タキシード&お色直し

BERUNです。

自粛期間が明けて1週間。6月に入り、営業再開したお店も出てきました。
気は抜けませんが、まずは2ヶ月半、やりたいことを我慢した自分自身をねぎらいましょう。

BERUNでも洋服の納品が先週から続いております。
人によっては3月の終わり頃から待たれている方もいましたので、完成してから2ヶ月お待ちいただいておりました。

6月に挙式を挙げられる予定であったN様。今回の出来事により、延期することになりました。
都内の有名な式場で挙げられるのですが、そこは持ち込みNGとのこと。
一着のみOKや、持ち込み代がかかるところは今まで聞いたことはありましたが、一つの小物たりとも持ち込みがNGというのは初めてでした。
どこからつついてもNGの一点張りで、動かない頑なな式場に、新郎さんも困り果てていたのです。

普通の新郎であれば諦めてしまいそうになりますが、なんとかならないかと、N様は考え続けていました。
というのも、N様は少し特徴的な体型をされております。身長が140cm程ですが、3サイズは一般男性ほどあり、体格はしっかりとされているので、貸衣装ではまったく合う服がありません。
式場でも試着のときには散々だったようで、プランナーと掛け合う日々が続いていました。

ある日、わたしにN様からお電話が。
なんと!式場から持ち込みOKをもらえたそうです。
上層部まで取り持ってくれ、今回は特別に許可をもらったとのこと。特例中に特例だということでした。
あらゆる手を考えた結果、最後は”情熱”で押し切ったそうです。笑
最もシンプルですが、最も有効な方法です。

一生残る一生の記念日だからこそ、わたしは本当に納得のいくものを着てほしいと思っています。
それはこちら側の業界だからと言われてしまってはそうなのかもしれませんが、結婚式の衣装の仕事のときは、お子様が将来、ご両親の結婚式の写真を見たときのことをいつも想像(妄想)します。
父親が、リカちゃん人形の彼氏のような真っ白い衣装を着ているのか、純然たるディナージャケットを着ているかは、親の印象が全く変わると思います。

今回は、お色直しまでを含めた2着の相談をさせていただきました。

Dinner Jacket -Tuxedo-

N様とはもう8年ほどのお付き合いになります。店がまだなかったときから洋服をオーダーしていただいています。
普段は見慣れないサイズ感に、着てもらうまでの不安はありますが、それもビスポークの醍醐味です。

仕上がりに奥様含め、3人共大満足です。
今回のディナージャケットスタイルは、柔和さと男性らしさをどちらも取り入れました。

ウール&キッドモヘアのバラシャ。フォーマルの生地はやはりこれに限ります。

小柄な方であるため、もう少し柔らかな生地の方がいいとも考えましたが、一周まわってこちらに決めました。
フォーマルシーンを着るときは、普通のスーツを着るときよりも、ご自身の気分が高揚しています。そのため、”着る力”はいつもより増しています。
少し強い素材でも、”特別な日”という気持ちが、それを乗り越えさせてくれるのです。

素材にしっかりとハリがある生地は、体型の隠したいところをカバーしてくれ、自分自身をいつも以上に男性的に魅せてくれます。
(写真では靴の踵にトラウザーズが乗ってしまっておりますが、すっと、綺麗に落ちています。)

シャツにはスタッズは付けず、「フライフロント(比翼)」仕立てです。
スタッズにすると、”格好良くなりすぎる”ため、今回は比翼にしました。
その人それぞれの雰囲気に合わせて、全体をイメージしてお作りします。

あまり「ウイングカラー」は好まないわたしですが、こちらもお人柄を熟考し、ウイングカラーにしました。

小柄なN様の雰囲気に合わせ、靴はキャップトゥではなく、ホールカットに。キャップトゥでは堅くなりすぎる、そんな気がしたからです。少しマイルドな感じになり、いい雰囲気です。

これまでお話ししましたように、ルールに固められたディナージャケット(タキシード)の中でも、その人それぞれの雰囲気を出す方法は色々あります。
ですが、その色々を履き違えてしまう方が多いのは残念なところです。
フォーマルには決められた”箱”があります。その箱の中で、着る側の人柄と作り手の経験を織り交ぜて考えていくのが、賢いオーダーのやり方です。

Changing Contume

お色直しでは、爽やかなカジュアルスタイルでお仕立てしました。

ジャケットはHarrisonsのICARUS、春夏用のウール・シルク・リネンの3者混の生地です。リネンの涼しげな素材感と、シルクの美しい光沢が見事なバランスで作られています。

トラウザーズは白のデニム素材にしました。
白のトラウザーズは、着る人によってはキザっぽくなってしまうのが、難しいところです。デニムにすることによって、程よいカジュアル感が生まれ、バランスが保たれます。

シャツはブルーのベタ無地。海を彷彿とされる、美しいブルーです。

ボウタイ(蝶ネクタイ)の素材は、最後まで悩みました。
最終的に、ヴィンテージの青の無地のウール生地でお作りしましたが、うまく雰囲気に溶け込みました。
ボウタイがウールでも喧嘩しないのは、ジャケットが3者混だからです。
3者混の生地は、あらゆる生地の架け橋になってくれる頼れるジャケットです。

小柄な方だからといって、タイトにするのは一言で言って”野暮”です。

小柄な方、体型に悩みがある方に、体型をあらわにするようなタイトな洋服を着せてしまうと、より体型が際立って表れてしまいます。

小柄な方だからこそ、着丈はしっかりとお尻が隠れるまで出します。

女性の美は見せるところにあるとするならば、男性の美は隠すところにあります。
(わたしは女性の洋服も隠した方が素敵だと思いますが、一般的な解釈はどちらでしょうか。)
男性の洋服は、いかに隠すか。そこに男性らしい格好よさが表れます。

(背中のシワも綺麗になく、美しいバックシルエットだったのですが、タイミングがわるかったです。写真家ではありませんので、お許しください。。笑)

コンビシューズ。もう何足作ったかわかりません。ですが、何度見ても素敵です。
N様は22cmのBウィズという、最も小さい木型がジャストサイズの方です。

お色直しの2着目は、それぞれ単品使いしていただいてもいいように考えてお作りしています。
式が終わったあとにも使えるよう、それぞれの活躍の場を考えてアイテム選びをしています。

式は延期になってしまいましたが、それまでを楽しみに待ちながら、過ごす時間もわるくないでしょう。

BERUNは6月から通常営業しておりますので、ぜひお待ちしております!

Atelier BERUN

東京都新宿区神楽坂6-8-23

http://berun.jp/
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◆Tel : 03-3235-2225

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