BERUNです。
いきなりですが、皆様に質問いたします。
a
ピトロクリー
ブラッドフォード
バートン=アポントレント
b
モルレ
コンカルノー
シャトー・ゴンティエ
c
トルトナ
チェゼーナ
レッジョ・ネレミリア
a,b,cそれぞれ3つずつ名称を書きましたが、皆様はこのa,b,cの中で一番好きな言葉はどのグループでしょうか?
実はこれは、わたしが適当に地図から選んだヨーロッパの街の名前です。
aはイギリス、bはフランス、cはイタリアの街の名前です。
aの地名に心震えたそこのあなた、心はイギリス人です。笑
コロナで世界に行けない今、地図を見ては妄想にふける、心の旅に出かけています。たまにそんな時間を過ごしています。
先日、私の仲のいいお客さんであり友人である人が、会社を立ち上げるため、会社名を考えてると話してくれました。
その彼は新婚旅行にイギリスを選び、FOXの長傘とグローブトロッターを手に持ち、スーツを数着持ち込み、ロンドンの街を奥さんと練り歩いたという100点満点の英国男です。笑
わたしはその話を聞いたとき、ちょうど久しぶりに白洲次郎の本を読んでいて、彼の生き方に痺れていた、まさに”ホット”なときでした。
当時の上流階級の若者たちの遊びの一つはレース。
英国にある世界最古のレース場の名前は「ブルックランズ」といいます。
その響きがなんとも格好よくて、、
「ブルックランズ、、いい響きだなぁ。。とてもイギリスらしい、いい響きだ。と感動していたときでした」
そんなときでしたので、「ブルックランズにしましょう!」とわけのわからないことを言い出したのです。笑
もちろんただそれだけの理由ではなく、彼の人生観とその由来が2つ重なるような話があったので、それをしっかりと説明して、愉しい時間を過ごしていました。その名前が採用されたかどうかは、ご想像にお任せいたします。
イギリスの季節
冒頭、なぜいきなりイギリスの話をしたしたのかと言いますと、ようやく暑い夏が終わり、秋の匂いを感じるようになった今、いよいよこれからイギリスファッションの真骨頂の季節になってくるからです。
ファッション業界の重鎮のある方は、
「夏はナポリ、冬はイギリス。これが日本の四季の過ごし方だ」
ということを話しています。
これには納得します。
しかし、英国に魅了されている人たちは、夏はナポリだ!と簡単にイギリスを捨てることができません。
この暑い夏をいかに英国式で過ごすことができるか、日々試行錯誤します。
しかし秋になるとそんな試行錯誤をする必要はなく、フランネルやツイードを惜しみなく着ることができるようになります。
これからの季節を楽しまないわけにはいきません。
8月のお盆が明けると、まだ外気は36度をマークするなか、ツイードやフランネルを触り、寒くなることを想像して秋冬物に舌鼓を打ちます。
ビスポークに慣れてくると、完成してから1,2ヶ月は着られない時期があるのは当たり前になります。早く着られる時期が来ないかなとクローゼットを眺めながらニヤニヤするのです。その我慢の時間がなんとも幸せな時間です。
ヴィンテージのホーランド&シェリーのドニゴール(ドネガル)ツイード。シルクが少々入っているという珍しい生地です。程よい薄さのため、体型が細い方でも着られるツイードです。
6年暖めたLovat Mill(ラバット)のツイードもお嫁入りが決まりました。
本格的なツイードをお探しでしたら間違いのない生地です。
こちらの生地は新店舗のカーテン用に仕入れた生地です。
タッターソールのカーテンなんて、既製品ではなかなかないでしょう。わたしが大好きな柄です。
ツイードといえど、一言では片付けられない魅力がそれぞれにあります。
大変ありがたいことに、9月はたくさんの方にお越しいただいております。最後の路面店BERUNを見に遊びに来てくださる方が多く、とても嬉しい限りです。
上はヴィンテージのFOX フランネルとホーランド&シェリーの生地です。こちらでスリーピースをお作りします。
太い畝のコットン100%のコーデュロイ生地。こちらもホーランド&シェリーのものです。とても光沢が綺麗だったので、トラウザーズにするより、ジャケットにした方がいいと思い、ジャケットをお仕立てすることにいたしました。
先週コットンジャケットはどうも、、なんて言っておきながらですが、似合う方にはぜひ挑戦していただきたいものです。
どれも仕上がりが楽しみなものばかりで、10月以降もワクワクが続きそうです。
わたしは皆様のこの波に便乗して、4年間暖め続けていたこちらのツイード生地で今年のツイードジャケットを作りたいと思います。
2016年の1月にロンドンに行った際、W Bill本社の生地ストックで掘り出した生地です。しばらく眺めて寝かせていましたが、十分楽しんだので、形にして二部構成で楽しみます。
ノーフォークジャケット&ニッカーボッカーズ
季節を先取って、BERUNの真骨頂のスタイルの洋服が完成してまいりました。
ノーフォークジャケットとニッカーボッカーズのセットアップです。
日本ではニッカポッカと言われていますが、それは正式名称ではありません。正しくはニッカーボッカーズです。
何度か作っていく中で、丈の長さやわたり、膝の幅、裾の収まり具合のバランスをつかみました。とてもいいシルエットに仕上がったと思っております。
合わせたアーガイルのホーズが完璧です。
使用した生地はハリスツイードのモスグリーン。柄が入ってしまうと、時代感が出てコスプレっぽくなってしまいますが、色とトーンを抑えたため、デザインが際立っていても、ほどよく打ち消されています。
とても肉厚な生地です。相当着倒さないとなかなか柔らかくならないでしょう。
背中はアクションプリーツがあるため、肉厚でしっかりとした作りですが、とても着やすいです。
ノーフォークジャケット“風“は巷にありますが、ここまで細部に拘ったものはなかなかありません。腰のベルトも固定ではなく、ふらしで作っているため、より手間がかかる仕様になっています。
後ろ姿も完璧です。
着ていくところは作るもの
洋服が心底好きな人は、周りからの
「この洋服、一体どこに着ていくんですか?」
という愚問は一蹴します。
着ていくところは作ればいいんです。
行く場所に合わせて洋服を選ぶことが一般的です。
ですが、洋服が先行して、行く場所を創作するようにしますと、いつもの時間の流れと変わるので、とても楽しさがあります。
わたしがゴルフを始めた理由はまさにこの理屈で、ニッカーボッカーズを履きたかったからです。
ディナージャケット(タキシード)も、せっかく持っているなら、友人の結婚式、大切な方とのディナーなど、着ていけるところはたくさんあります。
この洋服を着るための人生設計をプランニングする。
大多数の方々とは全く異なる逆の理屈ですが、そんな生き方もわるくないとわたしは思います。
路面店の神楽坂BERUNも残り短くなってきました。
皆様、最後にお待ちしております。
Atelier BERUN
東京神楽坂のビスポークテーラー
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