BERUNです。
まだ暑さが続きますが、朝晩は涼しくなってきました。
服好きの脳内はすでに秋冬にシフトしていることでしょう。
BERUNには秋冬の生地が大量に入ってきております。
ぜひ、店にお越しの際は色々とご覧いただけたら幸いです。
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日本人にはハンチングよりキャスケット
あまり数は多くはありませんが、キャスケットのオーダーもしっぽりといただいております。
1人の職人にお願いし続けて10年ほど経ちます。
変わらず、安定したクオリティで仕上げてくださり、私の謎の生地にも快く受けてくださり、嬉しい限りです。

一番多く作成するのは8枚はぎのキャスケットですが、今回のような、前側が1枚のハンチングで、後ろが4枚のキャスケットになっている形のものも、意外と合わせやすくていいのです。
8枚はぎのキャスケットよりボリュームが出過ぎず、ハンチングほど頭が潰れすぎない。絶妙なバランスです。

夏はリネン混。冬はウール、ツイード、カシミヤなど、様々な生地で楽しめます。
これからの話は、わたしが色々な方を見ていて、仮説を立てたものです。
わたしは日本人でハンチングが似合う方はあまり多くないと思っております。
なぜかと言いますと、我々日本人は顔がのっぺりとしているため、平べったいハンチングを被ると、顔全体がぺらんとしてしまうのです。
では、ハンチングが似合う人とはどういう方なのか。
最近観ている「ザ・クラウン」から感じたことは、この作品に出てくる方々は年齢問わず、誰もが格好良くハンチングを被りこなしている。
それは俳優だから、とか、白人至上主義だとかそういう話ではなく、骨格にあると思っています。
ハンチングという平べったい帽子が似合う人の顔立ちは、堀が深く、鼻が高いような、顔に立体感がある人。
そのような方がハンチングを被るとサマになります。
昔の日本人のような、上背が低く、下っ腹がぽっこりとしている人の方が和装が似合います。
そのような人が着る和装には、スリムでスタイルのいい人には出せない味わいがあります。
そのように考えますと、今回ご紹介している前側が1枚スタイルの帽子はちょうどいいところを突いていると思います。
つぶれすぎておらず、ボリュームも出過ぎず。
まさに日本人に合った形の帽子でしょう。
自分の今世もらった頭の先からつま先まで、全てを理解して、愛して、今世の自分に似合うものを探していきましょう。
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恵まれた体格だから3PLYを
初めてお越しいただきましたT様。
実はわたしのこんな偏屈なブログを10年程前から見ていただいていたという。
そして今回お越しいただきました。
ありがとうございます。
まぁ、わたしのアメブロ時代のブログは非常に青々しく、若さを感じる文体ですが、根底は同じことを言い続けていると思っております。
思想の根底は変わらずとも、モノづくりは常に変化、進化し続けている。
モノづくりは、「もうこのくらいでいいだろう」と決めてしまえばそれで終わりです。

恰幅のいいT様にお作りしたのは、チャコールグレーの3PLY。Hardy Minnis社の生地。
3PLYの重みは450gma。このくらい生地にボリュームがあれば、ある程度身体の大きさが必要です。
これは生地と身体の大きさのバランスですが、恰幅のいい人に軽くてしなやかな生地を合わせると、生地が負けてしまう。

反対に、小柄な方にバリバリの生地を合わせると、鎧のようになってしまう。
これに全ての人が当てはまるわけではありませんが、1つの指標になります。


T様はこのバランスがピッタリマッチしました。
T様、たくさんご着用ください!
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色々なコーディネートを楽しみましょう
徐々に秋冬服のお渡しも始まっております。
いつもお越しいただいておりますA様。
今回はまとめてご注文をいただきました。

まず、お作りいたしましたのは、Fox Brothers社のツイード生地を使った4ピーススーツ。
非常にクラシカルで、この生地は私が作りたいなぁリストに入っていたものです。
ええ、BERUNの生地棚の中にはひっそりと私が作りたいなぁ生地がかくれんぼしております。笑
だったら作ればいいじゃないか笑
と思うかもしれませんが笑、私ばかりいい思いをしても仕方がないので、しばらく置いて眺めているのです。
そして、私よりもこの方が適役ダァ!!!!という方が来られましたら、その生地をスッと出すようにしております。


A様はどちらかというと、ブリティッシュカントリースタイルゴリゴリが好みというわけではありませんが、こういうセットもあるとワードローブがとても華やぎますよということで、お勧めさせていただきました。




ツイードのセットアップがあれば、上下ソロで使うこともできますし、4ピースでそれぞれソロ活動していたメンバーたちが再結集してもいいわけです。
うーむ。格好いい。。
ベストを変えてコーディネートを楽しむのもよし。

下を変えてツイードのジャケパンスタイルで楽しむこともできます。

こちらのトラウザーズはうっすらグレーがかったオフホワイトのウール。Smith Woolensのもの。
とても上品ながら、前に出過ぎない、そんな程よい雰囲気を持った生地です。

お次は春夏のスタイル。モヘアリネンのオッドベストに、コットントラウザーズを合わせたスタイル。
下をリネンにすれば真夏でもいけます。
前のブログでも何度か書いていますが、オッドベストスタイルはジャケットも合わせるとなると、プロでも頭を悩ませる高レベルな合わせスキルが必要です。
例えば、オッドベストを着る時は夏だけで、ジャケットの代わりに着るからジャケットとは合わせない。
ということでしたらそこまで難しくはありません。考えるのはベストとトラウザーズの相性だけですので。
そこにジャケットが加わりますと、3つ異素材、異色で全てをマッチさせるように考えなくてはいけないのです。それは大変です。
これは自慢ではないのですが、私は小さな頃から人の姿を人生ゲームの洋服選びみたいに頭の中で着替えさせることができる変態スキルを持っていますので、どんな難儀な合わせも合う合わないは頭の中で想像できるのです。
自分でやってしまうと十中八九ミスするでしょう。
そしてこういう店もあるのかぁと頭を悩ませたお話がありまして、前に来られたお客様が、他のお店で、ベスト分だけ生地が余っていたから、安く作ってもらったという話をされまして、それがまさにスーツの生地だったんです。
スーツの生地で単品のベストを作るなんて、、、、
絶対にプロがやっちゃダメでしょ。。
と悲しくなってしまいました。(結構そういう店多かったりします泣)
もし仮にベスト分しか生地が残っていなかったとしたら、クッションカバーにするとか、ペンケースにするとか、そういう洋服ではないものに生まれ変わらせる方が満足度が高いとわたしは思います。


さて話が脱線しましたが、ブルーグレーのオッドベストの上に合わせるジャケットは、薄めのオリーブグリーンのジャケット。

生地は280gmsほどのフランネルで、オッドベストが夏の生地ですが、ジャケットは秋の生地です。
異素材、異色ですが、色のトーンを合わせているので自然とマッチします。
これが例えば、ベストがもっと濃いネイビーだったりすると合いません。
ジャケットもベストも程よく淡いお色だからこそ、季節がなはれていても合わせることができます。
こちらのジャケットはボタンホールの作業がまだでしたので、この後しっかりと手縫いを施し、お渡しさせていただきました。

まだ数は作っておりませんが、個人的に結構ツボなのが、薄手のコーデュロイ。

300gmsを切る重さで、通称サマーコーデュロイと呼ばれています。
元アンチクールビズ党員、現Dance with Coolbiz派の方たちは、37,8度に慣れてくると、31度と聞くと涼しい!と感じます。
わたしも昨今の夏はさすがに暑いですが、そこまで辛くないんですよね。
35,6度でもリネンのスリーピースを着るという修行期間があったので、今37,8度でリネンシャツだけでいると、暑くて辛いというのがあまり起きて来ないんです。
※決して真似しないでください。笑
サマーコーデュロイという名前がそんな人たちのための呼び名に聞こえてしまいますよね。
まぁ、ようは薄手のコーデュロイです。
コーデュロイは重たくなくてはならぬ!という方にも、ぜひ触ってみていただきたいです。
意外といいもんです。
コットントラウザーズ一択の春秋のトラウザーズ論に、こういうのもあるのか!となります。
A様、この度はありがとうございました!
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ラグジュアリーの先へ
いつもお越しいただいておりますM様。
こちらがっつり秋冬ですが、実は春にお渡ししておりました。

ジャケットはVintageのW Bill社のCamel 100%のベージュヘリンボーン生地。
縫い手が困るくらいとろっとろのキャメルです。

上質極まりない生地。贅沢な1着です。

柔らかな生地のためダブルですが開けても格好いい。
なんならカーディガンくらいの気持ちで着ていただきたいです。

これにヴィンテージのデニムとかを自然に合わせたりしたら、相当な洒落者でしょう。
M様には今回、もう1着スペシャルな生地で洋服をお仕立て致しました。

ヴィンテージのドーメルのカシミヤ生地で仕立てたダブルブレストコート。
このカシミヤですが、パッと触ると全くカシミヤのような柔らかなタッチがありません。
肉厚でハリがあり、硬く、重厚な質感で、これがカシミヤ100%?と良い意味で疑いたくなる生地。

これは相当贅沢ですし、かなり玄人好みの生地です。
カシミヤであればカシミヤ感を出したい!
という欲求で生きていない人のための生地。
こちらの生地は3着分だけ見つけることができ、残りの1着はわたしの分で寝かせていたのですが(またそのパターンか笑)、お嫁に出すことにいたしました。
このような生地は早々出会えるものではありませんが、なくなることでまた見つけたいという良いモチベーションになります。
M様、最高に素敵に着こなしてくださるので、生地も喜びます。
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9月に入り、すでにツイードのご相談が増えてきております。
たいへん嬉しい限りです。
今年もツイーダー(今勝手に作りました笑)が増えることが嬉しくてたまりません!
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-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士
Haruto Takeuchi / 竹内大途