BERUNです。
別れと出会いの春。ここ最近、365日の紙ヒコーキが頭の中をリピートしています。
春は解毒の季節だそうです。冬に溜め込んだ毒素を出す時期。
野草や野菜も、菜の花、ヨモギやフキ、たらの芽など、少しクセのあるものが旬になります。
頭と身体をリフレッシュして、4月からの新しい年度を気持ちよくスタートしたいですね。
今の時期はライトフランネルの生地が活躍します。
まだ朝晩は気温が下がるため、薄手の起毛生地がちょうどいいです。
先日、イギリスから届いたコットンのポケットチーフ。あまりにも綺麗なパープルだったので、自分の胸ポケットに迎え入れてしまいました。
春は華やかな色を胸に添えて、街を明るく照らしたいですね。
4月に入ると、三者混のようなシルクやリネンが入った軽やかな生地が活躍します。
色味も少しアクセントを入れて、冬の閉じこもった暗い色から脱却していく季節です。
暑い夏はすぐにやってきます。短い春を存分に楽しむために、こういう洋服があればなぁ、、という思いは忘れずに心に留めておきましょう。
究極の理想を言えば、気温5度刻みで洋服選びができるワードローブがあれば、季節の変わり目にも困ることはなく、存分に楽しむことができます。
春秋のマストアイテム、コットントラウザーズ
日本製の生地、VENTILEでトラウザーズを仕立てました。色はダークネイビー。
この生地を実際に使うのは今回が初めてです。とても優秀な生地だったので、ベージュと2色、長めに仕入れました。高密度で作ることによって起きる自然撥水の機能を兼ね備えております。
わたしはコットンの生地で洋服を仕立てる場合、必ず自宅で1日水につけて置いて、その後タンブラー乾燥をかけて水通しをしております。そうすることで、製品になった後の縮みを抑えることができるからです。
ですが、この生地を1日つけておいた後、バケツを覗いてみたら、水をすっかり弾いてしまっていて、全く浸透していませんでした。
水通しをすることができないほど、撥水性能が高いことには驚きました。というわけで、これからやってくる梅雨の時期のトラウザーズにはうってつけです。
カジュアルなコットントラウザーズですが、強気にインの2タックです。裾幅もしっかりと余裕を持ったエレガントなシルエット。スポーティーなコットン素材の概念を変えてみたかったのです。春秋のジャケットスタイルにとても活躍するでしょう。
Von Voyage!
昨年の4月にご友人と初めて来られ、それからご友人と共に人生のワードローブを積み上げて来られたKさん。東京1年生で神楽坂に住われているということで、神楽坂のディープなエリアをたっぷりと伝授していました。(といってもほとんどB級グルメですが)
東京、そして神楽坂にたっぷり魅了されている最中、4月から北海道に転勤するということで旅立って行かれました。残念な気持ちもありますが、また気軽にふらっと帰って来られた時は遊びにいらしてください。
今回でジャケットスタイル3着目のKさん。家は3軒目でようやく理想の家が出来上がる。という話はありますが、ビスポークという世界はどのジャンルでも、それと同じようなステップを踏んでいくと思います。
とても細身なKさんに合う、理想的なスタイルを追求し続けてきましたが、ようやく一つの完成形ができました。
FOX BROTHERSのウール100%のメッシュ生地。ブルーグレーの上にネイビーのペーンがかかっている、とても上品な柄です。
生地のハリに任せて、仕立ては軽く仕上げております。英国生地で、サイズをしっかりと余裕を持たせて作ったジャケットのマニカ・カミーチャ(雨降り袖)は、不思議といやらしさがありません。
胸がない、細身の方がアンコンジャケット(肩パッドや副資材を極力省いたもの)を着ると貧相になってしまう、という話はありますが、そう見せないためにどう表現すればいいのか、というのがこちらの腕の見せ所です。
今のおじいちゃん世代の方は私服というものがなく、スーツが日常着でした。家では寝巻きにも思えるようなカジュアルな服装でいても、こと外に出かけるとなると、ビシッとスーツを着こなし、身のこなしも自然と男らしくなる。それをできる洋服はスーツだけだと思います。
スーツは自分を自分以上に見せることができるアイテムです。身体が細いということに悩みを持っている方であれば、それを解消することができるのがスーツです。太っている人を引き絞まって見せることができるのもスーツです。
その恩恵をたっぷりと受けて、自分を磨き、引き上げていくことに勤しみましょう。
日を重ねる毎にカジュアル化している世界。ネクタイはコーディネートの華として添えているだけなのにも関わらず、世の中から見たら、「仕事?」と思われてしまう時代です。
私服でタイを合わせたジャケットスタイルをしている人は今後、一定のラインを超えるまで、幾度となく「仕事ですか?」と聞かれることになります。
(ある一定のラインを超えたら言われなくなります。それは、堂に入ったときでしょう。)
春と秋でわたしがぜひお勧めしたいのは、スカーフです。あまり着用している人が少ないアイテムですが、朝晩はまだ冷え込む今の時期はとても便利です。
スカーフを一枚巻けば、途端にビジネス感から脱却します。暑くなってきた昼間でも、風が抜けるため暑さを感じません。
カシミアシルクのスカーフは、肌に触れても心地がいいです。Kさん、北海道はまだ寒いかもしれませんが、良い旅を!!
春秋に活躍する洋服、ブレザー
わたしが年中通してお勧めしている洋服、ブレザー。
それだけ推すのは、本当に便利で、活躍するアイテムだからです。
シングルがあればダブルが欲しくなります。これが男の性。
久しぶりにお越しいただいたS様。小柄でありながら、鍛えられた身体と魅力的な雰囲気を持ち合わせています。そのため、着こなせることを見越して、生地もしっかりとしたブレザー生地をお勧めいたしました。William Halsteadのウールモヘア。ダブルのセミピークで、ボタンはアンティークゴールドのメタル釦です。
ここからは完全にわたしのこだわりなのですが、体型に合わせて、釦の大きさを、本来の前釦よりも2mmだけ小さくしました。メタル釦という前に出るアイテムだからこそ、大きさを2mm抑えるだけで、全体の見た目の印象がグッとまとまります。それと合わせて、腰ポケットのフラップの長さも抑えてあります。
このように微妙(=絶妙)なポイントを突いていくことで、完成度がより高まっていくとわたしは思っています。
時期は過ぎてしまいましたが、トラウザーズは春秋冬にとても活躍するネイビーのコーデュロイです。
ブレザーの素材はウールモヘアという春夏の生地ではありますが、不思議とコーデュロイのような冬用の生地にも合ってしまうのが、ブレザーの魅力です。
これが通年通して使えるということですね。
ブレザーというのは本当に便利ですね。ベージュのコットントラウザーズを合わせたら、途端にこれからの季節の印象になります。タイはBERUNのグリーンとベージュのレジメンタルタイを合わせました。さっとローファーを合わせたくなるコーディネートです。
以前からお勧めしているグレージュのシャツ。白よりも肌馴染みが良く、品がでます。スーツでもジャケットスタイルでもOK。これはしばらくBERUNの定番になりそうです。
4月からの新年度、常に何かの1年生だという心持ちで、フレッシュに取り組みたいです。
-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー
東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301