BERUNです。
サブチャンネル、じんわりとやっております。
メインチャンネルよりもう少しゆったりと、まったりと、濃密(?)なお話しをしております。
私は自分の仕事を洋装士と名乗っております。
テーラード、スタイリング、デザイン、それら全てを担える役割をしたいと思い、洋服のことは任せてください、ということで洋装士と名乗るようになりました。
私のお話は、紳士服の内臓部分のことについてはあまり出てきません。
例えば、スーツの芯地はこのくらいの厚みなら、何という馬の毛のここの部分を使うのがいい。というようなお話など。
漢の世界はどれもマニアックで底なし沼ですので、突き詰めればどこまででも掘り下げられます。
それも一定のレベルまでは非常に大切なのですが、私はそこにはあまり重きを置きすぎないようにしております。
では、わたしが最も大切にしているのは何かと言いますと、
「それは果たして格好いいのか」
ということ。
なんだか格好いいと聞くと浮ついた言葉に聞こえるかもしれませんが、とことん真面目に、男の格好いいについて探求しているのがわたしの仕事です。
技術とセンス、これは全く異なるものです。
勘違いをしている方もいらっしゃるのですが、フルハンドだから良い、フルオーダーだから良い、と思っている方が一定数おりますが、決してそうではありません。
技術の世界は底なしに奥が深いですが、センスの世界、格好いいとは全くフィールドが異なります。
私は自分自身で大切にしているバランスとしましては、技術を一定以上確実にクリアしたものづくりを守り、格好いいを磨いていくということを意識しております。
オタクではなく、せっかく洋服という、世の中に自分というものを表現することができるものに興味を持ったのでしたら、着ていて自分が引き上がる、気持ちが前向きになる、そのようなものを着て欲しいのです。
そのためには、自分は自分でしかない、という意識を持つことが大切です。
おしゃれはコスプレでもなく、変身ベルトでもなく、ただ、自分がよりよくなるだけです。
タイムスリップするわけでもなく、この洋服を着たときだけ別の人になれる、というものでもありません。
私を私以上のものにしてくれるもの、それが洋服だと思います。
そしてそのゲタを履いた状態で過ごしていくことで、徐々にその状態が普通になっていく。そのようにして、自分を磨いていくことができます。
自分から他人に変わっていては、いつまで経っても自分を磨くということはできません。
私は分かりやすくクラシックという言葉を使っておりますが、私の着こなしや、お作りしているものはクラシックとは違うやろ?と思われる方もいらっしゃるかもしれません。
というのもそのはずで、私の感覚で、クラシックスタイルで大切にするべきところはおさえ、でも我々が生きるのは、21世紀ですよね。という感覚は持っておく必要があると思うのです。
これがないと、古典主義スタイルになります。このスタイルもいいとは思うのですが、私の好むスタイルではありません。
店主一人一人スタイルが異なるのが洋服屋ですので、みんな言っていることが違って当然なのです。ウマが合うオーナーと出会えるかどうかが大事です。
サブチャンネルの件から気がつけばこんな話になってしまいましたが、サブチャンネルでは、私が思う格好いいについてお話ししていきたいと思いますので、ぜひご覧いただけますと幸いです。
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Taylor & Lodge Lumb’s Golden Bale
今はなき、近い将来には幻の生地になっているであろう、Taylor & Lodge社のLumbs Golden Bale(ラムズゴールデンベール)。
昨年末、こちらのコート用の生地が英国から出てきまして、確保いたしました。
ダークネイビーの綾織と太畝のヘリンボーン柄、こんなベーシックで間違いない色柄が2種類も見つかりまして、感無量です。
季節は過ぎてしまいましたが、そんなの関係ないという方がご注文いただいております。
この手の生地は私から勧めて出すものではありませんので、名指しで言ってください。笑
裏にしまい込んでおります。

いつもお越しいただいておりますS様。

以前、カシミヤのネイビーチェスターフィールドコートを作成いたしまして、今回はウールのコートが欲しいというご要望でした。
ウールの中でも極上の生地で、下手なカシミヤよりも上質な生地であるラムズゴールデンベール。
ネイビーのウールコートはこれにて完結!と言っても過言ではありませんね。

S様、この度はありがとうございました!
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Crown Flannel
いつもお越しいただいております。K様。
ネイビーかグレーしか着られないK様、シンプルでストイックなコーデはその方のスタイルとして構築されていきます。
今回はダークネイビーのフランネルジャケットに、チャコールグレーのフランネルトラウザーズという組み合わせ。
いやぁ、お手本のような上下、パスタでもペペロンチーノが一番難しいと言われているように、これだけシンプルだと、ごまかしが効かないですよね。
やりがいがあります。

ジャケットはWilliam Halstead社のクラウンフランネル。
トラウザーズはSavile Cliford社のフランネル。

どちらも目付は400gmオーバーですので、余裕で20年選手です。
中の合わせ方次第で、カジュアルにもすることができるので、この組み合わせは1つあると非常に重宝します。

こちらの洋服のお話とは関係ありませんが、ポロシャツでXLサイズがあれば本当に嬉しい。とK様からお声をいただきまして、意外とそういう意見はあるかもしれないと思い、今夏に向けて、XLサイズもお作りすることに致しました。
待ってました!という方がいらっしゃいましたら、大変嬉しく思います。
K様、いつもありがとうございます!
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ツイード散歩
初めてお越しいただきましたY様。
ツイードのセットアップを着て、お散歩をされたいというご要望でした。
BERUNで最後のストックであるLovat社のツイード生地で3ピースをお仕立ていたしました。

なんと、ちょうどキャスケットも作れる余白がありましたので、久々の5ピースでお作りいたしました。

5ピース全て合わせて着ることはあまり多くはないでしょう。

ジャケットとキャスケットのみ。
トラウザーズにニット、アウター、そしてキャスケット。
ジャケット、トラウザーズ、ベストなしでニットの上にブレイシーズ。
色々な組み合わせを楽しむことができます。

ツイード✖️ウインドウペーン✖️3ピースとなるとなかなか気が引ける方もいらっしゃるかもしれませんが、こうやって見てみると、意外といけるじゃん。と思っていただけるのではないでしょうか。
とは言いましても、やはり柄の出方は大事です。
これ以上柄が前に出過ぎてしまうと、スーツが歩いているというように見えてしまいます。
やはり主役は主人である必要がありますから、洋服と自身は対等である構図を保ちましょう。

Y様、この度はありがとうございました!
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シンプルネイビースーツ
初めてお越しいただきましたH様。
お仕事の関係上、無色透明である必要があるということで、濃紺の無地のスーツをご希望でした。
Taylor & Lodge社のウール100%のネイビー生地で3ピーススーツをお作りいたしました。

もう、説明はいらないですね。非常に素敵です。



私がもう一回人生があるなら、スーツとタイは紺無地、シャツは白、靴は黒のキャップトウ、鞄は黒のアタッシュ。時計は黒の革ベルトに白文字盤のホワイトゴールド、以上。
という端正極まりないスタイルを極めるという生き方をしたいものです。
ないものねだりですね。笑

1つの美学の完成形だと思います。
H様、この度はありがとうございました。
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-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士
Haruto Takeuchi / 竹内大途