BERUNです。
気温が25度を下回る時間も出てきました。
最高です。
私たちの季節が来ました。
全てをブログに挙げられていませんが、色々と素敵なものが完成してきております。
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ラグランチェスター
何年も生地を寝かせていて、ようやくこれで行こう!となり裁断した生地で仕立てたコートが完成してきました。

Joshua Ellisのキャメル100%、ダブルフェイス、重さはなんと900gms超えという、猛者が唸る生地です。
この腕の振り方を見たら、生地の厚みの凄さを分かっていただけるかと思います。
キャメルという高価な生地で、そもそも半分の450gmsでもういいじゃない。というこのご時世に、
「エエイっ!!」と両A面にしてしまうという超贅沢な逸品(珍品?)。

型はラグラン、顔はチェスターという、通称があるのかわかりませんが、ラグランチェスターをお作りしました。
ゴージラインは低く、クラシカルな雰囲気です。

ダブルフェイスを活かし、裏地は付けずに大見返し。
着てみると、
「あら。上品なコートですねぇ」
という見た目ですが、触ってみるとめちゃくちゃマッチョな触り心地という、期待を大きく裏切ってくれる洋服です。
この変わり種のコートは私が作りました。ぜひBERUNにお越しの際は、この変態コートを見にいらしてください。

オーバーサイズでベルトをグッと結んで着るもよし。
私はそのままベルトをポケットに入れて、ざっくり着るのが好みです。
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スーツ地で作るラグランチェスター
いつもお越しいただいておりますI様。
I様にも、ラグランチェスターをお作りいたしました。

使った生地はDormeuilのVintage Sportex。
BERUNのオリジナルブルゾンに使った生地です。
ブルゾンを作った際に、ほんの少し残りましたので、そちらを使いお仕立ていたしました。

I様の希望は、春と秋にさらっと着られる軽めのコートが欲しいとのこと。
色々生地は思いつきましたが、シックさと軽やかさのバランスがとてもいいと思い、こちらの生地でお仕立てすることにいたしました。

重さは370gms。本来スーツに使われる生地ですが、表面に凹凸があり、ツイーディーな表情があるため、これならコートでもいい雰囲気になるのが想像できました。
生地が軽めですので、丈もそこまで長くしすぎず、軽やかさが生まれるくらいの丈感にいたしました。
洒落心のあるI様だから、格好良く着こなしてくれます。
いつもありがとうございます!
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初めてのオーダーは首からつま先まで
初めてお越しいただいたS様。
洋服というこれだけ拡大しきった世界で、自分に合うものを見つけるというのは、初心者の方にとっては星を掴むような話かと思います。
もちろん時間とお金をかけてたくさん失敗、経験をすればいいのですが、そこに至るまでに洋服に対して皮肉や諦めが出てしまう人も出てくるでしょう。
もう自分はオシャレなんていいや、わかんないからファストファッションでそれなりに見えるものでいいや。
と箸を投げたくなることもあると思います。
私は自分がそのジャンルに対してあまり知見がない場合は、必ずその道のプロに道を作ってもらうようにしています。
洋服初心者が何もわからずに洋服を買いに行くこと。それは例えるならば、いきなり雪山のてっぺんに連れて行かれ、履いたこともないスキー板を履かされ、滑って下まで降りてください。
と言われているようなものだと思います。
大袈裟かもしれませんが、そのくらいのレベル感で”怪我”をします。
やはり初めての時は、スキーの乗り方、転ぶ時の転び方、滑りやすい道の見分け方。休憩するところの場所など、あらゆることを教えてもらわないといけません。
オシャレは難しいから真っ黒の服着てればいいや。というのは、山の上に行くのが怖いから、リフト使わずに歩いて登れるところで、そりで遊んでいればいいや。とやっているようなものです。
それでは、洋服(スキー)の楽しみがわかるはずがありません。
滑り方がわかってきて、はじめて、
「これがスキーかぁー!!最高ぅうううーーー!!!!」
となるわけです。
これは全てのジャンルに通ずることです。
つまり、人生を楽しみたいのでしたら、自分が興味のある分野には必ず指針となるガイドがいてくれた方が、その世界を100%味わうことができるのです。
さて、話が長くなりましたが、S様はBERUNにお越しいただくまでに、地元の洋品店で色々と買ってはみたものの、どれもパッとしない。というご感想でした。
今回はBERUNで、首の下からつま先まで、全てお作りさせていただきました。

選んだのは、ブラウングレーのウールリネンの生地で、ジャケットとウエストコートをお作りいたしました。
そしてトラウザーズはチャコールグレーのフレスコ。
(いつも使っているカメラが修理中でしたので、画質がよろしくなく申し訳ありません。。)



生地感はこちらの写真がよく伝わります。
夏用の生地ではあるのですが、お色味と生地の表情がいいので、秋以降も活用することができます。


前も後ろも横もとても美しいです。

靴は外羽根のプレーントウ。
ダークブラウンの型押しレザーを使いました。
私は生地選びから形、デザイン選びまで、全てその方をイメージしてご提案しています。
なので、これはあくまで私の感覚でしかないのですが、「〇〇さんはこれでもないし、あれでもないし、これしかないでしょ!」と針の穴を通すようにデザインを決めていきます。
S様の一足目は、ブローグでもなく、Uチップでもなく、ストラップでもない。色々イメージした結果、型押しのプレーントウがいい!と決まりました。
結果は大正解。とてもS様の雰囲気に合っておられました。
せっかく目の前にプロと呼ばれる人がいるのでしたら、その方の知恵や経験を思う存分注入してもらう方がいいでしょう。その先にあるのは、自分では絶対に感じることができない、そのものの本当の楽しさ、豊かさです。
S様、冬の前まで、ぜひガシガシご着用ください!
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クラシックなピースが似合う男
いつもお越しいただいておりますO様。
私が高円寺という沼地をご紹介しましたら、今やおでこまで浸かっておられて、大変楽しい人生を送っていらっしゃいます。
今回O様にお作りしたのは、私が作りたいリストの中に入っていた生地です。
Harrisonsの1年だけ限定で作っていた、ヴィンテージの柄と製作方法を復刻させたクラシカルな1着。


この柄の渋さ、最高ですよね?(押し付けがましい笑)
バーズアイに、大柄のウインドウペーンが入っています。

ネクタイはやはりここまでくれば、ペイズリーのような少し癖と華のある一本を合わせたくなりますね。
とても相性のいいVゾーンになります。

いやぁ、シブイねェ…まったくおたくシブイぜ。
という声が聞こえてきそうです。最高に渋くて格好いいです。
この柄、なんとも言えない味を出していますよね。

O様、素敵なスーツをありがとうございました。
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シンプルなネイビースーツを素敵に着こなす
ご友人の紹介でお越しいただきましたM様。
今までスーツを着る仕事ではなかったのですが、夏から急遽スーツを着る部署に代わり、大慌てでスーツを慎重にお越しいただきました。
季節が長く着られるスーツがいいということで、Dormeuilの強撚糸、ネイビーカラーのサマーウールで3ピーススーツをお仕立ていたしました。

ブレイシーズで吊り上げることで、足を想像以上に長く見せることができます。

なんの変哲もないネイビーの3ピースですが、この何の変哲もないというところに美しさが詰まっているのだと思います。
ネイビーの無地という、多くの人たちの制服のようにも見えてしまう色。
何かをやりたくなってしまうシックなこの色で、何もやらずに、ただそのもののポテンシャルだけで戦うのが、本当の強さだと思います。
M様、ぜひたくさんご着用ください!
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必ず持っておきたいダークネイビーの3ピーススーツ
初めてお越しいただきましたO様。
いつもはスーツをオーダーする際は色々とご自身で選んでいらっしゃるようですが、今回は私に任せていただきました。
オフホワイトなど、比較的明るめの色の洋服が多い中、今回はシックなダークネイビーをお作りいたしました。

Taylor & Lodgeのど定番ストライクの濃紺無地。
濃紺の無地は間違いない1着が欲しいですよね。
靴は今お持ちの上物に合わせたいというご要望で、コンビシューズをお作りいたしました。


恰幅がいいO様。O様らしい特徴的な体のバランスをお持ちで、オーダーしがいのあるお身体です。
何度も書いておりますが、既製服がスルッと入ってしまうお身体の方よりも、その方らしい癖、特徴のある身体をお持ちの方の方が、オーダーのスーツというのは映えます。
O様、ぜひたくさんご活用ください。
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-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士
Haruto Takeuchi / 竹内大途