イズムの共感

BERUNです。

関東地方は綺麗な紅葉がはじまっています。
藤野地区でもモスグリーンであった緑が赤茶色に変わってきていて、自然の変化を楽しんでいます。

正しい情報に出会うために

昨今、情報が大量に錯綜していて、正しい情報に出会うことが極めて難しくなっています。
わたしの書いている内容が全てが正しいとは思いませんが、一つのイズムとして書き続けています。

何かを調べようとしたとき、いの一番に出てくる情報を一次情報としましょう。
今の時代、何かを調べようとしたとき、まず一次情報に出会います。そこで満足をするかどうかは人それぞれですが、一次情報に出会うのは簡単です。
そこで満足できなかった場合、二次情報、または三次情報と掘り下げて調べていくわけですが、そこにたどり着くためには、それ相応の予備知識、探し出す根気、時間も必要です。

旅行に行ったときの食事処を探すときを思い浮かべてみましょう。
今京都にいます。ランチをしようとしたとき、まず先に思い着くのは、
「京都 ランチ」でしょう。
しかしこれでは全くもって満足のいく店には行き当たらないと思います。
その検索を掘り下げていくことで、自分の満足のいく店に行き当たる確率が上がってきます。その確率を上げていくために、自分自身の好みやこだわり、最低限の予備知識をもっておくことが大切だと思います。

たとえば今、スーツを作ろうと思っていて、洋服が詳しいと思われる友人にアドバイスを求めたとします。
友人のAさんに相談すると、
「イタリアの高級生地を使ったスーツがリーズナブルで作れる店がある。生地はイタリアの物の方が高級感もあるし柔らかくて着やすいから、その生地で安く作ってくれるところに行こう」
と言ったとします。

対してBさんは、
「本当にいいものは長く着られる、へたなところで作ってしまうと2、3年でダメになってしまうようなものも、しっかりとしたところで仕立てれば10年と着続けることができる」

これはどちらも正解です。つまり両者はイズムが違うのです。
あとは自分自身の感覚で、どちらの意見を聞くかで行く道は真逆と言っていいほど変わっていきます。
自分自身がどのようなイズムを持っているかで、誰に出会うかが明確に変わります。

ここでわたしがこの仕事を始めたばかりのときのお話を少しします。
わたしがこの仕事を始めようと準備をしていた20歳の頃、その当時お世話になっていた経営者の方が、私に
「竹内くんは顔が濃いしキャラも立ってるから、イタリア系がいいよね」
と言ってくれました。
20歳の真っ白なキャンバスの心を持った私は「そうなのか!」とイタリア系の洋服の勉強をいそいそとしていました。
そしてその1年後、当時とてもお世話になっていた師匠と言っている方に出会ったとき、一言、
「竹内君は英国だよ」
と言って、半ば強引にフランスを跨ぎ、ドーバー海峡をわたり、イギリスの世界へと連れて行かれました。そうしてイギリスの洋服を知っていくことで、服装だけではなく、人生観まで大きく変わっていきました。
その一言がなかったら、今のBERUNはなかったですし、今の私もいませんでした。
そのくらい、誰の話に耳を傾けるかというのはその人の人生を変えてしまうくらい大きなことなのです。
そして、何に共感をするかはその人の人生の価値観です。

ここまで暑苦しく語る店はなかなかないと思います。笑
完全に好みの分かれる店ですね。笑
トヨタやホンダでなくてもいい。スバル、もっと言えば光岡くらいエッジの効かせたスタイルだからこそ、わたしもお客様もお互いに楽しみながら話し合っていけるのです。

ふらふらと移り気ながら着地しました

変わらず秋冬物の納品が続いております。
こちらはK様にお仕立てしたスリーピーススーツ。
K様はちょっぴり浮気性。笑
久しぶりにお越しいただいたら、見たことがないスーツを着てこられていました。
評価をしてほしいとわざわざ着てこられる辺り、嫌いじゃないです。笑
他の店の評価をしても仕方がないので、わたしがお作りする洋服を新しくお見立てして、着ていただきました。
感想は一言、
「オーダースーツと言ってもこんなにも違うんですね!」
ととても喜んでいただきました。今まで2着お作りしていたのですが、改めて感じていただけたようでした。

今ブレイシーズを切らしていたので、わたしが私物として隠していたEde & Rvenscraftのブレイシーズをお譲りしました。
英国のスタイルとワインレッドはやはりとても相性がいいです。

こちらはウェストコート(ベスト)を着用したお姿。

こちらが全て揃えたお姿。
こちらはBERUNでは珍しいイタリアの生地です。ブラウンとグレーの間の色がとても美しいです。
ブラウンのスーツを着てみたいけど、いきなり着るのは抵抗がある、という方にはとてもいい色合いだと思います。

タイはK様がアウトレットで買ってこられたもの。わるい物ではありませんが、少しボリュームに欠けます。
BERUNのタイを合わせたコーディネートがこちら。
やはり質実剛健なスーツスタイルには、このくらいボリュームがあるタイが合います。

部屋に掛けておいているだけで気分がいい!と連絡をくださいました。

味付けはお好みで

フィッティングは料理に例えると味付けですね。その店の味付けが自分の舌に合うかどうかです。
ですが、世の中は化学調味料が蔓延しています。
本来の素朴な味付けでは満足しない舌になってしまっています。

雑誌やSNSが最たるものです。化学調味料、刺激物バリバリの濃い味で本来の正しい感覚を持っている舌を狂わせてきます。
(すべての媒体がそういうものではありませんが、わかりやすくあえてオーバーに表現しています)

そのため、本来の正しい、普通なフィッティングに慣れるまでは少々時間がかかります。
物足りないなぁと感じながら、それが本来の素材の味なんだと奥歯で噛み締めて感じていただきたい。



ここで最後に、昔の人の格言を一つ。

人からおしゃれと言われているうちは、まだまだ君はおしゃれではない

道ゆく人々が振り返って君を見るならば、君の着こなしは間違いだ

ボウ・ブランメル

わたしはこれがファッションの全てだと思います。
お洒落をたのしんでいるうちは、ファッションの真髄をまだ理解していないのです。
道は長く、愉しいですヨ。

-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー

東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301

http://berun.jp/
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