思い立ったが吉日

BERUNです。

暖かくなったと思いきや、先週の土曜日は雪が降りました。

コロナの騒ぎは大きくなるばかりで、神楽坂もいつもより人が少ないです。早く終息して、気持ちのいい春を過ごしたいですね。

旅の装い

人も少ない今が観光のタイミングだと思い立ち、先週、2泊3日で京都に行ってきました。
昨年の夏に行ってから、京都という街にすっかり魅了されました。

この時期の1,2泊でしたら、わたしはあまり着替えを持っていきません。替えるのは下着のみで、上物は着まわします。
3月上旬、日中は暖かくなりますが、朝晩は冷えます。突然の雨にも対応できるように、今回の旅行では以下のワードローブを選びました。

コートはアクアスキュータムのステンカラーコート。厚手でないため、雨風をおさえる程度の春秋には活躍してくれます。

こちらはHarrisonsが150周年のときに作ったアニバーサリーツイード。これを皮切りに、モダンなチェック柄のツイードが一気に増えました。
こちらは2013年に仕立てたのですが、当時はあまり似合わず、しばらくしまっておいていました。昨年久しぶりに着てみると、妙にしっくりきたので今季は活躍しています。6,7年前に作ったものがようやく似合うようになってくるとは、どれだけ先を見越して作っていたのでしょうか。笑

まだまだです。この子が本当に格好良くなるには、あと1000回は着る必要があるでしょう。旅行で着ると、連日朝から晩までハードに着るため、アジの出方が早くなります。どの洋服のアジを出そうかと考えるのも、楽しみの一つです。

2日とも雨の予報でしたので、靴はこちらの靴にしました。昨年の秋に購入した、クロケット&ジョーンズのロシアンカーフのバルモラル(外羽根)シューズ。リッジウェイソールなので雨の日に大活躍します。雨に強いこちらの革は、雨の日の度に履いているので、昨年買ったばかりですがアジの出るスピードが早いです。大切に可愛がりすぎてしまっても、洋服は本来のポテンシャルを持て余してしまいます。

旅行から帰ってきて、丁寧にクリームを入れました。着実に色が濃くなり、革の風合いが渋く光っていきます。
「可愛い子(靴)には旅をさせよ」とはよくいったものです。笑

鞄はイギリスで購入したマルベリーのオーバーナイトバッグ。とても重く不便ですが、それを忘れさせてくれるくらい持っていて気持ちがいい鞄です。

静寂の京都

京都に住まわれているお客様に昔、
「雨の日の銀閣寺は本当に綺麗ですよ」
といわれたことがあり、その日からずっと行ってみたかった場所でした。
茶の文化も色濃く残る京都では、お寺巡りをしながら、わびさびの境地を感じることができます。

「わび」というタイトルの本によると、わびとは、
「 正直に慎み深く、おごらぬさま」だそうです。日本人が忘れてしまった日本の真髄が、京都には奥ゆかしく残っています。

早朝から散策しましたが、人はほとんどいませんでした。こんな日にここに来られるのは、もう二度とないのではないだろうか、というくらい、静寂に包まれた空間でした。

清水寺は、2月末に屋根の大改修が終わっており、ちょうど公開されたばかりのところでした。こちらも翌日の早朝6時に行きまして、静かに散策をしました。
茅葺の屋根の風合い、色味が美しかったです。ちょうど昨晩の雨で屋根が濡れており、その水気を含んだ屋根の光り方がとても力強かったです。雨がかかっていない屋根の純粋な山肌色も綺麗でした。

観光地に原色の服を着てくることについて

これらの写真は、何も最初から最後まで誰もいなかったわけではなく、まばらにいた人が一瞬誰も視界に入らなくなったときに撮影しているものです。
この厳格で慎ましい空間に、様々な観光の方が来られます。真っピンクのパーカを着た方、真っ黄色のダウンジャケットを着た方など。その方達が少しでもその空間に入ったとき、空気はガラッと変わります。
今の時代はカジュアル化された服装が市民権を得ているので、そのような方々がみなわるいといいたいわけではありません。
ですが、せめてこのブログを読んでくださっている方には、自分がそのような空間に不釣り合いなほどカジュアルな格好で立ち入ることの影響を、考えてみていただきたいのです。

わたしが今回、ブラウンにグリーンのチェックのツイードジャケットを選んだ理由はそこにあります。トラウザーズはモスグリーンのフランネル。鞄と靴は茶色です。空間と同居すること。決して邪魔をせず、自然と自然体で向き合うことを第一に考えます。人ありきではなく、自然と街並みありきです。
京都の観光地は、強い色を使っているところはなく、あくまで自然から生まれた色を好んで使っています。壁は漆喰か土壁。草木は緑、石は灰色。(手すりが竹で作られている上の写真を見ていただけたら、景観作りの真意を分かっていただけると思います)
その中で、自分ならどういう装いをして愉しもうか。楽なだけの服装は確かに楽ですが、それ以上でそれ以下でもありません。

ノームコア、ミニマリスト、アウトドアファッション。すべて今の時代のトレンドです。その中に入り、100人の内の95人になるのか。それとも自分自身で切り開いていくのかは、自分自身で決めることができます。なんでも選べるからこそ、自分の軸を持っていないとあれこれ流されてしまいます。

休日にジャケットを着ることは難しいことなのか

このカジュアル化された世の中で、多くの人が立ち止まる壁が、
「休みの日にまでジャケットを着たくない」
ということだと思います。

やはり「ジャケット=堅苦しい」というイメージがあるのでしょう。だからこそ、普段着ているネイビーやグレーから脱してほしいのです。
先週の内容にもつながりますが、オフィスは仕事の場なので、シックな色でいいでしょう。しかし休日にジャケットを着るからこそ、堅苦しいというイメージを抱かない(周りにも抱かせない)色合いのジャケットを選ぶ。そして、仕立ても軽いものを選んでみるといいと思います。「ジャケット=〇〇」という、自分が着たくなるワードを探してみるのもいいかもしれません。

前日の夜、じっくり翌日のシーンを考えてみるといいでしょう。何も遊園地やレジャーにまで着ていってほしいわけではありません。ただ、休日という2文字だけでジャケットを脱ぎ捨てるという選択は非常にもったいない。その日1日をどう過ごすかを想像して、ジャケットを着ていきたいと思える日であったら、それを選んでほしいのです。

デニムではなくコットンスラックスを。
スニーカーではなくローファーを。
アウターではなくツイードジャケットを。
いつもより1段上がって装いを考えてみる日を作ってみて、自分の気持ちの高まりを感じていただきたいです。

これからの未来、何が起こるかわからない時代だからこそ、自分らしく、愉しんで洋服を着ることが大切だと思います。

京都の夜はバーで終わりました。

旅路でまたヴィンテージの生地もたくさん見つけてきましたので、次回書きます。春物の第一陣も、少しずつ完成してきております。

Atelier BERUN

東京都新宿区神楽坂6-8-23

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