エイジング、喜んで。

BERUNです。

ありがたいことに、BERUNには日々遠くからお越しいただく方が多くいらっしゃいます。
(このブログを書いている日も、愛知、岡山、北海道、と続けて遠方からお越しいただきました。ありがとうございます)

今回は遠くからお越しいただいている方で、コートの納品が続きましたので、ご紹介したいと思います。

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オリジナルシューズ完成

構想から2年。ようやくBERUN初のオリジナルシューズが完成しました!
木型をゼロから起こし、革もありものではなく、一から企画をして特注をして製作をしてもらったものです。

革は山羊革。水で色を染め、シボは型押しではなく、100あるものに熱を加え、水で締めてを繰り返し、70まで詰めることで生まれる自然のシボを作りました。(数字は例です)
よって、革代が余計にかかるのです。笑
ですが、型押しとは全く異なる表情で、履きこめば馴染んでいくため、かなり履き心地が良くなっていきます。

こちらの色も、わたしのコレクションの靴を何足も持っていき、この部分の色で、もう少し赤みを付けてほしい!など。
色々お願いをして革工場にお願いしたものです。
最初にサンプルを見たとき、
「えっ、全然色が違うじゃん!」
と思いましたが、この状態から最後に磨きの仕上げをしていくと、「なんということでしょう」
色がみるみる濃くなっていき、理想の色になったのです。
つまり、磨きをして色が濃くなることを想定して、染めの調整をするということ。
まさに職人技です。

こちらの靴のコンセプトは、革靴とスニーカーの間で、見た目は革靴で、履き心地はスニーカー。

こういう靴って、意外とないんです。

有名な靴ブランドたちも、カジュアルなコンフォートシューズとなると、途端にスニーカーになってしまったり、このいい塩梅の靴がなかなかない。

あったらいいのに、世の中にないもの。だったら作らないといけない。
というのがわたしの考え方ですので、昔から構想は練っていました。
しかし、こういったものが実現するにはわたし1人の力ではどうにもできません。
今回は、木型職人、革工場、靴を作ってくれる工房、全ての出会いがつながって実現しました。

まだまだ色々やりたいことはありますが、まだピースが埋まっておらず、実現できないものも数多くあります。
焦らず、縁を大切にして、日々を過ごしていきたいと思います。

底はラバー。このラバーの品質がとても高いです。
3rdサンプルまで作り、3rdから最終の調整は、ラバーの厚みを1mm厚くしたいということ。
わたしが毎日のように履き続け、地面の凹凸が少しだけ感じすぎるなと思い、そのことを伝えると、1mm厚くするという案になりました。
それ以上厚くすると、履き心地に影響が出る。

こんなことで気がつけば2年経っていましたが、ようやく完成しました。
まだ数を作れておらず、各サイズ1足ずつしかご用意がないのですが、今年中にもう少し増やす予定です。

非常にいい仕上がりですので、ぜひお店に来られた際はご覧いただきたいです。

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ブラウンヘリンボーンコート

岡山からお越しのS様。
いつも関東でお仕事があるときに立ち寄っていただいております。
今回はジャケット、トラウザーズ、コートのお渡し。

ジャケットはこちらとこの後のご注文で完売になりました、W BillのLAMLANA。
お色もとても綺麗なブルーカラーで、ビジネスカジュアルからオフまで使うことができます。
ラムウール、アンゴラ、カシミヤという贅沢な生地です。

トラウザーズは、今年の個人的ヒット生地、ブラウングレーのキャバルリーツイル。
こちらもたくさんの方にお勧めしておりましたので、なくなりました。
ブラウングレー、グレイッシュブラウンとも呼ぶこともありますが、トラウザーズに持ってくれば何にでも合わせることができます。

それこそ、今回のようにジャケットにも合いますし、上にニットを合わせたカジュアルコーデにも使えます。

S様にお作りしたコートは、英国から発掘されたセミヴィンテージのFOX BROTHERS社の生地。
ここではあまり込み入ったことは書きませんが、やはり生地も一昔前のものの方が、良い風合いのものが多いです。
今も昔と変わらず作り続けている生地”も”あるのですが、消えてしまったものは数え切れず。

わたしが現行で使う生地で言えば、変わらぬモノづくりをしているもの。
ヴィンテージで使う生地で言えば、今はもうこんな七面倒なことやれない!や、
糸の風合いや生地の表情の仕上がりなど、「なんてこった!」と唸りたくなるような手間暇かかるもの。そういったものを選びます。

S様にはブラウンベージュのヘリンボーン生地で、アルスターコートをお仕立てしました。
約600gmsほどの厚みのコート生地。程よい重さでありながら、原毛のクオリティが非常に高く、しっとりとした油分も存分に感じることができます。
ヘリンボーンのコート生地はヴィンテージでも世界的にかなり人気があるため、なかなかいいものが見つかりません。

ですが、いい生地に埋もれているBERUNですので、お宝、たくさんありますヨ笑

懸垂をして身体を鍛えているというストイックなS様。
テーラードは背中が大事です。
背面の姿がとても美しいS様は、ジャケットもコートも非常に後ろ姿が映えます。

もう、何枚も背中撮りましたよ。笑

アルスターは開けて着ても格好いいです。
少しカジュアルに着る場合は、開けて着てもいいでしょう。

S様、いつもありがとうございます!!

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バルマカーンコート&アルスターコート

いつも滋賀からお越しいただいておりますO様。
コートと、フランネルのトラウザーズをご注文いただきました。
ブラウングレーのフランネル。
とても汎用性が高い色味で、一本あれば重宝します。


着てきていただいたネイビーフランネルのジャケットと合わせましたが、言わずもがな、バッチリ合います。


ネクタイはBERUNの新作フランネルタイ。グレーのグレンチェック柄のウールカシミヤです。
ジャケットでもスーツでも、どちらでも合わせることができます。

夏の終わりにご注文をいただいていたバルマカーンコートもお渡しいたしました。
ボタンホールの手縫いの作業で少しお時間をいただいてしまいましたが、季節を早めに頼んでいただけましたので、焦らずに仕上げることができました。

コートの生地はローデンクロス。
グレージュカラーで、380gms程という軽めの生地で、まさに春と秋に活躍する一着です。
ローデンクロスは撥水性もあるため、雨天決行コートです。

ベルトを付けるかどうか悩みましたが、今回は付けました。
ベルトレスでガバッと羽織るバルマカーンも素敵ですが、ベルトがあることで、着方のバリエーションが増えます。
ですが、前で縛るというよりは、ベルトの先をポケットに入れて羽織るというような着方の方が男性には合っていると思います。

襟を立てて着ても素敵です。

ジャケットの上に羽織ってもいいですし、タートルネックの上にさらっと合わせてもいいです。

お色も硬すぎず、何にでも合わせられるものですので、ぜひ色々な洋服に合わせて楽しんでいただきたいです。

O様はもう一着コートをご注文いただいておりまして、冬に寒い地域に仕事で行くことになったときに着られる鎧のようなコートがほしいというご要望に応えました。

800gms超えのアーマーコート(笑)をお仕立ていたきました。

Lovat社のダブルフェイスの極厚の生地。
こちらの生地でアルスターコートを仕立てました。
厳冬期にこそ活躍する最強のコート。

持つと筋トレ。だが着ると軽い、というのが良い服の証だと思っております。

昔の洋服は全部重かったんです。
だから丈夫で、何十年着てもヘタレないタフさがありました。

今はモノづくりのクオリティが上がったため、細い糸で生地を作ることができるようになった。
また、硬い洋服から柔らかく薄い生地の方が格好いいというプロパガンダが溢れ、今では重く硬い生地なんていう風変わりなものを作る生地工場はほとんどなくなってしまいました。
ですが、それこそがアイデンティティという会社もわずかながらあり、そのようなところが細々と作り続けている事実もあります。
わたしはそんな時代おくれ(先週からの続きです笑)な考え方が大好きなので、心から応援したいのです。

「800g?いつ着るんだ?」
という冷静な判断は聞きません。笑

だって、人間、冷静になったら何も面白い発想や生き方ができなくないですか?
「今の時代、こんなオーバースペックなもの、、いらないでしょ!!笑」
というネジが飛んだような考え方に、人は魅力や面白みを感じるのであって、それこそがロマンだと思うのです。

「飛行機で空を飛びたい!」
「世界一のテーマパークを作りたい!!」

始まりはネジが飛んだ誰かのロマンから全ては始まってます。
そんな規模の話ではありませんが笑、なんでもありの世の中ですから、ロマン、語りましょうよ。

ダークグレーのヘビーツイードのアルスターコート。
とても格好いいです。


ヘビーなツイードの首元には、柔和なカシミヤのマフラーが合います。
陰と陽、ヘビーにはソフト。
全体のバランスが非常によくなります。

こちらのマフラーはグレーとベージュのダブルフェイスカラー。

ようやくマフラーを手に取ることができる季節がやってきました。

余談ですが、BERUNでももうそろそろ、初のオリジナルマフラーが完成しますので、楽しみにしていてください。

これからより寒くなるのが楽しみです。

O様、いつもありがとうございます!!

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ツイードのチェスターフィールドコート

初めてお越しいただきましたM様。
昨年まではバリバリストリートファッションだったとのこと。
栄転ですね!

歳を重ねる毎に似合っていくジャンルの洋服がいいということで、クラシック島に辿り着いたそうです。

漂流して、この島に辿り着くなんて!
運がいいですねぇ〜(ニヤリ)

ファストファッション島やラグジュアリー島、ストリー島など、この世にはたくさんの島がありますが、色々流れついているうちに、もう体力がなくなって次の島に行けない。。
となってしまう方がほとんどです。
私はたまたまこの装いの世界が好きだったので、ほとんどの洋服のジャンルの島を渡り歩くのが苦ではなく、最終的に流れついたのがこのクラシック島でした。
結果、探検すればするほど、地下空間が壮大に広がっていて、この島の奥深さに日々魅了されているわけです。

一生かけても掘り続けられる世界にいるってとても幸せなことだと思います。
決して驕らず、歳を取れば取るほど自分は何も知らないという境地に立てる。
しぬ直前まで、未熟ものだったなぁーって言って次の命にバトンタッチしたいですね。

M様には洋服をご注文いただいた際、ベージュのタートルネックをお渡しいたしました。
現在、タートルネックの在庫がほとんどない状態なのですが、今月中にはまた新しいものが仕上がってまいりますので、楽しみにしていてください。

普段はジャケットを着ることはないということで、シャツとモールスキンのトラウザーズとツイードコートをお仕立ていたしました。

ツイードは定番のグレーヘリンボーン。
ニットにツイードのコートは永遠の外さないコーディネートです。
老若男女、誰が合わせても格好よく仕上がる組み合わせ。
そんな洋服、あるでしょうか。

そしてトラウザーズはモールスキン。
もうこれだけあれば、極地にでも行かない限り大丈夫です。
ジャケットを着ないというM様ですが、私はコートを仕立てるときは必ずオーバーコートとして、上着を中に合わせられるサイズでお仕立てします。

今はジャケットを着ない人生かもしれませんが、この後の気持ちの変化でどうなるかわからないですから、合わせ方の幅は広い方が良いと思います。

結果、大変嬉しいことなのですが、ツイードジャケットの魅力に気づいてしまわれたようで、コートを受け取りのタイミングで、ツイードジャケットのご注文もいただきました。
M様、ブリティッシュ島は、探検しがいがありますよ!ようこそ!笑

私は21歳からBERUNをやっていますが、20歳の時に、歳を重ねれば重ねるほど深まり、似合っていく洋服の仕事がしたいと思い始め、いろいろな人に会ったりものを見ていて、この島にたどり着きました。

日本ではアンチエイジングという言葉が蔓延していますが、アンチエイジングにはお金がかかります。
ビジネスとして、アンチエイジングという言葉はとても便利なのです。

ですが、エイジングには無駄なお金がかかりません。
ただ丁寧に日々の生活を大切にしていき、自然とともに歳をとるのを楽しむ。

他の生き物や動物で、果たしてアンチエイジングをしている生き物は人間以外にいるでしょうか。

無駄な抵抗をせず、ただ光を浴びて空気を吸い、食事をして、時間の移り変わりを噛み締める。
その24時間365日という大切な時間の中に、着ていて気持ちが良くなる洋服がその中にある。

私の中での洋服の価値観はそのレベルです。

決して洋服のために人生があるわけではなく、自分の人生の中に洋服というものが一部入っているだけ。
洋服の楽しみ方が広がるとともに、人生にも彩りが増していく。

なんでもかんでも、ヨーロッパの人と比べるなと言いたい方もいるかもしれませんが、ヨーロッパの人は、若い人よりも、おじさまおば様の方が圧倒的におしゃれな人が多いです。
それが何故かというと、彼らはエイジングを素直に受け入れて楽しめているからだとわたしは思います。

アンチテーゼ、反骨精神。
そのマインドが必要なお年頃もありますが、大人に大切なのは、受け入れる寛容さだと思います。

あらゆる物事を受け入れることから、また新しいものが見えてくるかもしれません。

迷ったら、常にイエス!
これが私の考え方です。

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-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士

Haruto Takeuchi / 竹内大途

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