BERUNです。
もうこれからの季節はこの生地しかありません。
ツイード。
最高ですよね。
ありがたいことに、私の熱波がうつった方がちらほらいらっしゃるようで、動画のコメントでも、
「ツイード頼みました!」
や、
「動画を観て3年前にツイードを仕立てて、3年目、いい雰囲気に育ってきました」
など、嬉しいお言葉をいただきます。
金継ぎ、かけはぎ、染め直し、
元来我々日本人は一つのものを直して長く愛用していくという民族だったはずです。
それは戦後に失われ、大量消費の社会になり、2,3年で使い捨てるというものばかりが溢れかえってしまいました。
直すよりも買い替えた方が安い。
だったら買い換えよう。となるのも致し方ありません。
家電や電子機器は、常に進化していくので、それでもいいかもしれません。
ですが、身につけるものや趣味嗜好性が高いものまで、進化させていく必要はあるのでしょうか。
このままいくと、
「最新型の洋服は、AI搭載!外気温に合わせて洋服の中を冷却したり暖めたり、自動で行います!
一度の充電で40時間継続利用可能。
防水・発汗性能バッチリ。紫外線やあらゆるウイルスを99%カット!!
これ1着で365日、全天候着用可能!!
ジェンダーレス!!」
こんな未来が待っているのでしょうか。イヤハヤ恐ろしい。
みんなが同じ携帯を持ち、ロゴが変わっただけで同じような外観の車に乗り、最終的には老若男女みな同じ洋服を着る。
そんな世界、心から望んでいる人は、一部のそれによって恩恵を受けたい発信者だけではないでしょうか。
我々はどこまでいっても純度100%の動物です。
「2050年現在は、体内に10%AIを入れるのが流行っています。」
なんて怖くてたまりません笑
そんな時代にはどれだけ進んでもなりませんので(なるかも?)、我々は自然から授かったものに身を包むに越したことはないのです。
特にこれからの季節は要注意で、暖かさをとるために、裏起毛やフリースなど、そのようなアイテムはほぼすべてにポリエステルが含まれています。
ポリが入っているニットなんかを買ってしまうと、すぐに毛玉になってしまいますし、その毛玉もウール100%と違い取ることができない。
安物買いの銭失いになってしまいます。
ウール100%のニットを大切に着て、毛玉が出てきたら毛玉取りブラシで取る。(毛玉取り機みたいな、毛玉をカットするやつはダメですよー)
そのようにすることで、ニットも長く愛用していくことができます。
ものを長く使うというところから色々話が広がってしまいましたが、このような買い方をすれば、自然に洋服は増えていきます。
パーマネントワードローブを作っていきましょう。
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ツイードコート
ヴィンテージのホーランドシェリーの生地を使い仕立てたチェスターフィールドコート。
ブラウンカラーの綾織にホームスパン柄が入っている、程よくカントリーな雰囲気がある生地です。
ラスト1着分、倉庫でちょうどコート分あるこちらの生地を見つけ、押さえたもの。
このような、シンプルながらも現代の生地とはオーラが異なるヴィンテージ生地というのは、年々ものすごい勢いで少なくなってきています。
一期一会のヴィンテージ生地だからこそ、良いものがあれば押さえておきます。
少しカントリーな雰囲気に合わせて、袖口はターンナップカフ。
腰ポケットはスラントにし、スポーティさも出しています。
コートの丈について口うるさい(自認してます笑)わたしですが、こちらはツイード素材ということで、膝の真ん中くらいの長さにしております。
少し涼しくなった秋から冬、そして春先にかけてまで活用できる便利な一着です。
M様、いつもありがとうございます!
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ツイード&キャバルリーツイル
上背があり、細身であるN様。
今回、ツイードジャケットとベージュのキャバルリーツイルでトラウザーズを仕立てました。
こちらのキャバルリーツイル、非常にヘビーで素晴らしい生地でした。ちょうどラストでしたが、やはりかなり肉厚で重厚感があり、この子の破れる未来が見えません。
趣味、乗馬です。
馬に乗る時に履きます。
というレベルの方が履き続けても、10年は余裕でしょう。
馬に乗らない人であれば、街中で突然パルクールとかしない限りはまず大丈夫です。
ツイードジャケットはドーメルのスポーテックス。
グレーにブラウンのウインドウペーンが入った柄。
表面があまり起毛していない、スッキリとした生地感です。
個人的にこの硬さのある薄めのツイードのタッチは大好きです。
肩があり、バストは薄く、上背のあるお方には、バストに厚み(膨らみ)を持たせることで、張り出した肩を強調させすぎずに済みます。
直線的な体格のお方には、曲線を作ることで、全体のバランスが良く見えるのです。
スーツの美は曲線美です。
N様、ありがとうございました!
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ツイード&コーデュロイ
Lovat(ラバット)のツイードを使い仕立てたジャケットの下に合わせたのは、コーデュロイ。
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コーデュロイという素材は、一時代にダサい、親父くさい、という風潮が漂ったことから、好きな人だけが着る特権のような素材になっていると思っています。
例えばサスペンダーも同様ですが、本来の価値と世間一般の意見が大きくズレているアイテムというのがあります。
誰も気に留めないもの。
ですが、それをしっかりと理解して、正しく使うことができれば、まさに1人舞台です。
わたし自身も小学校の頃、コーデュロイパンツを履いていき、「そばズボン」とか言われていい思い出がありませんでしたが笑、その評価が子供の頃からアップデートされないというのは非常にもったいないです。
子供の頃の思い出は、子供の頃で完結させておく方がいいものが多いと思います。
我々は同じ人間ですが、成長の過程で得ていくもの次第で、まったく別の人間になりますから。
“メンズテーラード一歳児”と考えると、過去に縛られずに、素直にすくすく吸収していけます。
サスペンダーを渡すと多くの方が、
「小学校以来着けたことないです」
と言われます。
するとわたしの脳みそは、
「よかったじゃないですか!ブレイシーズの良さに気がつけた!これからの人生楽しいですよ笑」
なんていう思考回路です。笑
ツイードとコーデュロイは蕎麦とわさびくらい最高に相性がいいです。
ブラウンのウインドウペーンのツイードジャケットに、ベージュのコーデュロイ。
中はシャツにウールタイでタイドアップもよし、ニットでカジュアルコーデで合わせてもよし。
もう全員、ツイードジャケット持ちましょう笑
こんなに便利で格好いいアイテム、持っていないなんてもったいないです。
秋冬シーズンもど真ん中です。
楽しみですね!
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-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士
Haruto Takeuchi / 竹内大途