盛夏のためのジャケット

BERUNです。

35度を優に超える今の日本の夏。
ACBの存続が危ぶまれるほどの猛暑です。
今年の5月に香港に行き、あちらの湿度を体験したとき、日本よりも劣悪な環境でも、装いの品格を下げずに謹みながら楽しんでいる人を見かけ、ヒントをもらって帰ってきました。
猛暑でも着られる究極のアンコンジャケット(アンコンストラクテッドの略=非構築的な)を作りたい。
ただ副資材(肩パッドや裏地、芯地など)を廃しただけの、簡単なジャケットはクールビズの現代にはありますが、見た目はカチッと仕上がっているものの、とても軽く涼しく、着心地がいい。というものはありそうでない。そういうものを作りたかったです。
日本の大手企業は「楽」、「簡単」というと、途端にジャージー素材にしたり、ストレッチ素材にしたり、極端な方向にカスタマーを連れていきがちです。そこまでいかなくていいのに、とわたしは思います。世の中には”いい塩梅”のものがあまりない。
生地はしっかりとハリのある英国生地。そして通気性があり、清涼感のある仕上がりになるジャケット。
生地選びに難航しましたが、英国ミルWilliam Halstead社の生地を使用しました。

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こちらは袖の裏地も廃した究極なまでに簡素化されたジャケットです。
生地のハリだけで仕立てる仕様なので、柔らかなしっとりとした生地を使用してしまうと、余計なしわが目立ち、高級感がなくなってしまいます。
仕立ての世界は、本来隠しているところを出せば出すほど手間とコストがかかる場合が多いです。

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夏=ブルー系 というイメージを超えたかった。夏でも暖色を着たい人はどんな選択肢があるだろうか。
こちらの生地は絶妙な色合いです。モカブラウンとサンドベージュの間のような、砂漠の砂に水を垂らして10秒経った位のような、涼しげのあるブラウンカラーです。

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キッドモヘア60%にウール40%の清涼感があり、光沢感がある生地。滑りもよいため袖通りは難なくクリアでした。
この仕立ては麻や綿のような植物系ではなく、滑りもよく、湿度や環境に順応に対応できるウール・モヘアのような動物系の素材を使うのがいいです。

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肩周りの袖部分が透けているのがお分かりかと思います。
世の中が、アンコン、アンコンと、構造を廃することばかりに気をとられてしまい、肝心な着心地や着た時の見え方への意識がおろそかになってきているように感じます。
アンコンではあるが、構築的に見える、そんな一見矛盾しているようなジャケットが、現代の日本の夏には必要だと思います。

相変わらず構成を練るのに時間がかかってしまい、完成したときにはもう夏真っ盛りでございます。
この仕立てを本格的に提案するようになるのは来年以降でしょう。笑

そんなことを考えていましたら、今年の始めにオーダーしていた秋冬物の生地が本日、大量に店に届きました。
今から早速、秋が楽しみです。

 


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