BERUNです。
11月に雪が降ったと思いきや、また秋が戻ってきたような気候が続いています。
BERUNのお客様は、熱心に身体を鍛えている方が多くいらっしゃいます。そういった方々は基礎体温が高いため、冬でもコートは実際必要ないくらい体感は暖かいという方が多いです。
そんな方々でも、純粋に格好がいいからコートを着たい、そういう気持ちでこの季節を待ち望んで下さっています。とてもうれしい限りです。
確かに、今の時代では「オーバーコート」と呼ばれる重厚感のあるコートは、文字通り”オーバースペック”なのかもしれません(意味は違いますが笑。元々はスーツのような上着をコートと呼んでいました。その上に着るものを差すため、オーバーコートと呼ばれていました)。
だからこそ愉しみたいではありませんか。現実を見つめすぎていては面白くない。非合理なまでに自分らしく愉しんでいいと思います。
アルスターコート(Ulster Coat)
先日、アルスターコート(Ulster Coat)が完成しました。(コートの下にスーツを着せております)
ここ1,2年で日の目を浴び始めたアルスターですが、とてもクラシックな趣が感じられる素敵なコートです。着丈を短くしすぎては、せっかくの雰囲気が台無しになってしまいます。理想は、膝上から膝にかかるくらいまでは欲しいところです。
生地は英「Marling & Evans(マーリング&エヴァンス)」社のLambs Woolを使用しました。歴史のある生地マーチャント(商社)ですが、BERUNが本格的に取り扱いを始めたのは今季からです。
ラムウールとは、子羊からとった柔らかい羊毛のことを差します。そのため、580gmsという厚手な生地ですが、がっちりしすぎておらず、ほどよく柔らかい質感です。アルスターコートらしいソフトな印象になりました。
アルスターコートはトレンチコートの原型
1920年頃までは、このような大きな襟型のコートが多く作られていました。
ダブルのチェスターコートと見た目が大きく異なるところはこの襟部分です。
アルスターコートはトレンチコートの原型であるといわれており、歴史のあるデザインです。
写真で見ていただけただけでもお分かりかと思いますが、ラペルのロールが非常に美しい。
裏地は同系色の赤みがかったベージュ。アセテートは光沢が綺麗です。
こちらのコートですが、バックのデザインは何も施していません。
背ベルトやプリーツが入ったりするものもありますが、極力シンプルに作り、素材と仕立ての良さを前面に引き立たせるように仕上げました。
ディテールがふんだんに施されるものは、ポロコートにとっておきます。
チェスターコートとどう着分けるか
わたしはファーストコートとしては、チェスターフィールドコートを勧めていますが、セカンドコートに薄手のスプリングコートでいくのか、よりクラシカルなアルスターコートでいくのかは、その人のライフスタイルに合わせてご提案しています。
チェスターフィールドコートと比べると、一見、デザインや着るシーンが似ているのではないかと思われるかもしれませんが、着た印象でいいますと全く違うコートです。
チェスターフィールドコートはより直線的で、男性的な威厳を感じさせるコートですが、アルスターコートはどちらかと言いますと、少し柔和でより大人さを感じさせるコートだとわたしは思います。
トレンチコートが枯れた紳士が似合うように、元ネタのアルスターコートも、少し枯れてきたくらいからが、本当に似合いはじめるときなのかもしれません。ですが、似合う年齢になる前に、背伸びをしてたくさん着用する方がいいでしょう。
設立した1,2年目の頃は、ツイード素材を使ったチェスターコートをメインに作っていました。当時はとても珍しがられましたが、その後、ハリスツイードが100周年を迎えたことを機に、クラシック回帰が始まります。そこから、ツイードアイテムが街に大量に出回るようになりました。
最近では既製品でも、ツイードのチェスターコートというのは割と物珍しいものではなくなってきています。
クラシックと謳い続けて7年目ですが、時代の流れの大きさを感じる日々です。
常に時代を感じながら、これからの未来に向けてより良い物を発信していけるように考察することが、何より大切ですね。
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