BERUNです。
すっかり朝晩は涼しくなってきました。
昨年は今頃もまだ暑かったですからね。。
今年はしっかり秋があって嬉しいです。
すでに冬服に突入している方もちらほら見かけますが、私は今この時期は、真夏に着られなかったサマーウールの生地を、汗をかかずに、かつ寒くなく着られる絶好の季節なので、今は英国の夏生地を楽しみます。
写真がたまってしまっておりますので、少しずつ書いていきます。
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リネンサファリジャケット
いつもお越しいただいております、T様。
ガチガチのスーツスタイルではなく、ご家族と出かけたりするときの、生活を彩る装いを求められています。
今回はリネン素材のサファリジャケットをお作りいたしました。

リネンは夏の生地ですが、300gms超えのリネンとなると夏はとてもじゃないけど着られません。
ということは冒頭の話に戻るわけで、まさにリネンのサファリは今の時期に活躍するわけです。
中はシャツを合わせてもよし。
休日であれば、ニットポロを合わせてもよし。



相当着慣れてくれば、袖ボタンを外してまくって着てしまうなんていう着こなしもないわけではありません。
まぁ、そこまで行けば何をしても格好いい、粋だと思ってもらえる人間力が必要になってきますね。


お洒落道というのはただ単にお洒落になるためにどうこうするというのではなく、詰まるところ人間を磨くことに尽きるのだと思います。
人間を磨けば、極論何を着ていても様になってしまう力が出てきます。
えっじゃあ、洋服なんて必要ないの??
竹内さんよ。。あんた洋服屋だろ??
いえいえ、その人間力を磨くために、洋服があるんです。
良い服というのは、自分自身を今いる場所から上に引っ張っていってくれます。
良い服を着ることで、それに見合う人間になりたいと思い、そして洋服が鼓舞してくれます。
良い服は自分を引き上げてくれ、自分をより良いところに導いてくれるパートナーです。
そして人間力がついたら、究極何を着ていても様になるというわけです。
有名な写真ですが、白洲次郎の白Tにジーンズ姿。あれに憧れた方は数多くいるでしょう。
そして生き急いで、
「俺も白Tにジーンズが似合う男になりたい!毎日白Tにジーンズで己を磨くぜ!」
と、半分正解で半分不正解な頑張り方をする人もいるわけです。
白洲次郎さんは、本場英国の一流の服装哲学を身につけ、日本人の中で類まれなる経験値を積まれた方です。
そのような生き方をした人だからこそ、あのようなラフな姿も粋に見えるのです。
良い洋服の役割は、パーソナルトレーナーであって、自分に適したメニューで的確にトレーニングをしてくれる環境があるような状態なのに対して、洋服なしで己を磨くのは、ひたすら我流で自重トレーニングをやり続けるようなものです。(例えが筋トレ笑)
後者の方は、モチベーションを維持するのがかなり大変だと思います。
途中でいいや、と箸を投げてしまうことも簡単にできてしまいます。
確実に王道で自分をより良いところに導いて行ってほしい方は、洋服の力は思う存分借りるべきでしょう。洋服だけに留まらず、衣服はそのためにあります。
話は全く変わってしまいましたが、カジュアルだからこそ、シルエットや仕立てには手を抜けません。




内側はシンプルな一枚仕立てです。
なるべく裏地を使わないことで、上品な雰囲気が漂います。
T様、休日に彩りが増え、より良い人生になることを願っております。
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リネンとツイード
現在お隣の国に駐在をされているS様。
一時帰国の際に立ち寄っていただき、以前ご注文をいただいていたものをお渡しいたしました。
国も変われば食も変わります。体型維持はなかなか至難の技でしょう。
何を隠そう、私も2011年に英国に半年いた際、しっかり6kgくらい太って帰ってきましたよ。笑
向こうでは毎日ビールを何杯も飲み、小麦と油にまみれた食事をしていましたので、それだけ体型が変わってしまうのも納得です。
帰国をしてからその時作っていた洋服がほとんど着られないことに愕然し、1ヶ月で元に戻しました。笑
S様も少しお身体が変わっておられましたが、大きく作らないでください!とのことで、以前のサイズでお作りさせていただきました。
BERUNの洋服は元々ゆとりがあるため、4kgほどの増減でしたらお直しせずに着ることはできます。
なぜお直しがいらないかというと、”身体に沿った適度なゆとり”があるからです。
この”身体に沿った”と、”適度な”、”ゆとり”。どのワードも不可欠なのです。
昨今はオーバーサイズブームですので、ゆとりがあればいいという短絡的な発想の洋服も多く見受けられます。
ですがそのオーバーサイズは、決して”あなたの身体に沿ったゆとりではない”のです。
そのため、その洋服は主人が不在なのです。誰のものでもない洋服。
身体に沿うことで、あなただから似合う洋服になるのです。
そうであれば、大きくなっても、痩せても、身体の骨のラインは変わりませんので、主人は自分のままです。
どうせだったら、自分が主人である洋服を身に付けたいと私は思います。
まぁ、毎日とは言いません。私も古着は大好きですので、歴史の中の1ページを借りてきた感覚でそういう洋服は着ています。
なので、TPOという分け方もありますが、自分のその時の感覚に尋ねてみるという感じですね。
なんだか今日は与太話が多いな。。笑
S様には春夏用のジャケットスタイルと、秋冬のツイードをお仕立ていたしました。



春夏はリネンウールシルクの三者混の生地。
ベージュのグレンチェック生地。シンプルながらとても上品でいい雰囲気です。

トラウザーズはネイビーのリネン。
秋冬はFox Tweedのチェックジャケットに、太畝のコーデュロイ。




これからの季節、コーデュロイはいいですよぉ。
ふとお客さんとお話ししていた時、そういえば最近、コーデュロイの洋服を街で見かけることが減ったなぁと思いました。
昔は秋冬といえば、大人も子供もコーデュロイは一般的だったと思うのですが、ファストファッションと化学繊維の台頭が影響しているのでしょうか。
綿素材で暖かく、頑丈で、カジュアルに使えて、でもどことなく上品な雰囲気もして。こんなにもいい生地はないと思うんですが。冬はポリエステルで裏起毛のパンツを作っている方が安上がりだし、ウケもいいのでしょう。
私は啓蒙しますよ!!笑
さぁ、
コーデュロイ、いいですよー!(薄い笑)
S様、いつもありがとうございます。
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春夏と秋冬ジャケパン
今年の初めにディナージャケット(タキシード)のご注文で初めてお越しいただいたK様。
式に合わせた装いをご提案した後に、日常で着られる装いにつきましてもご注文をいただきました。誠に嬉しい限りです。
春夏に向けた装いのジャケットスタイルをご提案いたしました。



ジャケットはH Lesser & Sons. × Carlo barberaの生地、ネイビーのギンガムチェック。
イタリア製のため、質感はしっとりと上品な雰囲気が素敵です。
トラウザーズはグレーのフレスコ。オッドベストは式でも使うオフホワイトのもの。
ジャケパンスタイルがOKな職場であれば、こういう姿で仕事をしていたら気持ちも変わりそうですよね。
秋冬のスタイルも合わせてお作りいたしました。

私の大大大好きな生地、W BillのLamlana。もうだいぶなくなってきました。
最後に本国に残っていた生地、買い占めておけばよかった、、と今更ながら後悔しています。そのくらいとても素敵な生地です。
お色はモスグリーン。


中に合わせたオッドベストは、Fox Brothersのグレイッシュブラウンのフランネル。
280gmsという軽めのフランネルは、厚すぎないため温度調節も効きやすく、オッドベストにとても適しています。
トラウザーズはダークグレーのフランネル。こちらも290gmsという軽めの生地です。
K様は細身でいらっしゃるので、あまり厚みのある生地ではなく、春夏、秋冬ともにしなやかな生地を選びました。

この色合わせ、とても素敵ですね。(自画自賛 笑)
決して媚びたオシャレではないけれど、誰がどう見ても素敵に見える洋服、というのが、私の得意なスタイルかもしれません。
K様、この度はありがとございました!
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ジャケット+オッドベスト
初めてお越しいただいたK様。
登山がお好きで、身体がガッチリされている、テーラードの似合う体格です。
オッドベストを含めたジャケットスタイルをお作りいたしました。

トラウザーズはウールコットンのデニム。
ウールのしなやかな質感と、コットンの硬さのバランスがとてもいいです。

ベストの素材はブラウンベージュのカバートクロス。
本来コート向けの生地なのですが、肉厚で色合いもよく、ベストにしてもとてもいい表情になります。


ジャケットはブラウンとボルドーがメインで、ネイビーや様々な色が入っている千鳥格子。
ブラウンベースのジャケットに、ブラウンベージュのオッドベスト。
トラウザーズはインディゴブルー。
とても上品な色合わせです。
もはやスーツやジャケットが必ずしも必要ではない現代。だからこそ、思いっきり好きな服を着て人生を楽しみましょう。

私は常々思うのですが、洋服って本当にいい趣味だなぁと思います。
社会性は身につくし、自分自身の満足度、幸福感も得られる。そして気持ちが前向きになる。
こんな時代だからこそ、お洒落を楽しみましょう!
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-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士
Haruto Takeuchi / 竹内大途