ベルンです。
最近あまりにも私的なことしか書いていないので、ただの趣味ブログになりかけていました。
わたしは洋服屋です..笑
2月頭から少しずつですが、春物の生地がアトリエに届いております。
「ハリソンズ」や「ホーランド&シェリー」、「エドウィンウッドハウス」など、英国の素晴らしい生地は毎年定番で扱わせていただいております。
そんななか、今年は少し変わった春夏向けの生地も新たに仕入れました。
こちらはコットン/リネン。
BERUNでは珍しいイタリア製の生地。
イタリアらしい軽やかな色合いが多いです。
Price ¥95,000 (Tax included).
コットン50/リネン50という、お互いのメリット・デメリットをうまく打ち消し合った生地。
リネン100の風合いはもちろん素晴らしいのですが、いかんせんとてもシワになりやすい。
スペンスブライソンなどのようなハリのあるリネンならまだ大丈夫ですが、今どきの柔らかいリネンですと、うっかり背もたれに寄りかかってしまったらおしまいです。
背中はじゃばらのように折れ曲がり、1日ブルーになります。
イタリア人はそのシワを楽しむ民族性ですが、綺麗好きの日本人には到底理解できないでしょう。
触って握ってみてハリを確かめますが、しっかりと弾力がありいい感じです。
コットンの硬さもありながら、リネン特有のざくざく感がある。
余談ですが、これは意外と知られていない話なのでお話ししておきます。
ツイードやオックスフォードシャツなどはタフさを売りにしている生地ですが、実は毛玉ができやすいというのはご存知でしょうか。
毛玉のできやすさは、当たる表面積の広さによってきまります。
シャツで言うと、最も毛玉になりにくいのは全く織りの入っていないシンプルなブロードなんです。
上着の生地でも、ツイードのようにざくざくと起毛している生地は、当たる表面積が少ない。
そのためブラッシングもせずに着倒していると、気がついたら毛玉だらけになっているなんてこともあります。
もちろん生地の密度や柔らかさによって変わりますが、強い生地だからと言って安心していると、知らぬ間に痛い目にあっているかもしれません。
ちなみに、ツイードは毛玉ができてもしっかりとブラッシングをかけ直していくと、また元通りの状態に戻すことができます。
大切な衣類には、ころころや毛玉取り機は使わないでくださいね。
詳しい手入れについてはまた後日。
話しは脱線しましたが、コットン/リネンの生地はイタリアに行った際に見て、その風合いに惚れました。
とても魅力的で使いやすそうな素材だなぁ、なんて思っていたのです。
ことあるごとに取引先の生地屋にコットン/リネンを探している旨をにおわせ続け、今年ようやく見つかりました。
リネンという素材は、耐久性があり長く持つと思っている方が意外と多いのですが、そんなことはなありません。
濃い色であれば色は抜けて白くなっていき、シワもどんどん取れなくなっていきます。
柔らかいリネンであれば、2、3年着られれば御の字ではないでしょうか。
江戸時代の人が真冬でも頑丈で分厚い麻素材の上着を着ていたという話しはありますが、その当時の麻と今の時代に合わせた薄く柔らかい麻はまったくの別物です。
元々リネンジャケットはセレブの一夏のリゾート着だったので、それを長く着るという発想はあまりクールではないかもしれません。
だからこそ一着を長く楽しみたい人には、リネン100より他の素材が混合している方が使いやすくていいのではないでしょうか。
こちらは昨年Policarpo(ポリカルポ)社の生地を使って仕立てたサマージャケット。
ポリカルポは惜しくも数年前に廃業してしまいました。
ジャケット生地に定評があったブランドでした。
イタリアも素晴らしい生地メーカーを失ってしまったものです。
こちらのウール50/リネン50の素材も抜群。
リネンは他の何かと組み合わせて、より良さを引き出す事ができるのでしょう。
ビジネスシーンで着る場合はウール混、カジュアルやリゾートのイメージであれば綿混。
そんなイメージがよろしいかと思います。
もうツイードともしばらくお別れになってしまうかと考えると残念ですが、麻が着られるとなると夏が待ち遠しいものです。
これからの季節は、明るい色が着たくなります。
少しフライング気味で、春を先取りしたいものです。
ベルンでした!