BERUNです。
今日は京都に来ております。
年に2回は来ますね。好きです京都。
メインの用事は大阪にあるのですが、京都が好きなのです。。
京の都を1日ぼんやりと散歩をして、翌日に控えてある大イベントを楽しみに待ちます。
着飾ることの大切さ
2019年から趣味で茶道を習っていますが、茶道を習って良かったと思うことがあります。
それは、着飾るということは本当に素晴らしく、全てが肯定的な表現であるということを理解できたことです。
洋服が好きな人からの観点で言うと、着飾るということには、少し角があるように感じることがあります。
格好をつけたい、人よりよく見られたい、目立ちたい。エトセトラetc。。
おもてなしの文化である茶道をやっていて改めて思った事は、着飾る、ということは、100%他人のためであり、周りへの配慮が全てであるということです。
私が習っている先生は、生徒が来る30分前にお香を炊いて待っています。これを”待ち香”といい、人が来ることに対する敬意を表しているのだそうです。
人が来るから部屋を片付けなくてはいけない、いつもより少し小綺麗にしなくてはいけない、なぜかそういった表現は、少し鼻につくように感じられてしまう場合もあります。
ですが、それ自体も、来てくれたお客様に気持ちのいい空間を提供したいから、という素直な気持ちであれば、何も気後れする必要はないのです。
今は自然体であるということが良しとされている時代です。しかし、その自然体ということは、ただ気が抜けたことがそうなのでしょうか。ということを強く感じることがあります。
自分自身の自然体のレベルを引き上げていくことが、自分自身の人生をより彩っていくことに繋がると私は思います。
久しぶりのご連絡はお直し
久しぶりにご連絡をいただくお客様から、洋服のお直しのご依頼をいただくことがあります。
忘れずに、しかも不具合が起きたら処分せずに、直せるかどうか、という思考にいくのがとても嬉しいです。
2014年にお仕立てしたツイードジャケットの左肘が派手に破れていました。
エルボーパッチを貼ろうと思ったのですが、こちらのツイードがネイビーの無地で、そこまで土臭さを感じない生地ですので、内側に当て布をし、ミシンで叩くというベーシックな修理をいたしました。(エルボーパッチはカントリーな雰囲気になります)
結果、1m先から見れば、どこを直したの??というくらい目立たない補修になりました。
これがエルボーパッチでしたら全く雰囲気が変わってきますので、今の印象を変えたくないのであれば、このくらいのイメージがよろしいかと思います。
ぜひ、これからもたくさん着ていただきたいです。
スプリングコート
3月から4月までの2ヶ月間に大活躍するアイテム、スプリングコート。
着る時期が短いから必要ない!と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、真冬でも、中にフランネルやツイードなどの地厚なものを着た場合は、真冬でもスプリングコートを着ることは可能です。
意外とあると便利なコートなのです。
そもそも、スプリングコートという名称が良くないですよね笑
1月にご注文いただいていた方のコートが完成してまいりましたので、ご紹介させていただきます。
スプリングコートといえば、わたしのおすすめの生地はキャバルリーツイル(キャバリーツイル)です。
ウール素材の綾織の生地。一般的なコート生地と言えば、生地の表面が起毛していて、温かみのある生地ですが、このキャバルリーツイルはつるっとしていて、重さはあるのですが、厚みはない、糸が詰まった生地です。
そのため、保温力はないけれど、風は通さないという、まさに春と秋にうってつけの生地なのです。
カバートコートにも使われる生地です。カバートコートの場合は、ほとんど同じ雰囲気ですが、カバートクロス、と呼ばれる綾織の生地を使います。
同じ綾織の生地であれば、ギャバジンもいいですね。
今回A様には、まさにキャバルリーツイルを使ってスプリングコートをお仕立ていたしました。
肩がラグランではなく、セットイン(肩線が入っているもの)の仕様になっている、セミステンカラーコート。
色合いがとても美しいです。
ベージュとカーキの間のような色。そして綾織の生地の特徴である、美しい光沢。丈夫さがありながら、鈍い光沢があるキャバルリーツイルは、私の中ではスプリングコートにうってつけの生地です。
カバートコートのようなセミチェスターフィールドコート
春に着られるコートが欲しいとお越しいただいたM様。
M様にもキャバルリーツイルの生地でお仕立ていたしました。
暗めの色が見慣れているとのことで、色はダークグレーがいいかな、とおっしゃられていましたが、私の中では、完全にダークグレーではなく、ミディアムグレーの方が似合う!と確信がありましたので、絶対に間違い無いです!と念を押してお勧めしました。
(奥様にも電話をされ、奥様も暗い方がいいと思うよと話されていたのですが、私を信じてください!といい、ミディアムグレーになりました。笑)
こういう会話は、オーダーメイドではやることはないと思います。
お客様を逆撫ですることは、絶対に起こしてはいけないので、波風の立たないように、穏便に、(可もなく不可もなく)進めていくのか通例です。
ですが、私はただ物を作るだけではなく、その方が洋服を着て、長い将来その洋服を着ている時、どんな物であれば一番気持ちの高揚感が続くだろうか、ということを考えています。なので、時にはお客様の好みと正面衝突することもあります。
物を作って、ありがとうございました。という世界ではないのです。
その時は100点!大満足!と感じるものではないかもしれません。ですが、数年後を見た時に、これでよかった!!!と思ってもらえる物を強く勧めます。
そしてその結果は今までわるい方向に行ったことはあまりないと思います。
今までシックな服しか着られていない方は、ついつい今までの自分の固定観念にとらわれ、同じようなシックな物を選んでしまいがちです。
ですがそれでは、今までの自分の延長線上の未来しかありません。
せっかくこんな風変わりな(笑)個人店にお越しいただいたのでしたら、今までのご自身のイメージを超えて行って欲しいのです。
ミディアムグレーのキャバルリーツイル。これがダークグレーでしたら、重たくなり過ぎてしまい、春に着る色ではなくなってしまいます。またM様のお顔立ちを考えたときにも、ダークグレーでしたら顔が暗く見えてしまい、もったいないと思ったので、こちらの色にして大正解でした。
結果的には、M様も奥様も、この色でよかった、とおっしゃってくださいました。(強くお勧めした甲斐がありました。ホッ)
背中のシルエットもとても綺麗です。
比翼仕立てのセミチェスターフィールドコート。カバートコートに近しい顔立ちです。
(カバートコートについてはThe Bookのオーバーコートの項目にて)
そんなことをふと思ったので、チェンジポケットを付けました。真面目な中に、ほんの少し遊び心をプラス。
とても上品で美しいコートです。
最後に、私がなぜ関西に来ているのかと言いますと、10年来のお付き合いをさせていただいている、最高のヴィンテージ生地を扱っているおっちゃんの事務所に行くからです。
今、生地棚を眺めていても、秋冬物が8割を占めていて、春夏のボリュームが足りないなぁと思っていました。
またなくなりかけていたヴィンテージ生地を発掘しに行ってきます。
ありがたいことに2月は大変充実した1ヶ月で、1月の移転から2月までずっと走ってきました。
3月も春物が本格的にスタートする季節ですので、これからの季節もよろしくお願いいたします。
-Atelier BERUN-
東京都港区元赤坂のビスポークテーラー
洋装士:竹内大途