晴耕雨読

BERUNです。

昨日一昨日の週末は、都の意向に沿い店はお休みにしました。

観測史上2番目に早く桜が開花したと思えば、昨日は雪が降り、自粛ムードに拍車がかかりました。こちらは自宅のすぐそばにある相模湖の景色です。

欧州の現状

欧州の被害が大きく、イギリス、イタリアの一部を除く生地メーカーは、生地が出荷できない状況になっています。
今思うと、1月に多少無理をしてヨーロッパに行ってきてよかったです。早く世界と自由に繋がれる日が戻ってきてほしいと切に願います。
また、BERUNで生地を大量にストックしておいてよかったです。店内には生地見本以外の生地ストックが山のようにありますので、その中から十二分に選ぶことができます。なので、今回のような事態になっても慌てることはありません。

在宅勤務、週末自粛と、気持ちの良い春を満足に過ごすことができないストレスもあると思います。人それぞれ、どのようにこの長いトンネルを抜けるのか模索しています。
こんなときこそ、晴耕雨読といいますが、普段はできなかったことをじっくり、ゆっくりするいい機会ではないでしょうか。
長編大作のなにかを見るでもいい。映画、小説、本など。はたまたThe bookやブログを読み返すでもいい(笑)。普段は現代の慌ただしさに駆られてできなかったことをすることは、とても有意義な期間になると思います。

ご自身のタイミングで、平日のふとした時間に店にお越しいただく方もいらっしゃいます。本当に、感謝してもしきれません。いつも以上に、紅茶を丁寧にお淹れしています。BERUNはそんな方々に支えられています。
しばらく落ち着くまでは、週3日ほどの営業にいたします。平日2日と土曜日を予定しています。いらっしゃる場合は、事前にご連絡をいただけたら幸いです。

スプリングコート

先日、時期が少し遅いですが、スプリングコートが完成しました。


グリーンの横糸とベージュの縦糸のキャバリーツイル(Cavalry Twill)。キャバリーという名の通り、生まれは騎兵隊のために作られた生地です。綾織で斜めに織が入っている生地で、鈍い光沢感があります。組成としてはデニムと同様の綾織のため、タフさもあり、わたしもよく活用している生地です。
世間一般では軽い仕立てのコートはスプリングコートとよばれていますが、欲をいえば秋、そして暖かな日は冬も着られる方がありがたいです。
ファーストコートがチェスターフィールドコートだとすると、セカンドコートは、カジュアルにピーコートにいくか、より紳士道を突き進むべくアルスターコートにいくか、それとも季節を分けて着たいからスプリングコートにいくか。他にもいくつか選択肢がありますので、ご自身のライフスタイルと照らし合わせて考えてみるのがいいでしょう。

前々回の旅行のブログで、アクアスキュータムのステンカラーコートを紹介しましたが、まさにあのコートが春秋に着るものです。
無骨で男くさいコットンギャバジン(綿ギャバ)のステンカラーコート(またはトレンチコート)もいいですが、美しさを感じられる軽やかなキャバリーツイルのウールコートも素敵です。
色はネイビー、グレー、ブラックではなく、やはりこの位の中間色が春秋には合います。

「街を歩いていて、後ろを振り返られる(じろじろ見られる)ということは、あなたの装いが凝りすぎているからだ」といったといわれているのは、伊達男の生き字引であったボウ・ブランメル(1778ー1840)ですが、現代とは服飾環境も違います。
このコートを着ている人とすれ違ったなら、感度のいい方なら思わず振り返るでしょう。

スプリング&サマージャケット

昨年、英国の生地でわたしが気に入っていた夏向けのジャケット生地が、2マークも廃盤になってしまいました。いいものが継続していかない歯痒さをいつも抱きながら、新しい何かが生まれる期待にも胸を膨らませています。気に入ったものは必ず数着分、抑えておきます。正直BERUNの生地棚は、売れなくてもいい!置いてあるだけで満足。というものばかりセレクトしています。むしろそのくらい気に入ったものでなくては、わたしの性格上、置き続けておくことはできません。

タイは同系色のモカブラウンを合わせました。
こちらは240gmsという軽い生地でありながら、日本の夏の湿度にも耐えうる魅力的な夏生地です。

5年ほど前にこの生地でジャケットを作ったお客様がおります。とても気に入っていただき、夏はこればかり着ていただいていました。昨年の夏に久しぶりに見たら、おろしたてのようなハリがまだ残っていたのです。
250gmsを下回る生地はなるべく使いたくない性分ですが、これは素晴らしい生地だと実感しました。ウール&シルク&リネンの3者混の生地で、まさにこれからの季節に活躍します。

ホワイトベージュのヘリンボーンが爽やかで、ジャケットを着ている重さを感じさせません。25度を超えてくると、このくらいの色味のジャケットを着ることが、相手への配慮にもなります。

生地の重さについて

昔から見ていただいている方には聞き慣れた数字かもしれませんが、gmsというのは、生地の重さの単位です。英国では、「300gmsを下回る生地は生地ではない」という人がいるほどですが、日本とは着用環境が違うので、もう少し下に見積もってもいいと思います。日本でいわゆる“オールシーズン”と呼ばれているものは、220〜240gms程度の重さのものが一般的に使われています。
重さは同じくらいですが、ビスポークのものとは生地の作り込みが“全く”異なるため、既製品のオールシーズンスーツは、やはり寿命は短いと思っていただいて間違いないでしょう。
生地の厚みの基準はひとそれぞれですが、わたしはスラックスに使う生地はやはり300gms以上は必要だと思っています。上着は250gmsを下回ってもいいものがありますが、薄くなる分生地の作り込みは慎重に見なくてはいけません。

連日、悲しいニュースが続きます。ですが、今まで多くの困難がやってきましたが、いつの時代も生き続けてきて今のわたしたちがいます。
“生きること”をやめずに、どんな状況下に置かれても、力強く自分らしさを失わずに生きていたら、必ず光はやってきます。

そして、装う愉しさは、人にパワーをくれるとわたしは誰よりも思っています。

Atelier BERUN

東京都新宿区神楽坂6-8-23

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