今の仕事に情熱を燃やし続けられるか

ベルンです。

気がつけば、2月も終わりそうです。
少しずつ15℃を超える日があったりと、春を感じる時間が増えてきていますね。

さて先日、縫製業界の裏方で30年以上仕事をしている業界の方とお話をする機会をいただきました。
その方は複数の本を出版しているある人の知恵袋のような方だったそうです。

30年前のファッションシーンと現代のシーンとの違いと分かりやすく教えていただき、これから業界はどうあるべきかなど、実に楽しい話を聞かせていただきました。

そんななかで、最近のセレクトショップの話になったのですが、実に面白い話でした。
そのときのお話はこんな話、

「セレクトショップというのは、セレクトのセンスで売っています。だから今売れているブランドに頼り続けていては意味がありません。常に新しいものを探し続けなければ、本来の姿ではないんです」

納得の意見でした。
わたしが物心がついた頃にはすでに有名なお店は大企業であったので、セレクトショップとはどうあるべきで、どのように発展していったかという過程は知りませんでした。

おっしゃるとおり、
セレクトショップは世界中のいいものをセレクトしてくることで、生計を立ててきました。
それが、最近はお客目線でのセレクトが増えすぎてしまい、角の立った面白みのあるブランドが減ってしまっています。
その結果、どこに行っても雑誌で見かける同じような洋服ばかりが並ぶようになってしまったのです。

ここ数年、毎シーズン同じブランドが素材・柄違いで提案していることに、お客も飽きてきているんではないでしょうか。
売り手が怠慢をはじめた時点でお客の成長も止まります。
そうなってしまうと、市場は発展していきません。

セレクトを生業にしている以上、新しいものを探して集めてくることに情熱を燃やし続けることが仕事なのです。

お客さんにとっては、セレクトショップや百貨店は病院のような存在です。
洋服がわからない人は、とりあえず名のあるお店に行き、どうなりたいのか、何が欲しいのか、今の流行りは何なのかなどを聞きにいきます。
店員のアドバイスはオシャレになりたい人にとっては処方箋です。
全幅の信頼を寄せているからこそ、その悩みをしっかりと解決することが求められているんですね。

最後にもう一つ、面白かった話を。

昔活躍した天才的なデザイナー、たとえばクリスチャンディオールやシャネル、イブサンローラン。日本人で言うと川久保玲さんや山本耀司さんなど。
彼らのような人がなぜ、今彗星の如く現れないのか。

一つの発想ですが、そのような天才的な人は、成熟しきった国では現れにくいそうです。
枯渇したアイデアで有り余った欲求。
それがうまく化学反応を起こしたとき、天才が生まれ、国単位でバックアップするパワーが生まれる。

今はヨーロッパも日本も成長しきってしまい、モードは本来もっている力を失ってしまいました。(モード本来の役割であったメッセージ性は今はもう感じられません)
こんな時代では、なかなか時代を動かすような人は現れにくいのだそうです。

作り手側が平均化していることもあり、売り手が似通ったセレクトになってしまうという影響も考えられます。
卵が先か鶏が先か。

うーん、面白い話でした。

また書きます。

ベルンでした!

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