BERUNです。
日頃お客様と話しをしていますと、日常のケアの方法を聞かれます。
わたしは何をするにも洋服のケアは、
「ブラシに始まりブラシに終わる」
と思っております。
極力、洋服はクリーニングには出さない方が長く着続けることができます。
わたしも持っているスーツ類は、作成してから一度もクリーニングしていない洋服がほとんどです。
日常のケアはブラシのみで十分だと言えます。
そのくらい洋服を大切に着るうえで、ブラシという物は必要不可欠とされているのです。
コロコロや毛玉取り機を使ってしまうと一時的にはいいのですが、生地が痛み、毛先が散らばったままになってしまい、毛玉がよりできやすくなってしまいます。
これらはなるべく使わないようにした方が洋服のためにはいいです。
しかしブラシがいいというのはわかったものの、巷に出回るブラシの中で何を選べばいいのかわからないのも事実。
2000円程の物から1万円を超える物まであります。
東急ハンズのブラシコーナーに行っても潤沢に揃っている洋服ブラシ。
正直、こんなにあっては迷うだけです。
数あるブラシの中でわたしはお客様には、老舗ブラシ店である「江戸屋」のブラシをお勧めしています。
あまりにも有名すぎてわたしが今さら言うのもなんですが、やはり老舗のクオリティは素晴らしいです。
品質に対して価格が高すぎず、気軽にいくつか揃えていけるのも魅力の一つ。
わたしはここで洋服ブラシ、靴ブラシ、シャツを洗う用のブラシ、すべて揃えています。
<江戸屋 洋服用ブラシ(カシミア用) 木の葉形>
なぜカシミア用を使っているかと言いますと、江戸屋のウール用ブラシはしっかりと堅さがあるため、ツイードなどのような質実剛健な生地には適していますが、現代出回るようなソフトな生地の物には少し強すぎてしまいます。
生地に対してあまりにも強すぎるブラシをかけていますと、逆に生地を痛めてしまうことになりますので注意をしてください。
ウール・ラムウール・アンゴラ・カシミア・アルパカなどには柔らかいブラシを使うのがいいでしょう。
ブラシが洋服に適しているか見分ける方法ですが、ブラッシングをしたときに生地が引っかかるような感触があるものは、ブラシが生地に対して強すぎるときです。
自然に撫でられるくらい自然にかけられる物がベストになります。
しかし、表面を上から下に撫で下ろすようにかけているだけでは、毛の奥に入ったゴミはかきだせません。
正しいやり方としましては、手首のスナップを効かせ一点一点かけていきます。
ブラシの全面を使う感じではなく、ブラシの端を立て、スナップを効かせて「こしとっていく」感じです。
よりしっかりとブラッシングしたい場合は、まずは下から上に毛をかきあげるようにブラッシングしていきます。
そして毛先の奥に詰まったゴミやほこりをかきだしていきます。
その後、逆立った毛を整えるように上から下へとかきおろせば大丈夫です。
柔らかい生地ではなくツイードなどのような固めの素材の場合は、より固めのブラシを用いましょう。
わたしが使っているのはこちら。
<Tailor of Old Bond Street>
こちらはBERUNでもいくつか確保しております。
毛先が短いためコシが強く、しっかりとかきだすことができます。
手で鷲掴みするタイプのブラシは、先ほどのようなスナップを効かせるような器用なやり方はやらなくても大丈夫です。
コシが強いため、ただ掴んで上から下へとかき下ろしていくだけで十分にブラッシングされます。
~ブラッシングの効果~
ブラッシングをすることで、毛に詰まったゴミを取り出し、毛並みを整えることができます。
毛並みを整えることで毛玉になることを未然に防ぐこともでき、またウール本来のツヤを蘇らせることができるのです。
人間の身体は毎日洗いシャンプーで洗髪しますが、洋服は日々排気ガスやほこりを浴び続けるまま何もしてもらえていません。
「今日一日ありがとう」
という思いを込めて、脱いだらブラッシングをしてクローゼットにしまいましょう。
家に着いたら真っ先にブラッシングをするクセをつけると、長い将来絶対に損しません。
ゴミが付いたら、コロコロではなくブラシで取る。
毛玉が付いたら、毛玉取り機ではなくブラシを懸命にかける。
ブラシを使って愛情を持って手入れをすれば、大切な洋服も”経年変化”といった素晴らしい恩返しをしてくれるでしょう。
「ブラシに始まりブラシに終わる」
ベルンでした!
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