レディースコートと春服

BERUNです。

HPには載せていないのですが、実はレディースの洋服もお作りしております。(HPを変更する時間がないだけです笑)

今季はレディースのコートを数着お作りいたしました。

お洒落が好きなパートナーの方が、

「レディースもあるんですか?」

と聞いてきてくださいます。

今、メインでお作りしているコートは、

1.チェスターフィールドコート

2.バルマカーンコート=ラグランコート (ベルト仕様)

の2種類です。

一般的なTHE レディースという生地ではなく、メンズのコート生地で、少し柔らかめなものを使います。

そうすることで、独特の女性らしさの中に宿る強さが表れます。

この塩梅は、既成のコートではなかなかありません。

日本の需要を大きく分類すると、可愛い系か、格好いい系かのどちらかになりますが、BERUNでお作りしているものはそのどちらでもないからです。

マダム向けではない、品を求める洋服というのは、なぜか日本には少ないです。

前回のブログでも書きましたが、品、美、格、という言葉にどうもむず痒さを感じるように私たちはマインドセットされているようです。

それらが大多数ですので、自分らしさを追求していくと結果的に、この国ではマイノリティになります。

このブログをご覧いただいている方でしたらご理解いただいているかと思いますが、ここまで来たらもうマイノリティ万歳です。

他人軸で生きて、みんな同じ、みんな仲良しなんていう人生、味気ないとわたしは思います。

自分らしさを追求した先には、マイノリティの中で力強く生きているタフで格好いい人たちがいっぱいいますから、人生はとにかく美を追求することが何よりだとわたしは思います。

前置きが長くなりましたが、ちょうど同じタイミングで完成したレディースのバルマカーンコートを並べました。

どちらもダブルフェイスの生地。

ダブルフェイスとは、表裏、どちらも使える生地のことです。

右側のコートは、表がグレーのヘリンボーンで、裏がブラウン。

お隣は、表がダークブラウンで、裏がダークグレー。

メンズでしたら、私の感性としてはダブルフェイスはちょっと軟派なイメージがあるのであまりすきではないのですが(お洒落でしょ!感が出てしまうからですね)、レディースにはうってつけだと思います。

今回、初めてやったディテール。襟裏に反対の生地を使いました。

こうすることで、襟を立てたとき、ダブルフェイスの生地の力が発揮されますね。

襟裏のネームは同色にすることで、目立たなくしております。

ダブルフェイスですので、コートの中を背抜きにして、裏を見せるもよし、隠して自分だけの楽しみにするもよしです。

これは機械式時計の、裏透けか、隠すかの美学に似ていますね。

バルマカーンコートのよいところは、着方が多様であることが言えます。

①前で縛る(初〜上級者)

②縛らずに、ベルトをポケットの中に入れる(中級者)

③ただ垂らす(上級者)

④後ろで結ぶ(女性の特権。メンズはやってはダメ)

これらの着方は、慣れてしまえば気候や気分で自由に楽しむことができます。

生地の厚み、柔らかさがちょうどよくハマると、背中のシワ、ドレープ感がとても美しく出ます。

ピタッと着るコートではないからこそ、歳を重ねても着続けることができます。

裏地はブラウン基調の玉虫色にいたしました。

M様、いつもご夫婦でお越しいただきいつもありがとうございます。

Vintage Dormeuil Suit

年々ヴィンテージの生地は少なくなっていっておりますが、中でも見つけることがどんどん難しくなってきているもの、それはズバリ、ネイビーの無地です。

なぜかといいますと、30、40年もの間、ずっと使われずに逃れられてきたことが奇跡のような色だからです。

いつの時代も、永遠の定番、これからも変わることがない不滅のネイビー。

そのヴィンテージのネイビーの無地の生地を使って、今回スーツをお仕立てしました。

正統派ど真ん中ストレート。

165キロは出ているでしょう。

生地もちょうど2パンツ分の長さがあったため、2パンツでお仕立ていたしました。

部屋でパーフェクションのヴィンテージストーブを使用し、好きなキャンプでは、ヴィンテージのコットン100%のテントを使っているという筋金入りの古いもの好きのK様。

初めてお越しいただきましたが、そんな話を聞いていたら、もうヴィンテージの生地以外考えられません。となり、1着分のみの貴重なこちらの生地をご提案いたしました。

40年ほど前の生地ですが、傷や痛みは全くなく、油分がたっぷりと含まれている、極上の生地でした。

ぜひ、末永くご着用ください。

Navy Suit for 3 seasons

イギリスの合物と呼ばれている生地、Harrisons(ハリソンズ)のFrontier(フロンティア)。

300gmsの平織りというユニークで使いやすい生地です。

数年前、一時期この生地ばかり提案していたこともありました。

何度かリニューアルして作られ続けている、定番の生地です。

ネイビーの限りなく無地に近いピンチェック。

小柄なK様。どうしても小柄な方は、既製服から選ぶとタイトすぎる洋服になってしまいます。

小柄な方に向けた、ゆとりのある洋服というのは巷ではまず見つかりません。

一般的な体型から離れている人であればあるほど、ビスポークをしたときの感動は大きいです。

ですがこれも店やフィッターさんのセンスが全てです。店からの教育しか受けていないような”真面目”な店員さんは、せっかくのオーダーなのに、流行っているからと既製服と同じようなサイズ感にしてしまいます。(残念ながらこういう店がほとんどですが)

これが非常に勿体無いのです。

オーダーをするからこそ、世の中目線ではない、自分だけのシルエットを追求した方がいいのです。

最初の話ですが、自信がないフィッターさんは、お客さんをマイノリティの世界に連れて行くことができません。

「私を信じてください。こっちの方が間違いなくあなたに合います」

と、リスクをとっておすすめしてくれる人が、わたしは本当のプロだと思います。

実はこちらのスーツ、腰ポケットのフタの長さを少し短くしています。

小柄なK様、腰ポケットはどの体型の方もデフォルトで決まっています。

そのため、大柄な方も小柄な方も、腰ポケットの長さは(ハンドメイドの職人さんを除いては)一律の場合が多いのです。

大柄な方ではそこまで目立たないのですが、小柄な方はスーツ全体がコンパクトになるため、ポケットの大きさが目立ってしまいます。

そのため、わたしはバランスを見て、その方のイメージをくみ取り、腰ポケットの長さも調整しております。

1000人いても1人気付くかどうかの話ですが、こういう細かなことの積み重ねが、全体の美に繋がっていきます。

The Navy Jacket style

この仕事をしていると、様々な仕事の方に出会います。

若い船乗りのK様。

下船している限られた時間の中でお越しいただきました。

BERUNの大定番、ブルージャケットにベージュのコットントラウザーズ。

これが似合わない人はいないと言っても過言ではないコーディネートです。

同じ洋服ですが、着る人によって全く異なる雰囲気になるのが面白いところです。

最近完成した、グリーンのヘリンボーン柄のウールリネンのネクタイに、グリーンカラーの小紋柄のチーフを合わせました。

チーフというアイテムに少し引け目を感じる方も多いと思います。

我々日本人は目立つことをきらいますからね。

ですが、チーフがあるかないかで全体のコーディネートの雰囲気は大きく変わります。

そのため、色柄はとことん大人しく、この国では、チーフをただ入れている、という配慮だけで十分です。

赤やピンクのチーフは、枯れてきた年頃のお爺さまが着けていたらとても素敵ですが、まだ顔色のいい若いうちは、色ではない楽しみ方をおすすめします。

ノータイで過ごすならチーフはなおさらあった方がいいですね。

休日にさらっとジャケットを着て出かける機会が増えると、より充実した1日になると思います。

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-Atelier BERUN-
東京都港区元赤坂 / 洋装士

Haruto Takeuchi / 竹内大途

03-6434-0887

https://berun.jp/

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