Mr. Flannel

BERUNです。

自宅から駅に向かう途中の景色です。清々しい秋晴れ、紅葉も始まり、昼間は天国のような心地よい日が続いていました。

お天道様、もう少しだけ、この心地良さを保ってください。

肩の力が抜けてからが愉しみ

テーラードの世界をチラ見した方の中には、
「自分はこんな格好つけたくないよ。自然体がいいよ」
と仰る方もいるかもしれません。(そもそも自然体ってナンダ?と思ってしまうのですが)

ぱっと見の印象を受けて、そう言いたくなる気持ちもわかります。しかし、それでは残念ですが、ビールの泡しか飲んでないのに、味の品評をしているようなものです。

テーラードを突き詰めた先には、さらっとカーディガンを羽織るような気持ちで、ディナージャケット(米:タキシード)を着るという世界に行き着きます。

それはとても気が抜けた優雅さがあり、堅苦しさは皆無なのです。
それがエレガンスであり、大人の嗜みだと思うのです。

スーツを着て派手なアクションをするジェームズ・ボンドは、まさにスーツとはどういうものかを物語ってくれています。
スーツとはかしこまるものではなく、普通に着るものなんだゼ、と歴代のボンドがアクションで語ってくれています。
そのためにも、ヤワな生地のスーツをビクビクしながら着るのではなく、タフな生地をガシガシ着るのが、私は本来の着方に即していると思うのです。

フランネルの季節

フランネル、起毛していて暖かみがあり、程よいカジュアルさと上品さがある、秋冬の定番生地です。

少しずつ、フランネルのスーツが完成してきております。

こちらはFox Brothersのブルーカラーのフランネル。
高身長で細身のY様。薄い生地にしてしまうとなよっと見えてしまうので、ハリのあるフランネルを選びました。

ハリのあるフランネル生地ははじめは鎧のような硬さがあります。何年も着続けていくことで、ようやく仲良くなれるのです。

イタリア生地はイタリア人らしいラフさとフレンドリーさがありますが、厳格な英国生地はカタブツなのです。

細身の方こそウエストコート(ベスト)は襟付きがいいです。
胸元にボリュームが生まれるので、身体に立体感が出ます。

シャツはタッターソールという柄。2種類の格子柄が入っている、英国のコーディネートの定番シャツです。私は将来、タッターソールという名前で喫茶店をやりたいと思っているくらい、このタッターソールという柄が大好きなのです。笑

ブルーグレーの色合いがとても綺麗ですね。フランネル特有の温かさを感じながら、冬に着る寒色の魅力も存分に感じることができます。

SMITHのアンティーク時計を着けられていますが、雰囲気がとてもマッチします。
これにデカアツ時計なんて着けてしまったら、ゴール直前に転んで骨折するくらい大失速コーディネートになってしまいますから、全体のバランスを見て、合わせるものも間違いのないものを選びましょう。

Grey Fox Flannel

こちらはフォックスブラザーズのグランチェック柄の生地でお仕立てした、スリーピーススーツ。
細身で肩幅が広いという水泳選手のような立派な身体をお持ちのF様。
代官山の有名中古靴屋の店長をされています。
つまり、靴談義が止まらないというわけです。笑

「どうせ着るなら一番いいものを」
という姿勢に胸を打たれました。BERUNのラインの中で一番クオリティの高い仕立てでお作りしました。
肩周り、ラペルの立ち上がり、優雅な柔らかさ、どれをとっても美しいスーツです。
仕立てがよくてもフィッティングが合わなくてはいけませんから。そこが一番大切なところですね。

男のスーツは背中で分かります。

ホワイトフランネルの世界

昔は日常的な服でしたが、今ではハードルが高いものになってしまったように思います。
ホワイトフランネルのトラウザーズは、エリート大学生のユニフォームのようなものでした。

炎のランナーに見る、このシーンで全員が履いているトラウザーズがまさにホワイトフランネルです。

昔のテニス選手のユニフォームも、ホワイトフランネルでした。非常に優雅ですね。スポーツをしていてシャカシャカ音が鳴り出したのは、70年代以降です。そこからは優雅、美しい、愉しいという3つの美学を捨てて、ひたすら順位と数字を追い求める世界になってしまいました。

ホワイトフランネルは、イギリスのスポーツには欠かせないアイテムです。

気取らず、ネイビーのフランネルジャケットと合わせたい。これにツイードジャケットなんかを嫌味なく合わせられたらそろそろ上がりな気もしますが、まだまだそこまではできません。

炎のランナーのように、チルデンニットを合わせてカレッジスタイルに浸るのも良し。

白といいましても、日本人に肌馴染みのいい黄身がかったホワイトフランネルです。

白というのはやはりいいものです。夏の白は少し軽く見えてしまいますが、冬のフランネルの白は高貴さが際立ちます。

Holland & sherry Flannel Suit

「もう、服、いいでしょ?笑」
自分自身でも思いますが、より良いものを作りたいので、常に自分は実験台です。(実験台とはいい口実を思いついたなぁ←笑)

皆さまにグレンチェックを勧めているうちに、自分自身もシックで完璧なグレンチェックのスーツを作りたくなってしまったのです。

ホーランドシェリー社のSuper 120のフランネル生地を使ってお仕立てしたスーツ。
柄は今年ずっと推してるプリンスオブウェールズ(グレンチェック)です。

柔らかく薄手の生地なので、トラウザーズはかなりゆったりと使ってあります。そうすることで、テンションがかかり引っ張られることがなくなるので、繊細な生地でも長く着ることができます。

ダークグレーのグレンチェックはもはや無地であるといういい例です。
冬らしいシックで上質な仕上がりになりました。
襟は広めに作りましたが、ガチガチのクラシックにしすぎず、柔らかな仕立てです。

ベントはノーベント。
ノーベントはスーツのラインの良し悪しが顕著に出ます。ベントが切れていれば多少はごまかせてしまうシワも、ノーベントは逃げ場がありません。(私の立ち方がわるいので小皺が寄ってしまっているのはご了承ください)

この冬、たくさん着ます。

大切なご報告

いつもブログをご覧いただき、誠にありがとうございます。

現在神楽坂で営業しているBERUNですが、この度、移転をすることにいたしました。
しかし、今の店舗に引っ越しをしてまだ2年も経っていません。笑
「もう!?笑」と思われる方もいらっしゃるかと思います。

新しい場所は赤坂見附、元赤坂です。
年明けからは赤坂見附にて、営業をいたします。

長い間お世話になった神楽坂も、残すところ2ヶ月を切りました。

BERUNの食堂マリオやシャンピーに行きづらくなるのはとても残念ですが、赤坂も美味しいお店がたくさんあるので、後ろ髪と前髪を同時に引っ張られている気持ちです。笑


最後の神楽坂、ぜひ心よりお待ちしております!


-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー

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