冬のマストアイテム

BERUNです。

藤野では毎朝霜が降りるようになりました。カチカチに凍った車にお湯をかけるところから朝が始まります。

そんなぐっと冷え込んだ今の季節に着たくなるアイテムといえば、やはりニットでしょう。
わたしなりに重さに分けて、好きなブランドと形を紹介していきたいと思います。

ハイゲージ

ハイゲージといえばやはりジョンスメドレーでしょう。
ジャケットの中に、Vネックかタートルネックを多用します。
このブランドよりもクオリティの高いものはありますが、ハイゲージといえばジョンスメドレー。もはや不動の地位を確立しています。

ミドルゲージ

ミドルゲージは様々なブランドがありますが、わたしはBERUN以外で選ぶのであれば、Jamieson & Smithを勧めます。

混ざり物のシェットランドウールを使ったニットメーカーが多い中、こちらのメーカーは純度100%のシェットランドウールを使用しているというこだわりです。独特のチクチクする着心地は、慣れてしまうと癖になります。

元々わたしは肌が弱い体質でしたが、それは良質な天然素材の前では関係のない話だということが、ニットを着るようになってわかりました。
ミドルゲージはクルーネック(丸首)かタートルネックが着やすいです。
ツイードジャケットのインナーとして使うととても活躍します。

ミドルローゲージ

ここからはジャケットのインナーとしてではなく、ジャケットの代わりの役割を担ってくれるニットです。
こんな枠組みありませんが、ミドルゲージとローゲージの中間の厚み、ミドルローゲージといえばガンジーニット。

昔から形が一切変わらないクラシックなニットです。
前後ろどちらから着てもいいという面白い形ですが、その特徴によって着心地もとても独特です。
やはりガンジーの出自の元、冬の海に着ていきたくなります。

ローゲージ

そしてローゲージはやはりインバーアランでしょう。

この唯一無二の存在感。冬以外は見たくもないほど暑苦しいニットですが、12月に入ると途端に恋しくなる冬の恋人です。
インバーアランに太畝のコーデュロイトラウザーズを履くスタイルは、まさしく英国のカントリーカジュアル。
ヨーロッパの農民靴サボをつっかけて、冬空の下を散歩したくなります。

古着の面白いところは、タグの付いていない無名ながら良質なニットが時々出てくることです。はじめはなんのものか分かりませんでしたが、イギリスに住んでいた頃、蚤の市に出回る品物を見て納得しました。それはブランドものではなく、母の手編みのニットなのです。母親が子や夫のために編み込んだニットが、とても上質で一切へたらないものは、家のクローゼットからカーブーツセール(イギリスの蚤の市。車の後ろのドアを開けて家の物を一般人が出品するイベント。歴史のあるイギリスだからこそ、掘り出し物が見つかります)に出て、それに惚れ込んだ日本人バイヤーが日本に持ち込むのです。なんだかとても素敵な話ではないでしょうか。

ニットは今の季節しか楽しめないので、ぜひ多くの方の装いに取り入れていただきたいです。
そして今の時期に口すっぱくいうのは、決して化学繊維のものではない、ウールを使ったものにしましょう。ウール80%、ポリ20%のように、少し入っているものでもNGです。
着心地、質感、経年変化の様、全てが全く違います。化学繊維の毛玉は取れませんが、ウールの毛玉はブラッシングによって取ることができます。

そしてニットこそ、ニット専門メーカーのものを選ぶといいでしょう。セレクトショップや量販店のオリジナルではなく、舶来品で、ニットのみを作っているファクトリーメーカーのものを買われることをお勧めします。

(※ファクトリーメーカーとは、例えばエルメスのマフラーを作っている工場のことです。ブランド代が乗っかっていない分、良質なものを安価で買うことができます)

ここまで言って言い忘れましたが、BERUNで作っているオリジナルのニットは、100%ブリティッシュツイードのニットを使っています。
1Gから10Gと、編みの厚みを好みで決めることができます。
そして取引をしている工場では、国内で唯一オーダーでの生産の契約をさせていただいております。(面倒だととても嫌がられますが笑)

今年は寒くなるのが遅かったので、皆様にニットをアナウンスすることを失念しておりました。カーディガンを作ったりしておりましたので、ニットのことがすっぽり抜けていたことは否めません。。
ですが、過去にニットをお作りいただいた方々から、この季節になりニットがとてもいい!と感想をいただくことが増え、慌てているわたしです。笑

ということで、今からでもお待ちしております!笑

ジャケットブラザーズ

最近、面白い試みをしたジャケットが2着完成してまいりました。

少し色味の異なる2着のジャケット。こちらは実はどちらも同じ生地で仕立てたものです。
生地はホーランド&シェリーのSuper 160、カシミア&シルバーミンク混というとても高級な生地。
こちらの生地は、生地マニアのお客様が持ち込みをされたもの。2着分ありましたので、一緒に作りましょうということで、わたしもあいのりさせていただきました。貴重な生地をありがとうございます。

種明かしをしますと、右側は表面を使った生地。そして左側は生地の裏面を使用してお仕立てしたものです。

生地の裏というのは、本来は生地メーカーとしては保証できるところではないため、お勧めしません。

表面と裏面を何度も見て、わたしは裏面の独特な赤みがかった色合いがとても好きだったので、裏面で作ることにしました。(わたしの作る洋服はいつも実験です)

しっかりと全面じっくり傷がないか確認しましたが、そこは天下のホーランド&シェリー、裏面もさすがのクオリティでした。

こちらがわたしの分として仕立てた裏面の方。

こちらが表面です。グレーに赤がうっすらと入った、かなり玄人向けの色合いですね。この手の色は、白髪が混じってくるとより一層似合うようになると思います。
かなり薄手のフランネル生地です。英国の生地で、日本の春秋に着られるような300gmsを下回る優秀な生地が意外と少ないので、このくらいの厚みの生地はとても春先に重宝します。

ハイゲージとローゲージ、どちらも魅力があるように、ツイードの良さもあれば、このような薄手の起毛素材というのも上品でとても魅力があります。

ウインドーペーンジャケット

なんだかマニアックな話ばかりで終わってしまいそうなので、もう1着ご紹介します。

こちらはARISTON社のウール80%、カシミア20%の生地を使用してお作りしたフランネルジャケット。
グレーのボディにブルーのウインドーペーンという、とても上品で使いやすい柄です。
2年ほど前にARISTONで同じクオリティの生地を1着ずつ仕入れていましたが、こちらが最後の1着でした。
何度見ても素晴らしいクオリティです。

下はやはり上品に合わせるなら、ネイビーかグレーのフランネルがいいでしょう。
他には、(わたしはあまり声を大にしてお勧めはできませんが)デニムと合わせてもかっこいいです。
このようなジャケットには、インナーをハイゲージのタートルネックを合わせるというスタイルもとても素敵だと思います。

冬にしかできないお洒落がたくさんありますね。


-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー

東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301

http://berun.jp/
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