BERUNです。
ここ数日で一気に寒くなりました。
気温の寒暖差が激しいため、体調管理には十分にお気を付けください。
このくらいの寒さになると、ツイード好きの男たちは早々に麻をしまい込みます。そして以前に作られた、またはデビュー待ちのツイードやフランネルといった自然派の素材を着られる日を今か今かとを待ちます。
気温がぐっと下がったこともあり、今月に入ってからコートのオーダーをたくさんいただいています。
何よりわたしは、ハレの日の洋服を仕立てる次に作るのが楽しみなのがコートなのです。
化学繊維が発達したこと、後は洋服の一着毎にかける金額も変化したこともあり、本格的なコートを着る大人が減りました。
コートこそ、良いものを誂えれば一生ものです。上等なカシミアコートを白髪混じりになってから格好良く着るためには、それより前に”着負けしておく経験”が何よりも大切です。
都心はエアコン環境も万全に整っていることもあり、最近は冬でも屋外を歩く時間が短くなってきています。
その影響もあってか、ニットの上から着るようなジャケットサイズの細身のコートが多く出回っています。
ですが、わたしは決してお勧めはしません。
元々コートは、オーバーコート(Over Coat=外衣)という正式名称があります。ではコート(Coat=上着)は何かといいますと、今私たちが着ているジャケットのことをさしていました。
そして私たちがベスト(Vest)と呼んでいるものは、英ウェストコート(West Coat=胴着)というのが正式名称です。
源流をたどっていくと、やはりコートはジャケットの上からしっかりと着ることが正しい着方です。そして着丈、サイズがその人にぴったりと合っているものが何より求められています。
太もも程度の短すぎる丈のコートは現代のソフトコートの流れですが、本格的なものではありません。
永く時代に流されないものをそろえたいようでしたら、わたしは膝下~膝上の間を、素材・身長に合わせて選ぶことをお勧めします。
<Vintage Harris Tweed>
<Porter & Harding >
上の2点はツイード素材を使ったカジュアルなセミチェスターフィールドコート。
スーツの上に合わせてもよし、カジュアルな服装にもよし、という二兎を得る便利なコートです。
BERUN創業当時からこの仕様は作り続けてきておりますが、2010年頃は今のように、チェスターフィールドコートもツイードもどちらも今のように注目されてはおりませんでした。
(2011年のHarris Tweed 100周年記念でツイードが一気に脚光を浴び、今の英国ブームにつながっています)
この仕様は今もBERUNの冬の定番アイテムとして毎年何着もお作りしています。
ガシガシ着られて、かつチェスターコートの上品さも味わえるというLazyなモダンジェントルマンにぴったりのアイテムです。
<Loro Piana Cashmere 100%>
<Loro Piana Wool 50% /Cashmere 50% >
こちらはカシミア素材を使用したセミチェスターフィールドコートです。
コートはオンタイムでしか着ない。また永く良いものを着続けていきたい、という方にはこちらがいいでしょう。
上襟をベルベットに切り返し、前立てを比翼(前ボタンの隠れる仕様)にしたタイプのものを、本格的なチェスターフィールドコートといいますが、現代ではあまりなじみがありません。21世紀のクラシックは、このセミチェスターフィールドコートで十分ではないでしょうか。
<Marling & Evans Lamb Wool 100%>
昨年から作り始めたアルスターコート。大ぶりな襟とナチュラルなショルダーがほどよくカジュアルで、上品さも醸し出す大人のコートです。こちらについては過去のブログで詳しく書いております。
<W Bill>
<Holland & Sherry>
長いコートには少し抵抗がある。また、通勤で車や自転車に乗る。カジュアルで着る機会も多い、という方には、こちらのピーコートをお勧めしています。
ピーコートと聞くとわたしの世代は学生時代、古着ブームでしたので、学生たちがこぞって安価で肉厚なピーコートを着ていました。そのイメージがあり、どうにも大人が着るイメージがなかったのですが、こちらのピーコートはまさに大人が着るためのものです。
程よい着丈とゆとり、大きめな襟回りが美しい。こういったカジュアル目なアイテムこそ、あえて上質な素材で作ることでいいギャップができます。
他にもいろいろとコートの種類はありますが、BERUNで定番として提案している3種類のコートをご紹介しました。
着られる季節は短いですが、肌に触れることがなく、肉厚な生地を使うものだからこそ、永く着られるアイテムです。
経年変化をしていき、身体にどんどんなじんでいくさまを体感していっていただきたいです。
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