BERUNです。
2022年、どうやらとてもおめでたい1年だそうですね。
今年1年が勝負の年!と話しているのを聞きます。
まぁ、人生毎年本気で生きることには変わらないのですが。
赤坂見附に来て思い出すのは、もう何年も前になりますが、2011年にイギリスに行き、戻ってきた後の話です。
2012年にティモシー・エベレストが来日した際、彼と2人でビュッフェを食べました。
その場所がニューオータニでした。
あの当時はまだイギリスにもう一回行くぞ!!という思いで溢れていました。
その後、ワーホリは3年連続で振られ、そうこうしている間に日本での仕事がありがたいことにうまく走り出してきたので、修行という立場ではなく、仕事をしに行くというスタンスでイギリスに行くことにする!!と固く誓い、イギリス長期滞在の夢は一旦お預けしました。
あと、ニューオータニには1つ4,000円するモンブランが売っていますので、甘党の方はぜひお試しください。笑
新しいお店にも、少しずつお越しいただいております。
改めて、引っ越してよかったと感じています。
お客様も私も、お互いに居心地の良い空間であると自負しています。
早速、ある1人のお客様は5時間滞在していました。笑
The Brown Flannel Suit
新しいお店での最初の納品はK様。
C禍により、体型に変化が訪れ、過去のスーツとのサイズを見直しながらお仕立ていたしました。
”ある程度”恰幅がある方がスーツはバシッと締まりますので、気になさらなくても大丈夫です。
座り仕事が長い人は、腰が”前に逃げてしまう”方が多くいらっしゃいます。
真っ直ぐ立っているはずなのですが、お腹が前に突き出すように立ってしまいます。(リアルにローマ字の”S”の字のような立ち姿になります)
そういう姿勢の方が最も着てはいけないスーツ。
それはタイトなスーツです。
肩やバストのゆとりがなく、ピタッと身体のラインに沿ったスーツを着れば、果たしてどう見えるでしょうか。
正解は、お腹がやたらと出て見えてしまいます。
ご自身の体型を必要以上にわるく見せてしまうのは、決して良いスーツではありません。
ある程度体型に悩みがある方でも、スーツを着れば、それが隠れてしまうくらい格好良く見えるのが、スーツのメリットです。
この姿勢は座り仕事の方の宿命ではあるのですが、できることなら改めていけたらいいですよね。
そのような姿勢の方には、しっかりと肩を出し、バストのゆとりも出すことで、ウエストが出過ぎてしまうシルエットが緩和されます。
写真では色味が伝わりませんが、お色はブラウンのフランネル。
30年ほど前のヴィンテージの生地、気に入っていた生地ですが、こちらでラストでした。
フランネルですが、重さは300gmsという春先まで着用できる軽快な重さです。
ブラウンに合わせまして、タイはBERUNオリジナルのブラウンのドットタイを合わせました。
ブラウンのドットタイは、ブラウンのスーツの他に、ネイビー、グレーのスーツにも合わせられますので、万能なアイテムです。
暖かくなりましたら、今までの冬物のスーツのお直しをお預かりいたします。
The Heavy Wool Coat -Joshua Ellis-
秋に譲っていただき、しばらく寝かせていた生地でコートをお仕立てしました。
重さですが、推定700〜800gmsはある生地です。
相当な厚さで、これは流石に、どなたにもおすすめできない。。笑
という生地でしたので、個人的にお仕立ていたしました。(また言い訳してます笑)
生地はジョシュアエリスのもの。表面は立体的な織でカジュアルさが際立っていますが、生地の素材の持つ本来の美しさが、ただカジュアルなだけに留めていません。
この生地をどう料理しようかとずっと考えていました。
形の基本はアルスターコートですが、袖口はタブカラーにしました。
こうすることで、程よいカジュアルさが出ます。
そして生地の厚みが相当あるので、腕をすぐにポケットにアクセスできるよう、ポケットは縦型の箱ポケットにしました。
こうすることで、トレンチコートのような雰囲気になりますね。
生地はたっぷりありましたので、丈はできるだけ長くしました。
こちらの生地はダブルフェイスでした。
「どっちが表だろう??」
「いや、どっちも表だ」
そうなればもう背抜きにして、ダブルフェイスの表情を出した方が素敵です。
余談ですが、初めて工場から、
「こんな分厚くてめんどくさい生地、もう次からは断ります」
と言われました。(すみません)
本当に持ってみると、洒落にならないくらい重いのです。
着てみると、見た目ではそこまで厚さは感じないのですが、着ている本人は重量感をとても感じます。
今回こだわったのは背中のベルトの位置。通常のデフォルトの位置よりも数センチ下げました。
ウエストが一番くびれているところに背ベルトを位置するのが本来の設計なのですが、着丈をしっかりと長くしますと、それでは背ベルトの下が長く伸びすぎてしまい、なんだかバランスがわるくなってしまうのです。
背中もポロコートのように、プリーツを付けたり、色々やろうかなと思ったのですが、やり過ぎてしまうとコッテリしてしまうだろうと思い、生地の雰囲気を最大に活かしたディテールにしようとこのような作りにしてみました。
やはり、生地・デザイン・(そして)着る人。
この3つのバランスが全て小気味よく調和しているのが、良い服の鉄則だと思います。
どれも先頭をずば抜けて走ってもいけません。
3人4脚で、全てのパラメーターが平均的に上がっていくことが大切です。
The Original Wool Knit
昨年ご注文をいただいておりましたニットが完成してまいりました。
ダブルジップで、カジュアルなコーディネートにうってつけです。
今まではオーダーでのみ受付してきましたが、今年の秋には2、3サイズで展開して、販売したいと思っております。
今まで、糸から織り上げて、1着ずつ作って下さった工場には本当に頭が上がりませんm(_ _)m。。
C禍の影響で、足を洗う職人さんたちが増えてきています。
実際私の関わる先でも少しずつそのような話を聞くようになってきまして、だからこそ、作り手を喜ばせるために、売り手側の仕事の仕方も考えていかなくてはと思っております。
微力ではあるが、無力ではない。
良いものを手にすることは、世の中の不純な流通を少しでも止めることにつながります。
ひとりひとりの意識を変えていくことが、この服飾業界に限らず、あらゆる業界に通じる理念だと私は思います。
-Atelier BERUN-
東京都港区元赤坂のビスポークテーラー
洋装士:竹内大途