを考えるということ。”自分”という存在を消し、徹底的に周りのために生きる。極論、人間は自分のためだけに生きているくらいでは、あまり必要以上の力は発揮されないのだと思います。
周りのために自分が何をできるのか、ということを考えたときから、初めて生きる力が沸いてくる。動物とはそもそもそういう生き物だと思います。

むりやり洋服の話につなげるような形になってしまいますが、ファッションもそうではないかと思うのです。自分が格好よければそれでいい、という人のファッションは、その人は満足かもしれません。しかしもしかするとその服装は、その街や周りの人にはあまりいい光景ではないかもしれない。そのままではその人の力は1で終わってしまう。

街や周りの人のために、わたしはどういう服装で”在るべきか”、ということを考えはじめたときから、洋服の本来の力が沸いてくるでしょう。
それを感じ取ってから洋服を着ることで、いつもの自分以上の自分になるはずです。
そこで見つかった自分が、本当の自分だと思います。

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Atelier BERUN

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