BERUNです。
冬にあれだけ短く切り落とした緑も、気が付けばここまで大きく育ってきました。
自然の強さには関心するばかりです。
写っているバイクは今年の初めに購入したOld Vespa 125。
ローバーミニのポールと同じく、購入してからトラブル続きで本当に手がかかる子ですが、四苦八苦しながらも楽しんで乗っています。
さて、最近、スーツにバッグを背負う男性が増えています。
わたしはあまり好きなスタイルではありません。
歴史をさかのぼってみても、スーツにバッグを背負っていた人はいないからです。
スーツにバッグを背負うスタイルは、美しさよりも機能性を重視したことから生まれたものです。
美の反対に位置する機能性は、労働力として自分を切り売りする姿勢のようにも見えます。
ジェームズ・ボンドのアタッシェケースで知られるスウェイン・アドニー・ブリッグの鞄は、一流の男が持つための仕様になっております。入る荷物は必要最低限。余計なものは入れられないような内容量です。
靴や鞄など、服飾の種類の中でも小さな世界で表現されるものは、大きさのバランスがとても重要です。全ての美しさは方程式で作られています。
物は形を大きくしすぎてしまうと、美しさのバランスを保つのが難しくなります。
初期のi Phoneのように、美しさの黄金律はすべてのものにあります。(肥大化した現代のi Phoneには、今やジョブズが追及した美しさはありません。)
スーツという男性的な美しさを追い求めたものには、バックパックという機能美のみ追及したものはそもそも合わないのです。
それでもどうしてもバッグを合わせたいのでしたら、ツイードのセットアップを作りましょう。それならわたしも納得です。上はノーフォークジャケットで、下はニッカーボッカーズにします。そこまでスタイルを作れば、バッグを格好良く背負いこなすことができると思います。合わせるなら、バッグはレザーのものですね。
生まれた歴史が全く異なるアイテムです。普通のビジネススーツにはバッグはそもそも合いません。
重くとも、片手でビジネスバッグを持つことに、力強く生きる男の姿勢が表れるのだと思います。
同じような話で、未だにスーツのトラウザーズ(もはやパンツと呼びます)の丈が短いものを、おしゃれだと思って履いている人が多いです。
その理由も納得ですが、広告などで見る安価なオーダーメイドの店では、Before Afterという見せ方をしている店があります。あからさまにBeforeにだぼだぼのスーツを着せていて、Afterでスタイリッシュさを見せたいのか、お尻が見えるほどの着丈で、裾が外に跳ね上がったジャケットに、9分丈のパンツを合わせています。
知識がない方はプロを信じるしかないのです。こういう見せ方をしていては、本当に美しいスーツのシルエットが広がらないのも仕方ありません。
わたしがいつも意識しているのは、近視にならず、鳥の目で自分を見るようにしていることです。
つまり、業界の中にどっぷり浸かってしまっては、外からの意見が耳に入りづらくなってしまいます。結果、裸の王様になってしまうことがあるからです。
自然な感性を持っている方であれば、丈の短いパンツをはいている人には違和感を覚えると思います。
ファッション業界ではない人と街を歩いていて、本当によく聞かれます。あの人立ったままで靴下見えてますけど、あの短いパンツはあれでいいんですか?と。
イタリアスタイルなどと言われていますが、靴下が見えるような短い丈のパンツは、南イタリアのナポリでも履いている人はいません。そういうスタイルを現地でしているのは、ファッションスナップ雑誌に常連のように出てくるイタリアのファッションディレクターたちだけです。
装うときには、周りから見られたときにどうみられるか、ということを考えることが大切だとわたしは思います。
深い股上、お尻の下から自然に落ちるゆったりとしたトラウザーズ。
こちらはお客様のイメージもあり、かなりゆとりを持って作ったものですが、このくらいあるとやはりカッコいいものです。細く短くすることで、今どきっぽくなり、それなりに格好良く見せることは簡単です。ですがわたしは、ゆとりを出したギリギリのバランスのところに、真の美しさがあると思います。
最近とある人気のブランドが様々なブランドとコラボレーションをして、とんでもない売値ながらも行列ができ、即完売という状況が続いています。
それも鳥の目で見てみたら、この代物にこの価格を?と首を傾げてしまうものばかりです。
美しさを求めると、ある一定水準まで対価を支払わなくては良いものを手にすることはできませんが、マーケティングに踊らされたものに手を出してしまうと、本質からずれてしまいます。
そのためにも、常に美しさと一緒にいて、本質を見失わないようにしていたいものです。綺麗な音楽を聴いて、美しいものを見て、おいしいものを食べる。
自分の軸を失ってしまうと、世の中の流れにそのまま流されていってしまい、本物が見えづらくなってきてしまいます。
自然にシンプルに、美しいものを美しいと言える感性をもった方々に囲まれて、生きていきたいですし、そういう世界を求めている方を導く店でありたいです。
Atelier BERUN
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