自然と都会の間には

BERUNです。

ラグビー日本代表、アイルランド相手に歴史的勝利を飾りました!!
素晴らしい試合で、80分興奮しっぱなしでした。感動をありがとうございます。
初の決勝リーグに向けて、残りの2試合も楽しみです。

 

自然を感じることが何よりの学び

公園でゆっくりするのが気持ちいい季節です。
都会のオアシス、新宿御苑に行く機会も増えました。靴を脱いで、芝生を裸足で歩く。これ以上のデトックスはないでしょう。
秋にはグリーンやキャメルのコンビシューズ(スペクテイターシューズ)が合います。

都会で生きていると、なんでも効率的にすることが良しとされる風潮があります。
しかし、すべてを効率的にすることは、私たち人間が本来持っている大切なものを失うことになるかもしれません。

たとえば、ガラスは割れるし高価だから、割れなくて安価なプラスチックの製品にしよう。
土は雑草の処理が大変だから、全てアスファルトにしてしまおう。
ウールは高いし、手入れが大変だから、安価で最新技術の備わった化学繊維にしよう。
まさに今、こういう流れがどんどん早くなってきています。

しかし、もしそうなるのが”本当に”世の中の理想なら、私たちは自然を求めて郊外にショートトリップをするというようなことはしないでしょう。新幹線や飛行機があるなら、鉄道の旅などとっくになくなっていてもいいはずです。
本来心の奥底では、これがいいと思っているのに、それをすることが難しいと思わせてしまう世の中になってしまっています。

 

画家セザンヌの言葉に、素晴らしい一文があります。

進歩を実現するためには、自然しかありません。自然との接触によって、眼は鍛えられます。
都会の空気を吸いすぎてしまうと、本当に人間が大切にしているものを忘れてしまいそうになります。
それを自然に足を踏み入れることで、人間の軸を取り戻します

生きるために必要なもの以外いらない。そうなってしまうと、美術、アートなどの嗜好品も無くなります。(ファッションもそうです)
世界は白と黒のモノトーンになり、全てが利便化されたものだけが残る世の中になっていきます。

モノクロの世界に、生きる喜び、活力、楽しさが果たしてあるでしょうか。人生はそれらを全て含めて人生です。あらゆるものは不必要だと、排除した先に残る世界に居続けられる人はほとんどいないと思います。

本来ファッションはライフスタイルから形成され、すべては自然から引用されています。
自然から作り出されたものは無駄がなく、美しく、時代が変わっても変わらない素朴な魅力があります。
時のなすがままに任せ、しきたりを曲げることなく年を重ねた姿は、何にも増して美しいです。

生き方としては、都会にいるときは力強く生き、自然に帰ったときは、しっかりと人間ゲージを補給する、というのが理想です。

 

100% Cashmere herringbone Tweed

さて、洋服のお話をします。
こちらは英スキャバルのヴィンテージ生地。ツイードの100%カシミアというもはや理解不能の生地です。
ツイードはタフであるべき、というそもそも論を根底から覆しています。
1970~80年代のこの時代は、利益やキャパシティーを度外視した、本当に豊かな発想の元に生まれた生地が数多くあります。

ゴワっとしたツイードの触り心地が好きではない、だけれど、そんな自分がいいというツイードがあればぜひ見せてほしい。
というわがままなお客様の要望にぴったりの雰囲気です。
裏地はViscose(ヴィスコース)のパープル。ツイーディな見た目でありながら、触ると極上のジャケット。唯一無二の仕上がりになるでしょう。

同じグレーのヘリンボーンで並べてみました。
右がカシミア100%の生地、左がハリスツイードのウール100%の生地。シワの入り方、ドレープラインを見ていただいても、一目瞭然です。これはもちろん好みです。わたし本人が着るものとしては、やはり左の方が好みです。

Grey Sharkskin 3 piece suit

(シャツはサンプル、靴は私物です)

HPを通して小店に来ていただいたA様。まだお若いながら、アクの強い(笑)こちらのお店に足を運んでくださいました。
最近、若い方から目上の方まで、幅広い方にお越しいただいて大変楽しく仕事をさせていただいております。

今までオーダーは何着かされてきたそうですが、本格的な英国の仕立ては初めてとのことでしたので、ファーストスーツにお勧めしたいグレーのシャークスキンの3ピーススーツをご提案しました。シルエットは典型的なイングリッシュドレープライン。人間の身体を最大限に綺麗に見せるラインだと思います。砂時計型を作り出すためには、現代の服作りと正反対のフィッティングをします。
肩幅はしっかりととり、着丈は長く、ウエストを絞ることで、男性的でエレガントな姿になります。

英Dugdale & Bros.(ダグデール&ブラザーズ)の秋冬用の生地、400gmsという肉厚な生地は、1回着たら2日休ませるというようなルールは無視をして、ぜひ毎日着てほしいです。着倒した先にある、堅い生地がほんのり柔らかくなるさまは、着続けた人にしかわかりません。
はじめは堅物で、無口な男ですが、付き合いが深くなり、仲良くなれば、笑顔がほんのり出てきて、その笑いジワがなんとも愛らしい。英国生地はそんなイメージです。

細身の方だからと言って、肉厚な生地が似合わないわけではありません。
その方に”着る力”があるかどうかが一番大切なポイントです。
どんなに体格に恵まれた方でも、その方が自信をもって、その服を着るという強い意志がなければ、どんな洋服も着こなすことはできません。
今自分がどんなところにいるのか、それを自分本人が見るのではなく、第三者のプロフェッショナルが見ることで、その方の魅力を最大限まで昇華することができます。

Hotel Okura Dinner Jacket

10月に式を行うS様。6月から打ち合わせを綿密に行い、仮縫いを経たディナージャケット(米:タキシード)が完成しました。
ラペルはお人柄、雰囲気、体格を考慮して、へちま襟と呼ばれるショールカラー。
改装が終わり、9月12日にオープンしたオークラ東京で執り行うそうです。歴史と趣のある会場には、無口なディナージャケットが正しい選択です。
式までもう少しです。一生に一度の機会にかかわることができるのが、本当に嬉しいです。

本当に正しくディナージャケットを着ると、目立つということは一切ありません。新郎として晴れ舞台を終えたあとは、普通に友人、知人の結婚式、パーティに着ていくことができます。
決して恥ずかしがらず、普通にスーツを着ているように、着ていけばいいのです。
祝福を表す最大の敬意として、装いがあります。

 


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