BERUNです。
先日発売したローゲージニットですが、大変ありがたいことに多くの方からご注文をいただきまして、ほぼ完売となってしまいました。
まだ全て完成してきておらず、完成次第順次配送いたしております。
まだお手元にお届けできていないお方もいらっしゃいます。お待たせしてしまいまして申し訳ありません。
多くのリクエストをいただいておりますので、季節ものだけど、工場に追加で作成をお願いできないかと確認したところ、このニットを編める機械が1週間だけ空いているということで、15着なら作れると連絡をいただきました。(1日に3着しか作れないそうです)
編み地もかなり凝っているため、時間も手間もかかり、それに伴いエラーも多いそうで、「次回からは値上げしますネ♡」と言われてしまいました。泣
ということで、アイボリーとグレイッシュブラウンの2色のみ、ただいま追加で作成を行っております。
「なんだよタケウチ、もう暖かくなるからいらないんだyo」
とか思わずに、ぜひ楽しみにお待ちいただけたら幸いです。
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アーカイブコートNo.1
BERUNの新しい試み。
コレクターと呼ぶにはおこがましいですが、私自身古い洋服をしこたま買い込んでおります。
呼吸をするように洋服を買っているワタクシでございます。
私のお客様で、生粋のキ◯ガイの時計好きのお方(68歳)がいるのですが、その方と最近お会いした時に、
「歳を取っても欲しいものがあるということは素晴らしいことだよ。ものを集め続けられるというのは才能だよ」
と言っていまして、その言葉を聞いて、私もこのまま真っ直ぐ行ってもいいんだなと思いました。(オイ笑)
私自身思い返しても、小学校1年の時に親から1,000円を渡され、お菓子を買ってきていいよと言われたので、10円以下のお釣りだけ残し大量のお菓子を買い込んで帰った時、親に呆れられたのを覚えています。(親は100円くらいだけ使ってくるものだと思ってたそうです笑)
その後も、修学旅行の時は親からもらったお小遣いを数円だけ残し、お金は全て洋服に消えていました。
だって、青森の田舎では買えないものが京都や大阪とかに行けばありますからね。
当時友達と買い物に行っては散財をして、旅館で夜な夜なファッションショーをしていました。笑
まぁ、そんなわけで私は治す薬のない生粋のもの集め野郎な訳で、そう考えますと今のこの仕事は天職なわけです。
そんな私のコレクションの中から抜粋して、このコートの形を起こしたいと思ったものを、今後少しずつオリジナルの型として作っていこうと思っております。
それをそのまま抜くのでは芸がないので、現代的な感覚とも合わせ、BERUNなりのエッセンスを加えて作っていきます。
今回、そんなアーカイブシリーズと称して完成してきたコートの第一号がこちら。

ラグランスリーブのチェスターフィールドコート。
1950年代のスタイル。
袖は前に振っておらず、下にストンと落ち、ウエストも絞られず、袖はターンナップ。
こちらは昨年の春頃から進めていた1着。


シーチングを経て、何度かのサンプルを重ね、完成いたしました。

この形は個人的に大好物なスタイルで、ザ・チェスター!という形も大好きなのですが、こういった飾らない男くさい形はなんとも玄人受けすると言いますか、とても格好いいと思うのです。

世の中を見ていると、笑っちゃう位どんどんカジュアルになってきています。
服の色は黒が目立ち、皆同じような服を着ている。
昔の流行とは異なり、アムラーやあゆのような完全にみんながこの人に影響を受けていると言うような分かりやすい流行ではなくなっているのですが、それでも皆同じになってしまうのは不思議ですね。
これは別に私が歳をとったと言うだけではなく、発信する側(流行を作り出す側)のアウトプットが平均化してきていることが理由だと思います。
みな違うように見えているのに、根本的には同じ島にいる。
その島の中でそれぞれ違うことをやっているので、広い世界で見るとみんな同じジャナイ?となってしまうわけです。
これは情報が増えすぎて、情報の質が均一化してきているのが原因だと思うのですが、情報が今より乏しかった昔は、それぞれ個性があり、みな一人一人のスタイルが確立していたように思います。
それに伴う、最高にダサいやつというのも昔はいましたが、今思うとそれも含めて一人一人のスタイルであり、個性だったんです。
そんなに世の中がカジュアルになり、なんでも着ていい世の中になるなら、では思う存分ドレスアップしてもいいですよね。というのがわたしの考え方なわけです。
今世は唯一、自分の着たいものを毎日選べる人間に生まれたわけですから、それは楽しみを享受しないともったいないですよね。
だって来世でくらげにでもなったら、そんなこと思うわけもなく一生を終えるわけですから。
洋服選べる人生、最高ー!
というように思えると、みんなと同じような洋服を着てるのがなんだか滑稽と思えてくると思います。
みんながこれをいいと思っているから、私がこれを着ている。
という他人が動機である行動ではなく、私がこれを着たくてこれを選んできている。
という能動的な洋服選びができれば、こんなにも良い人生はないと思います。
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BERUNに来られるお客様でも、最近はボディーメイクをしている方が増えてきております。
体は乗り換えができない乗り物なわけですから、それは錆びさせずに、しっかりとチューンナップする方がいいと思います。
そして、外側だけではなく、中も食を通して体をしっかりと良い状態に持っておく。
中と外をしっかり整えたら、後はそれを守り、飾るためである洋服があれば、もうそれでオーケーではないでしょうか。
昨今、世の中がうんぬんという悲観的な声を聞くこともありますが、これはいろいろな職業のポジショントークで、筋トレ好きな方であれば、
「とりあえず筋トレすれば全てオーケーよ」
というアドバイスがあると思いますし、私であれば、
「お気に入りの服を着て散歩をして、カフェに行ってお茶をする」
それだけで実際最高の1日を過ごせるのです。
コロナの時がまさにそれでした。
人とも会えない。どこに行っても閉まっている。
そんな閉鎖的な中、私のお客様の多くの方がお話していたのが、お気に入りの服を着て、ただ街をぶらぶら散歩する。
1日中家にいると気が滅入ってくるので、それをやるだけでかなり気持ちがリフレッシュされた。
というお話はよく聞きました。
何を言いたいのかわからなくなってきていますが、洋服というものは良いものですよ。(なんだそのまとめは笑)
そして、私はメンズファッションが最も栄えていた時代の洋服を日々掘り下げては、新しい発見をして、それを現代にアップデートして呼び起こす。ということを、今後も続けていきたいと思っています。
それをこのアーカイブシリーズでこれからも体現していきたいと思います。
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メタルとツイード
今回が2回目のオーダーであります、H様。
いつも北海道からお越しいただいておりますが、初めてお越しいただいた時は、アイアン・メイデンのコンサートと合わせて来ていただきました。
遠方から来られる方は、BERUNにだけ来るという目的でわざわざ来ていただく方も大変ありがたいことにいらっしゃいますが、他のイベントと合わせてお越しいただく方もいらっしゃり、それもその方それぞれのお話を聞けるので、いつも楽しくお話させていただいております。
1着目にお作りしたのは、いきなりヴィンテージの、ホーランドシェリーのツイードのスリーピーススーツ(+ブレイシーズなので4ピース)でした。
今回お作りしたのは、私のお気に入りの生地であるドーメルのスポーテックスヴィンテージの、ホームスパン柄のグレースーツ。お色はブラウンです。

ほどよく懐かしさを感じさせるような牧歌的な雰囲気がありながらも、現代的なバランスもあまり、とても趣味の良さを感じさせてくれるスーツになります。


このスポテックスヴィンテージは、BERUNのオリジナルのブルゾンで使っております。
そのぐらい私の中では、かなりバランス感覚の良い、完成度の高い生地だと思っております。
北海道は今雪が大変だと思いますが、北海道で、メタルを聴きながらツイードを着て冬をお過ごしください。

H様、いつもありがとうございます。
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グレーカバートコート
いつもお越しいただいております、N様。
今回はコートをご注文いただきました。

選んだ生地は、William Halsteadのカバートクロス、お色はグレー。
カバートクロスは強さもありながら、上品さも感じさせてくれるとてもいい生地です。

今回のようにタートルネックでカジュアルに合わせて頂いてもよし。
もちろん、スーツやジャケットにも合います。

すらっと背が高く、肩幅が広いお身体で、そのまま身体に合わせてしまうと肩が強調されて見えてしまいます。
かといって肩を狭くすると、なんだかイマドキのきゅっとしたコートになってしまいます。
肩のゆとりをとり、バスト、ウエストラインもしっかりとゆとりを持たせることで、自然なシルエットになります。
良い洋服とは何かと聞かれたら、私は着ていないように身体に自然に包み込まれる洋服。と答えるでしょう。
どこもキツくない、だけどゆるくはない。というのが理想的なシルエットです。
N様、以前お作りさせて頂いた、ネイビーのチェスターフィールドコートと合わせてご活用ください。

いつもありがとうございます!
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細身で高身長の方が着るスーツとコート
以前、コートをご注文いただきましたI様。
今回はスーツとコートを合わせてご注文いただきました。
お知り合いにスーツ屋で働いている方がいるとのことで、今までそこで仕立ててもらっていたそうですが、この度BERUNにてお作りさせていただくこととなりました。
身長は187cmとかなり高身長なのですが、かなり細身で、このお身体のおかげで洋服選びはかなり難航されているとのこと。
確かに、世の洋服は180cmくらいまでが上限なものが多いと思います。
185cmくらいまで大きくなってくると、選べるものの選択肢がかなり狭まってしまいます。
まぁ、なのでオーダーの価値を最大限に享受することができるとも言えますね。

今回選んだ生地はDormeuilのダークグレーフランネル。ヘリンボーン柄が入っている、非常に渋くて格好いい生地です。
重さは450gmsほどあるので、かなりヘビーウェイトです。

高身長で細身の方に対してやってはいけないフィッティングは、その身体に合わせて細身に作ってしまうこと。
高身長が相まって、余計細く見えてしまいます。
細身の方こそ、しっかりとゆとりを持たせる。ですが、決してオーバーサイズにはしない。
そうすることで、スーツの中に層が生まれて、おしゃれさではなく、余裕、威厳を感じさせてくれます。
おしゃれさとスタイルというのは同方向にはありません。
おしゃれさの先には、”超おしゃれ”、”おしゃれの達人”しかありません。
スタイルというのは、おしゃれとは縁遠い、その人自身の生き様なのです。
私が提案しているのは、スーツをおしゃれに着るのではなく、自身のスタイルとして着ませんか、ということ。
スタイルとして着るのであれば、流行に振り回されている場合ではありません。
私はこれで行くのです。というのがスタイルです。
いわば哲学でしょうか。洋服の着方がその人自身の思想、哲学になるのです。
その先には、超おしゃれや、おしゃれの達人とは違う人生の味わい方があります。
私の話で言いますと、私はスーツとジャケットの上着のサイズ感は今は変えておりません。
昔はジャケットの方が少しだけコンパクトに、と考えておりましたが、ここ1,2年で、私の中で理想的な身体のフィット感というものが見えてきました。
そうなりますと、あれこれ変えるというようなことはせず、全て同じでいい。生地が変わるだけで全く違う見え方がするから、それでよしなのです。
そこをあれこれ変えるのはおしゃれ番長の仕事で、私はその星にはいないのです。
そうなりますと、洋服のことで細かなことを考えることはなくなります。
私が常に言っていることですが、洋服は洋服、それ以上でも以下でもないのです。
人生という壮大なRPGの中にある装備にすぎません。
今の自分に必要な装備を揃えたら、冒険に行きましょう。
その冒険を快適にしてくれる、助けてくれる装備を揃える。それが洋服選びです。
なんだかドラクエをやりたくなってきました。。笑
さて話は本題に戻りますが、細身のI様でも、しっかりとゆとりを持たせる、そして上着の丈もしっかりとお尻の隠れる長さ、トラウザーズもゆとりを持たせ、フルレングス。


そうすることで細くシュッとしたスタイリッシュ!という印象から、落ち着きのある雰囲気に変わります。

I様にはアルスターコートもお仕立ていたしました。

こちらもたまたまDormeuilのグレージュカラーの肉厚なコート生地。

英国でたまたま1着だけあった生地で、非常に厚みがあるのですが、柔らかさもある、とても上品な生地でした。



仕上がりもとても素晴らしく、美しいコートが完成しました。

I様、ぜひたくさんご着用ください!
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ベビーキャメルの魔力
いつもお越しいただいております、M様。
今回は冬のジャケパンをお考えでいらっしゃいました。
色々生地を見ていますと、「おや。」ある生地に反応されました。
あぁーその生地ですか、至高の生地です。

ヴィンテージのベビーキャメル100%。もうこれは2度と手に入りません。


非常にとろみ、ぬめりのある生地で、英国のラグジュアリーの最高峰と言ってもいいでしょう。
他の生地とも悩まれておりましたが、ジャケパンのパンを削り、こちらのジャケットに魂を込めるということで、ご注文をいただきました。

まぁこれは至高です。本当に素晴らしいです。

何もいう必要はありません。
M様、この度はありがとうございました。
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最後になりますが、2月1日で、BERUNは16周年を迎えました。
21歳の時に文字通り本当に何もわからずに始めた事業が、今こうして少しずつ宇宙の中のほんのわずかに見える小惑星位の大きさになってきているのかもしれないと感じております。
これからも背伸びをせず、同じスタンスで淡々とやっていきたいと思っております。
石切職人のように地道に、でもハートは熱く壮大に生きていきます。
ここまで生きながらえさせていただいた皆様に心から感謝しております。
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-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士
Haruto Takeuchi / 竹内大途