BERUNです。
ここしばらくできていなかった靴磨きを、ここ数日またゆっくりとやっています。
いかんせん足数が多く。。何事も限度があるということを洋服にて実感しております。
久しぶりにオールデンのVチップを磨きました。
左が磨き後、右は前です。ホーウィン社のコードヴァンは、軽くクリームを入れただけなのに宝石のように光ります。オールデンの靴は、完成した後にKIWI社のワックスでかなりのポリッシュをしているため、簡単なケアだけでぴかぴかになります。
このオールデンはわたしが人生で初めて購入した高級靴です。
20歳の頃でした。金がないにもかかわらず、銀座のバーニーズニューヨークでリボ払いで購入したのを覚えています。
あのときは靴のいろはも何も知らず、この靴にはとても迷惑をかけました。
もっと若かった頃、転んで深い傷をつけたこともあります。そのときついた深い傷は残っていますが、だいぶ直りました。今となってはいい思い出です。
雨が天敵だといわれるコードヴァンですが、突然の雨にふられたときも何度だってあります。
もうこのシミは取れないかぁ。。と落胆したときもありましたが、長い年月をかけてケアをしていくといつの間にか消えていました。
靴も洋服も、あまり真剣に向き合いすぎないくらいのほうがいいのでしょう。
よく、コードヴァンは初めのシワの入り方が大事だから、下ろしたてのときにペンで履きジワを入れる、なんてことを聞きますが、なんだか野暮な発想だとわたしは思います。
足の大きさは左右非対称なもので、それをあたかも対称であるかのようにきれいに入れるシワ。とても自然の美しさではありません。
コードヴァンのような頑丈な靴は、細かなことは気にせずただ履いていけばいいのです。
そもそも英国派のわたしは、最近あまりオールデンを履く機会がないのですが。
日本人は世界各国、様々な洋服や靴を合わせますが、西洋や欧米は違います。
自国の文化を重んじて、国やスタイルを逸脱することなく合わせています。
昔書いた話ですが、わたしがはじめてイギリスに行った22歳の頃、エドワードエクリュで仕立てていただいたダブルのシャークスキンのスリーピース・スーツに、オールデンを合わせていきました。
今となってはとんちんかんな組み合わせですが、当時はまだあまり靴を持っていなかったので、事あるごとにオールデンに頼りっぱなしでした。
現地のクロケット&ジョーンズ(C&J)に立ち寄ったときの話です。
入店してすぐにわたしの装いをみるなり、「VERY NICE!!!」と恰幅のよい白髭のおじさまがほめてくださいました。しかし足元を見るなり、顔色が変わります。
なんでだ!こんな英国的なスーツにオールデンを合わせるなんて。
その後、ほかの店員もぞろぞろと来て、このスーツには英国靴でしょ!と、結果、”C&J”の靴を買わされたのはいうまでもありません。
日本にはよくもわるくも、自国の洋装文化がありません。
各国の装いをミックスするのが日本流だという話もありますが、世界の視野で考えてみると、どっちつかずの八方美人のようにも思えます。
スタイルを決めていくことで、必然的に必要なもの、そうでないものが見えてきます。
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