一朝一夕で変わる

BERUNです。

日本人にお洒落な人が少ない原因としてわたしが挙げたいのは、いわゆるプロと呼ばれる方の中に　本当のプロフェッショナルが少ないということです。
物を売る側の人間が、その売る物の本質を知らないのです。
とてもおかしな話なのですが、洋服業界では、こういったことが当たり前のように蔓延しています。

魚屋さんが季節の魚の美味しい調理法を知らない、というようなありえないことが、この業界では起こっているのです。
そのため、このスーツにはどんなシャツを合わせるのか、タイは？靴は？…　といったことを　ヴィジョンを持って指南してくれるプロがあまりいないのです。

BERUNでは全幅の信頼をしていただいた方には、全身揃えてお作りさせていただいています。
これは、お客様とわたしの双方にとって、有益でいい方向へ向かうことだと信じております。

ブランドにはそれぞれの特色があります。その色をわきまえず、雑誌に掲載されているブランドを片っ端から寄せ集めることで、ちぐはぐなコーディネートになってしまいます。
１つ１つのアイテムは、できるだけ主張をしないほうがいい。シンプルかつ上質なものが揃うことで、個体では表現できない魅力が出てくるのです。

スーツ、シャツ、タイ、ブレイシーズ(サスペンダー)、ロングホーズ、靴、チーフ。

ここまで変えると、否が応でも人は変わります。
今までの装いからまったく別世界へ行き、店から外へ出た瞬間、歩き方から立ち振る舞いまですべてが変わっていきます。

帰り際に、お客様がこうおっしゃてくださいました。

「洋服の力ってすごいですね。これはもっと多くの人に知ってもらうべき世界です。」

もし、ご予算が決まっていて、その予算いっぱいでスーツを一着作るということのでしたら、わたしは止めるかもしれません。
全身をしっかりと揃えて、予算内で収める方が格段にいい選択だと思います。

そこで、装う愉しさを存分に知ってもらうことが大切です。
より高級な世界に足を踏み入れるのは、着数が増えてきて、物の善しあしの判別ができるようになってからでいいと思います。

Atelier BERUN

東京都新宿区神楽坂6-8-23

伊達男日和