BERUNです。
東京は8日連続猛暑日と、異常な記録を更新しました。。
さすがに体温を超えた空間で暮らすのは人間には耐えがたいですね。
わたしはねぷたを見に3日ほど前に青森に帰ってきていたので、難を逃れることができました。
さて、今は9月のわたしのウェディングに向け、着々と洋服を揃えています。
わたしのディナージャケット(タキシード)は自身で作っていますが、妻のドレスは師匠のウェディング部隊にお願いしています。
最近、シーチング(仮の生地を使ったもの)を使った仮縫いがあり試着に伺ったのですが、わたしたちは今回なにも選んでいません。
周りの方と話をしていて、
「どんなドレスを作っているんですか?」
と聞かれますが、
「分からないんです」
と答えるしかないのです。
周りからするとポカン、ですね。
なんで自分たちが着るドレスがどんなものかわからないのか。
わたしは、本来のビスポークの愉しみはここだと思っています。
餅は餅屋であり、信頼できるプロに出会ったら、後は全幅の信頼を寄せる。
完成したものは、たとえ自分の想像通りのものでなかったとしても、元々の期待を大きく超えてくれることもあります。
(よほど自分の理想像が決まっているときは別です。そういうときは御用聞きスタイルのお店に行くといいでしょう)
本当に素晴らしい作品は、瞬間的に評価されるものではなく、1年後、2年後と時を経つ毎に良さがわかってくるもの。
自分で色々と決めていく楽しみも勿論ありますが、そのやり方では自分の知識・経験以上のものは出来上がることはありません。
その道のプロで、24時間そのことを考えている人だからこそ、お客には見えないことが見えています。
そこにかけてみる楽しみが、ビスポークにはあるのです。
そもそもビスポークの語源とは、
「Be spoken」=話し合って作るもの。
という意味です。
この話し合う部分を、日本人はディテールなど細かい部分を話し合うと考えがちですが、本家のビスポークでは違います。
実際、驚くほど洋服の話をしていないのです。
彼らは、ずっと世間話をしています。
そこでしばらく話したら、思い出したように用件を話し、後は任せたよ。と店を後にする。
イギリスにいたときに聞いた話ですが、ヨーロッパのお客様は、何を作りたいかしか言わない人がほとんどだそうです。
「これから着られるジャケットが欲しいから、3着お願いね」
そして完成した品を渡すと、
「君はこの生地が僕に似合うと思って選んだんだね、ありがとう」
そして後日、作ったものの感想を聞いてみると、
「あの2着はとても気に入っているよ。でも、もう1着は僕の好みじゃなかったかな。だから、あの2着が僕の好みだって覚えておいてね」
ビスポークとは、物を作るというより、”その人に作ってもらう”というのが本来の姿なのでしょう。
そして、その人らしさを感じることが、全てを任せるという行為なんだと言えます。
今のは極端な例であり、日本でまったく同じようなスタイルをできるか、というと国民性もあり難しいと思います。
しかしわたしは、それに近いスタイルの方が、結果的に双方にとってよい方向に進んでいくことが多いと思うのです。
その人を信頼できないのなら、そもそもお願いするべきではないと思います。
人と人が共有し物ができる。
こう書いているわたし自身、書きながらとてもプレッシャーを感じています。
そのため、わたしも日々ブラッシュアップしていかなければいけないのです。
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