四季がある悦び

BERUNです。

かなり暖かくなってきて、昼間は20度を超える日も増えてきました。
お客様の装いも、モールスキンからコットントラウザーズへ。
ツイードから三者混のジャケットへと移行しております。
季節の変わり目が来るたびに、日本の四季の素晴らしさを実感します。
季節が過ぎたものはまた半年後の再会を胸に。そして、これからの季節に待っている洋服たちとは久しぶりの対面をできるからです。

スポーツ選手にもオフシーズンがありますから、洋服にオフシーズンを作らないというのは可愛そうだとわたしは思います。オフシーズンは必要ない、オールシーズン着られるものがいい、というような方は、洋服をパートナーとしてではなく、作業着としてしか見ていないのでしょう。
大切なもの、想いのこもった洋服こそ、しっかりとケア・メンテナンスをして、たっぷり休ませましょう。

徐々に四季のワードローブが増えてくると、後ろ髪を引かれるより、これからの季節を楽しみに待てるようになります。

春に着るシックなジャケット

英Dormeuil(ドーメル)の生地でお仕立てしたウール100%のグレージャケット。

これは写真では格好良さが伝わらないのですが、渋さと軽やかさが相まっているとても素敵なジャケットです。

グレーのピンチェックのような柄。全体に細かな格子柄が入っていて、近くで見るととてもユニークな表情をしています。

秋冬に着たくなるシックな柄のジャケットをあえて春に着るというのも素敵です。見た目はシックですが、生地も仕立ても軽いため、重々しい雰囲気はしません。

若いながらも、凛とした雰囲気を感じるA様にちょうど合うスタイルに仕上がりました。これこそその人に合わせて作るビスポークの醍醐味です。

春らしい色

春らしい色の洋服が仕上がってきております。

向かって左は、英Magee社の春夏生地、シルク50・リネン50という生地です。わたしが個人的にほしくて仕入れたのですが(そんな生地ばかりです笑)、ピッタリのパートナーが見つかりましたので快く送り出しました。

向かって右は英Harrisonsのlabyrinth(ラビリンス)を使ってお仕立てしたジャケット。

ウール・モヘア・シルク・リネン、と春夏秋に活躍する生地をひとしきり混ぜ込んだ優秀な生地です。290gmsという中肉の生地は、今の季節にぴったりです。

春は明るい色を着たくなります。着たくなるというより、街が求めているような気がします。

日本が最も過ごしやすいこの季節は、明るい洋服を着て、街を華やかに彩りたいですね。

こちらもHarrisonsの生地、Sea shellでお作りしたリネントラウザーズ。リネン100%ではなく、テリレンという化学繊維が入っているため丈夫です。

化学繊維はデメリットこそ多いですが、強度を付けるためには多少は入ってもいい場合もあります。

これによって、薄くてシワがつきづらく、ハリがあるリネントラウザーズが出来上がります。

こちらはコットン100%、VENTILEのトラウザーズです。この撥水性は梅雨の時期に活躍します。

ノータイはモッタイナイ

これからやってくるクールなんとかという日本の政策により、ネクタイをする人が劇的に減っていきます。
GW以降、”ただ”ネクタイを外すだけという人が街に溢れかえります。

洋服の全体のコーディネートは、お弁当に例えてみると分かりやすいです。

たとえば、ネイビーのジャケットに、グレーのトラウザーズ、白のシャツ、タイは無し。というコーディネートは、お弁当に例えると、白飯と唐揚げと卵焼き、というような盛り合わせになります。
これでは少し彩りが乏しい、寂しいランチタイムではありませんか。

ネクタイは全体に彩りを与えてくれるものです。
お弁当でいえば、ブロッコリーやトマトのような存在です。
ネクタイがあることではじめてコーディネート(お弁当)が完成するといっても過言ではないでしょう。

カチッとしたネクタイはちょっとハードルが高い、という方には、わたしはニットタイをおススメします。重々しさが出ないニットタイは、これからの季節に大活躍します。

以前も書きましたが、それでもネクタイはしたくない!という断固ノータイ党の方には、せめて、ポケットチーフを入れていただきたいです。

ネクタイ、ポケットチーフ、どちらもないと、コーディネートの全体がぼんやりして見えてしまいます。その2つのアイテムは、コーディネートを引き締める役目なのです。

ポケットチーフはお弁当であれば、緑のギザギザの草のような形をしたものです(バランと呼ぶそうです。もうこのお弁当の例えいいですか笑)
その彩りがあるかないかで、洋服に”気を遣っている人”かそうでない人かが明確に分かれます。

洋服との付き合い方は究極、そのくらいで十分なのかもしれません。
「この人は洋服に気を遣っている人なんだな」
そう思ってもらえたら十分です。あとそれ以上は趣味の世界です。(その趣味の世界が面白いのですが笑)

気を遣っていないのが格好いい、という生き方をしている方もいらっしゃいますが、そのような方は違った角度で気を遣っているという見方もできます。
どうすれば気を遣っていないように見えるだろうか、と一生懸命考えているのは、もはや立派な気を遣っている人です。(世の中には数%、本当に全く気を遣わないという方も勿論いらっしゃいます)

夏は着用する洋服が少なくなっていくため、気を抜きすぎるとただだらしなくなってしまい、せっかくの一張羅も減点されて見られてしまいかねません。
ほんの少しの気遣いをするだけで、周りから見た印象は一変します。

-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー

東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301

http://berun.jp/
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