Blue & Beige

BERUNです。

自宅が完成したら、必ずお願いしたいと思っていたものがあります。それが先週、完成しました。

自宅の玄関につけるのれんです。(仮付けだったため突っ張り棒です笑)

芸術家、作家が集まるまち藤野では、多種多様なアーティストの方がいます。

藤野に若い藍染職人の方がいるとお聞きしたとき、わたしの中でずっと頭の中にあった藍染ののれんが欲しいという思いが煮えたぎってきました。

その方の自宅兼作業場は、イマドキな古民家風ではなく、リアルな古民家でした。

現代の世の中の藍染は99,9%が化学藍という中で、ものすごい労力と努力をかけて作られる天然藍。
実際に製作の現場を拝見させていただきましたが、全てが手仕事で行われる昔ながらの行程に、本当に好きな人ではないとやり続けることができない、という心意気を感じました。
ちなみに、インディゴという言葉は、化学藍のことなのだそうです。つまりナチュラルインディゴという言葉もないわけです。

こののれんのマークは、作家ご夫婦の奥様が、わたしの苗字の「竹」をイメージしてオリジナルで考えていただいたもの。
蕎麦屋か?笑 と間違うくらい風情のある玄関になりました。
末永く使っていきたいと思います。

この仕上がりを皮切りに、BERUNでは天然藍で染め上げていただいた生地でスーツ、またはジャケットを作ることをやってみようと思っています。
天然藍でしか出せない色があるそうなので、まずはわたしがスペンスブライソンのアイリッシュリネンを使い、実験的に作ってみようと思います。

仕上がりましたらまたご報告いたします。

強撚糸セットアップ

こちらは先週お渡ししたジャケット&トラウザーズです。

ジャケットはFox Brothers、トラウザーズはFresco Lite
どちらも強撚糸で作られている生地のため、タフさが魅力です。強く硬い生地ですので、着心地の良さは二の次です。身体が生地に合わせていくくらい丈夫な生地ですので、たくさん着ていってください。

FOXは上手いですね。本来ウール100%の強撚糸なんて、こんなに表情豊かに出る生地ではありません。

「ツマラナクテ結構。我、フレスコニハ格好良サヲ求メズ。クラシックナラバヨシ」

というような懐古主義的な思考を持った方に愛されてきた生地です。

このFOXの生地は、そこに現代的な柄を用いてきたものです。
素晴らしい。FOXに拍手です。

これならば、懐古主義者も現代人も手を取ることができます。
290gmsのウール100%という、春秋向けの通年使えるジャケットです。
全体はカーキですが、色目が大人しいため、初めてグリーン系に挑戦される方でもすぐ馴染みます。
ネイビーの格子柄が入っているので、より合わせやすくなりますね。

格子のネイビーに合わせて、トラウザーズはネイビーにしました。
日本では、
「ネイビーを下に持ってくることはどうなの?スーツの下を履いてきたと思われない?やはり下はグレーが落ち着くなぁ」
という方も多いと思います。

しかしそれは上をネイビー系でしか合わせたことがない方に多い考え方です。
上にグリーンやベージュ、ブラウンのようなナチュラルな色を持ってきた場合、ネイビーのトラウザーズはとても合います。

今後装いが多様化していくでしょうから、グリーン、ベージュ、ブラウンのジャケットは増えていくでしょう。
そうなったとき、
「下はグレー以外は何を合わせたらいいだろう」
とならないように、フレキシブルに考えてみましょう。

気温と湿度と向き合う

春物が完成してまいりましたが、日本の気候を考えると、春物と呼べる洋服は28度前後が限界かと思います。
そこから先の”世界”は盛夏用の洋服に託しましょう。

欧州のどこの気候にも似たところがない東洋の孤島日本の夏では、生地選びがとても重要です。

たとえばイタリア生地を勧める者もいますが、イタリアとは夏の湿気が全く違います。
細番手で柔らかな生地で作られているイタリアの軽い夏生地は、日本の高温多湿の気候には耐えられません。

ではイギリスものの強撚糸がいいのか、と聞かれれば、それが必ずしも適しているとは言い切れません。
強撚糸は丈夫な分暑いですから、30度を超えた辺りからは1人我慢大会になります。

日本の夏に適した素材を欧州の生地メーカーで探そうとすると限られてしまいますが、色々と経験をしてきた中でわたしなりのお勧めをその人その人に合わせてご提案をしています。

やはり夏はモヘアかリネンがいいですね。
シルクもいいですが、しっとりしてしまうので、夏の暑さでトロッとしてしまい、肌には不快感を感じてしまう場合もあるでしょう。

日本の夏であれば、国産の夏生地に敵うものはありません。
国産のものはこざっぱりとした質素な生地が多いですが、たまにいいものも見つかります。

これからの季節は、冬以上に生地選びを真剣にやる必要があります。

夏はBlue & Beige

夏のジャケットスタイルでわたしは一つのコーディネートとしてお勧めしたいのは、上をブルー、下をベージュで合わせるという組み合わせです。

ベーシックなジャケットスタイルの典型といえば、上がネイビー、下はグレーという合わせですが、これだと少し夏の暑さとうまく調和できないのではないかと思うのです。

上はネイビーよりも少し明るめなブルーにします。
夏は日差しが強く、19時頃まで明るく、日中は照りつけるような太陽です。
街全体が白っぽく、ぼんやりととろけるような色合いになる中で、グレーというのは堅い印象を与えます。

太陽の光をきれいに取り込み、かつ周りに暑苦しさを感じさせないために、全体の装いのトーンを少しでも明るくしていくことが望ましいです。

とまぁここまでお話ししましたが、今回はジャケットスタイルについてでしたので、夏でもスーツという方はネイビー、グレーのスーツをお召しになって何も問題ありません。
また、お仕事柄夏でもシックさを求められる方はネイビー&グレーを貫かれてください。
より季節を上手に楽しむ一つの工夫として、ブルー&ベージュというコーディネートはとても素敵だと思いますので、ぜひ頭の中に入れておいていただきたいです。

ルイヴィトン展

原宿の駅前で開催されているルイヴィトン展に行って来ました。

今月の16日までですが、なかなかエネルギッシュで面白い企画展でした。

事前予約制ですが、入場無料のため、もしお時間ありましたらぜひ行かれてみてください。




-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー

東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301

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