選択と集中

BERUNです。

今回はこんな暑い日に、少し暑苦しいお話から。

私は人生において、選択と集中ということがとても大事だと思っております。
むしろ、選択と集中なくして自分の人生を強く自由に生きていくことはできない。と思っています。

私自身、21歳からこの仕事をしていますが、今思えば無意識レベルですが、取捨選択をして、まず20代は今この仕事だけを本気でやるということに集中していたような気がします。
もともと洋服が好きだったので、そのような感覚は当時はなかったのですが、20代、自分の仕事(洋服)のことだけに人生全てを注ぎ込んでいたと思います。

仕事も趣味もすべて一貫して、一日中そのことだけを考えるという20代でした。
時間があれば洋服の本を読み、買い物をして周り、映画を見る。(それは今もか笑)
それが確実に未来につながると思っていたからです。

そのような経験がある身ですので、私は20代の若い方で、年数%のために他国に自分の大切なお金を”預けている”若者に合うと、
「あなたの一生という人生で、一番価値があるのは今なんだから、今この時期は自分に投資したほうがいいのよぉ」
と説教臭くならないように話すこともあります。

これはその方の働き方であったり、価値観によりますので、決して押し付けるようにはしませんが、自分に投資をするならレバレッジということを考えても、若いうちから投資をしたほうが確実に未来は開いていくのは事実です。
人生は分散投資ではなく(笑)、自分の人生に集中投資をする方が良いというのが私の持論です。
そして、仕事にある程度余裕が出てきたら、そこから人生の楽しみを広げていけば良いのです。

まず大気圏を抜けること。そこにエネルギーを集中させること。その先の人生は、自然の流れと縁に身を任せましょう。

全て一人でやるのが美徳なのか

日本人はなにかと全ての物事を一人の人がやることを美化したがる傾向があります。
私のような仕事で言いましても、
生地の選定、採寸、デザイン決め、裁断、縫製、、
とこれだけざっくり分けても5つもあります。
この5つ、全てにおいてプロフェッショナルがいるようなものなのですが、これを全て一人でやることが素晴らしいという声が多いです。

ですが、これを全てやっている方でも、その人の本当の腕の見せどころは縫製で、生地選びやデザイン決めは本当は自分の得意分野ではない。
という方がいるのは、よく考えると人間ですから、当たり前だと私は思います。

音楽活動で言いましても、作詞、作曲、編曲、演奏、歌。
すべてを完璧にこなせる人がどれだけいるでしょう。
そのくらい、全てを自分でこなすということは難しいことです。

得意な分野は自分がやる。そうでないところは信頼できる人にお願いする。
そうすることで、自分が一番力を発揮できるところに集中することができるようになります。

ここまで言いましたが、全て一から十までやることに誇りを持つ独立時計師というような仕事もありますので、私の意見が全てではありません。

ですが、ことヨーロッパに行きますと、多くが分業制です。
フィッター、カッター、テーラーは全て別です。
一人一人のプロフェッショナルが各パートで本領発揮をするから、より良いものができるという考え方です。

自分のやるべきことをやる

先日お客様とお話ししているとき、シャツのアイロンのかけ方について聞かれました。
そのとき、わたしはアイロン掛けをしている時間はないので、形態安定の生地で複数枚同じ形のものを作っています。(こっそり)
と答えました。

その答えに結構驚かれたようでした。
(その方はてっきり、夜な夜な完璧にバチっとアイロン掛けをしているのだと想像されていたそうです笑)

これもシンプルな話で、アイロン掛けに5〜10分かけるなら、映画を観たり、本を読んだりする時間にあてたいのです。あとは家族の時間。
私という人生の24時間を考えたとき、何をしているときが一番有意義な時間を送れているだろうか。
と考えますと、仕事を除いては映画なのです。

白黒映画1本から学ぶものが多すぎて、そこで感じた2時間を次のモノづくりに活かすことができます。
その方が、私のお客様にもより格好いい洋服を届けられる。
なので、シャツのアイロンや靴磨きは、私は実はあまり進んでやるタイプではないのです。(もちろん人並み以上にはできます)

これは私がやらなくてもいい、もしくは、私よりもっと上手にできるプロがいるから、その人にお願いする。
自分がやることは、私が最も力を発揮できることをやるようにしています。
(まぁこんなこと書いてますが、自宅ではずっとダラダラしているんですこいつは笑)

なので、他の物事についてはポンコツなのです。笑
自分が動く動機は、小学校低学年から変わっていません笑

まぁそんな不器用な人間ですので、なんでもできる人を見ると、とっても羨ましく思います。
そんな単純でシンプルな男だから、一点集中しなくては花を咲かせることはできない。
だから選択と集中の大切さを、身にしみて感じております。

はい、暑苦しい話はもうおしまいです。笑

ブルージャケット+オッドベスト

福岡からお越しのT様。
今回はオッドベストを合わせたジャケットトラウザーズスタイルをお作りいたしました。

トラウザーズはダークブラウンのFOX AIR。強撚糸で仕上げているドライなタッチの生地感です。

ブレイシーズはネイビーアイリッシュリネン。

オッドベストはウールリネンのグレージュ。
リネンが20%しか入っていないので、生地感はそこまで夏らしさは出ないです。そのため、オールシーズン使える便利なオッドベストになります。

ジャケットはFOX SPORTのブルーカラー。
写真よりもう少し実物は落ち着いた色味です。

当日、パーティにお呼ばれしているとのことでしたので、少し華やかさを出すべく、赤茶のドットタイをチョイスしました。

ブルーカラーのジャケットにはついグレーかベージュ、ホワイト系のトラウザーズを合わせたくなるものですが、このように下に暗めのブラウンを持ってくるというスタイルもグッと引き締まりますのでおすすめです。

T様、この度はありがとうございました!!

グリーンジャケットコーディネート

いつもお越しいただいておりますM様。
今回は夏物のジャケットということで、M様の雰囲気に合うものと考え、グリーンカラーのジャケットをご提案いたしました。

夏向けの生地でグリーンというのはあるにはあるのですが、こういった深みのある色は意外と少ないです。
リネン55%、ウール45%というバランス。
生地感も清涼感があり、とても素敵です。

オッドベストも合わせてお作りいたしました。
トラウザーズはアイリッシュリネン。

小柄なM様ですが、変に細身にしたり、着丈を短くしたりはしません。
そうしてしまうことで、その方の体型をよりあらわにさせてしまうことにもつながる可能性があるからです。
ゆとりを持たせ、着丈はしっかりとお尻が隠れる長さでお作りします。
これはスーツという形が綺麗に見える理想的なバランスだからです。

ベストの短さとジャケットの丈の長さ。
この差があればあるほど、より既製品のフィッティングからかけ離れていきますので、オーダーらしさが出てきます。
世の中で普通とされているフィッティングが決して正解ではないので、過去から学び、そこから現代まで流れを見ていくことで、今この時代にどのように装えばいいのかが見えてきます。

スーツという形は戦前に完成しきっているものであり、戦後のスタイルは、全て過去の焼き増しなのです。
では賢い学び方としましては、1910〜40年代のスーツ黄金期の着こなしを見ること。
そしてそれをただコピーするのではなく、現代の流れにうまく落とし込む。
それが理想的だとわたしは思います。

何事もまずはオリジナルから学ぶことが何よりも大切です。

M様、ぜひたくさんご着用ください!

ベージュグレンチェックジャケット

いつもお越しいただいておりますS様。
S様はプライベートでジャケットを着用されるため、ネクタイはしないという方。

「えっBERUNのお客さんにそんな人、いるんですか!」
と思う方もいらっしゃるかもしれませんが、いますよ笑

ですが、着こなしの幅が広がってくると、やはりネクタイがあった方がコーディネートが楽しいよね。着けようかな。

と思ってくるようになりますので、私はそれまで無理せずに、その人なりの洋服のステップを踏んでもらおうと楽しさを伝えていくわけです。

ネクタイがないとなりますと、ネクタイを必ずつけている方と、生地の選び方も変わってきます。
ネクタイがない状態で、全身無地になってしまうと、少し寂しさが出るため、ポケットチーフで彩りを足すか、ジャケットに柄を加えるかで、全体のバランスを取ります。

今回選んだのは、ベージュトーンのグレンチェック柄。
グレンチェックなのですが、柄がそこまではっきりと目立つものではないので、無地のように着ることができます。
こちらも先程の生地と同じシリーズで、リネン55%、ウール45%の生地。

ウールが入ることにより、仕上がりに立体感が生まれ、上品なジャケットになります。

また、リネン100%ですと、どうしても夏に着る洋服になってしまいますが、ウールが入ることにより、春夏秋とスリーシーズン楽しむことができるのも良いところです。

シンプルながら、上品さがあるコーディネートです。

S様、ありがとうございました!!

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-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士

Haruto Takeuchi / 竹内大途

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