BERUNです。
すっかり久しぶりになってしまいました。
なかなか忙しく、さぁブログを書こうスイッチをどこかに置き忘れてきてしまったようです。
こんなわたしの駄文にもお付き合いいただいている方がいらっしゃるようで、
「いつもブログ見てます」
なんて言われますと、調子に乗ってよーしやろうかなぁと頑張る単純なわたしです。
しかしこれだけ感覚が空くと、まだアップしていない人とすでにアップした人のお客様の写真の整理がなかなかつかず、埋もれてしまうのもいくつかあります。
それは後日お客様から、
「ブログ載るの楽しみにしてたんですけどねぇ笑」
と言われたりして、そこでハッとするわけです。
そのときにはもうあの時のお写真は何処へというわけで。
まぁそんなこんなでのんべんだらりと書いておりますので、公園の鳩を見るかのようにごゆるりとお付き合いください。
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オッドベストコーディネート
最近のメインとサブチャンネルでは、どちらもベストについてお話ししました。
メインはスーツのインナーにダウンベスト着るのは絶対だめよ。その代わりにウールのニットベストか、オッドベストを着てねというお話。
サブチャンネルは、オッドベストについて深掘りしてたっぷりお話ししました。
オッドベストというアイテム自体、なかなか世の中でいいますとマニアックなアイテムなので、どのように着こなすのが良いのかわからないという方も多いと思います。
これについては、表立って正解というものは無いため、一人ひとりの着こなしの自由さが求められるのですが、この自由というのが洋服初心者の人からすると苦痛なわけです。
何事もそうですが、まだ初心者でこれからやり始めると言うもので、右も左もわからない状態なのに、好きにすればいいよ。
というのは優しさでも何でもありません。
オッドベストという少々マニアックなアイテムですが、このアイテムがあると着こなしのレベルが一段と上がるので、覚えておくに越した事はないと思います。
前置きが長くなりましたが、今回ジャケット&トラウザーズ&オッドベストの組み合わせを納品いたしましたW様。
ダンスダンスレボリューションをこよなく愛するナイスガイなお方です。

ジャケットとオッドベストはFox Brothersのフランネル。
ジャケットの色はグレイッシュブラウン。
オットベストはイエローベージュ。

お気づきの方もいるかもしれませんが、このジャケットの生地で、今季BERUNのネクタイもお作りいたしました。
個人的にとても好きな色で、どう料理しても美味しく仕上がる生地感と色でした。

トラウザーズはダークネイビーのフランネル。

ネイビーのトラウザーズは難しいと感じるかもしれませんが、それは多くの方がジャケットにネイビーカラーを持ってくるからです。
ジャケットにネイビー以外の色味を持ってくれば、ネイビーのトラウザーズは何にでも合わせることができるとても便利な1本です。
小柄ながらも、肩幅がしっかりとあるW様。
既製服ですと、なかなか合う洋服が少ないと思います。
そのようなお体の場合、全体をコンパクトに合わせないといけなくなるため、肩幅が窮屈な洋服を着ることが多くなってしまいます。
テーラードでとても大切な要素は、肩とバストのボリュームです。
肩幅にゆとりを持たせ、バストにもゆとりを持たせることで、胸の膨らみを作ることができ、自然とウェストがシェイプされて見えるのです。
この考え方は本来のテーラードのあり方なのですが、これを真逆から解釈しているのがアンコンジャケットです。
このアンコンジャケットが今のテーラードの主流になっているため、窮屈で体に沿う洋服が一般的になっているのです。
ですが、これには弊害があります。
それは、自分自身の体がとても魅力的でなくては、洋服がかっこよく見えないということ。
肩パッドと芯地というのがなんのためにあるのかというと、自分の身体の弱点を強みに変えるためにあるのです。
ハリを持たせ、立体的に見せることで、より男性的で立体感を見せることができる。それがスーツの内側に潜む副資材たちの役割です。
スーツというのは、そもそも、自分をより良く見せるためにあるものです。
それは軍服から来ていることがそのすべてですが、軍服というものは自分をより男性的に、かっこよく見せるためにあります。
昨今の男女平等という考え方の時代に生まれた洋服ではありません。
レディース&ジェントルマンの時代に完成されたのがスーツです。
それは時代錯誤でおかしい話だ。洋服も時代とともに変わっていくものだ。
という声もあると思います。
私ももちろんそれでいいと思うのですが、変わっていくものと、変わらずにあり続けるべきもの。そのどちらもあっていいと思います。
そして、その後者が私は、クラシックテーラードだと思うのです。
なので、アンコンジャケットのように時代が作り出した洋服もあって良いのです。
そのように時代が作り出した新しい風が吹くことにより、その光が強くなればなるほど、その影になるクラシックスタイルというものに魅力を感じる方もいるからです。
光と影、右と左、どちらも必要なのです。
まぁ私もこんなことを言っておきながらも、私のものづくりをご覧いただいている方からするとお察ししているかと思いますが、バチバチぶりぶりクラシックデスというわけではなく、常に時代の流れを読み取った上で、クラシックスタイルというものを探求しております。
クラシックスタイルというのは、形ではなく思想だとわたしは思っております。
なので、1930年代スタイル、40年代スタイル云々というのではなく、古き良き時代の空気感にリスペクトをしつつ、今を生きる人たちに向けた洋服を作るのがわたしの仕事です。
時代は前には戻れません。
ノスタルジーに浸るのもわるくはありませんが、今ここ、21世紀を逞しく楽しく生きる方法に、わたしはクラシックという思想があると良いのではないでしょうか。という提案なのです。

W様にはヴィンテージのボタン型カフスもお渡しいたしました。
とても渋くて格好いいです。

W様、いつもありがとうございます!
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ネイビーフランネルとオッドベスト
いつもお越しいただいておりますH様。
いつもストイックに間違いない洋服をお作りしているH様に、今回は秋冬のスタンダードスタイル。

ネイビーフランネルのジャケットに、グレーフランネルのトラウザーズ。
いいですねぇ。ジャズで言うと「all the things you are」くらいスタンダード。
ですが、スタンダードこそ、その人の個性がでます。
「all the things you are」だって、誰が演奏するかで全く違う曲に聴こえるように、同じ洋服だって、着る人によって全く違うように見えるものです。
そこにその人の生き様というのが表れるのです。

まだお若いのですが、凛とした立ち姿で、テーラードスタイルがお似合いです。
BERUNに来られる方にはいつもお話ししていますが、姿勢は一番といっていいほど大事なポイントです。
日本人特有の前肩は、骨格の話でもあるので致し方ない面もありますが、デスクワークが多い現代ですと、肩と首が前に出てしまい、とてもスーツを格好良く着るスタイルではなくなってしまいます。
肩が前に丸まってしまうことで、肩幅が狭く見えてしまう。
首が前に出ることで、顔が大きく見えてしまう。
そんな姿勢の人が今主流のアンコンジャケットなんかを着たらどうなってしまうでしょう。
肩が狭く余計に顔が大きく見えてしまいます。
私は自分の発信しているものではあまりトレーニングトレーニングと言いたくはないのですが、週に1回でも、身体を動かす習慣はつける方がいいでしょう。
私も週1で水泳とヨガ。時間がある時にHIITをやっています。
身体を動かすことで、身体の軸が作られます。
この軸が作られることで、肩や首が前ににゅーっと出ることに身体が違和感を感じてくれます。
背筋を鍛え、プッシュアップで胸を開いたら肩が自然に後ろにつき、首も後ろについていきます。
そうなると周りの見た印象でも、自信があるように見え、格好良さが湧き出てきます。
格好いい男になるために、良い服を着るというのも大切ですが、今世の一番のパートナーである身体という乗り物を整えることこそ、とても重要なことです。
やりすぎて、365日アンダーアーマーです💪というところまでは行き過ぎないようにしてくださいね笑
さぁ、なんの話をしてたでしょうか。笑
H様にお作りしたフランネルはWilliam Halstead社のフランネル。450gmsという肉厚なフランネルで、伸びもあるため着ていてとても楽です。

オッドベストはイタリアはFINTES社のヴィンテージ生地。
ピンチェック柄で色はオフホワイト。

ネイビーフランネルとグレーフランネルという定番の組み合わせだからこそ、このくらい色を取り入れても派手にはなりません。

シンプルを極めるというのもとても粋なことと思います。
H様、いつもありがとうございます!
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スポーツコートスタイル
いつもお越しいただいておりますO様。
今回は、ツイードジャケットでスポーツコートスタイルをお作りいたしました。

トラウザーズはベージュのコーデュロイ。


最高に渋いです。
昭和の映画スターのような燻された男前さがあるO様には、O様だからこそ合うというスタイルをいつもご提案しております。
こういった個人店でできる1番のメリットは、その人1人ひとりにあったものを何にも縛られずに作ることができるということだと思います。
大型店ですと、一人の店員が好きなように自由に決めるというのは難しいと思います。
やはり、自社の決められたパターンと、世界観を崩さないレベルの生地と、採寸にしてもある程度決められた測り方があるでしょう。
まぁ、それぞれどちらも良い面はありますが、個人店は店選びが無数にあるのでどこに行けばいいのかわからないという問題も出てきますね。
私もあらゆるジャンルで、担当医を探しております。
1つのジャンルで、この人だ!と思ったら、あとは余計なことは考えないこと。人生はあっという間なので。
そうやって人生のあらゆるジャンルの担当医を見つけたら、あとは自分の得意な分野を磨いて行けばいいわけです。

O様のスタイルは背中にプリーツが入っていて、腕の可動域がかなり広いです。

ジャケットは着心地がわるいと思っている方がいらっしゃいましたら、そもそも本当のテーラリングを味わったことがないですヨ、とお伝えします。
回転寿司のかっぱ巻きだけ食べて、
「あぁ、寿司ね、不味くはないよね」
って言ってるようなものです。
丁寧に作られたスーツというのは着心地がいいのです。
そしてそれに追加して、本来アウトドアで着る目的のアクションプリーツがあれば、格段に着やすさが増します。
スーツ=堅苦しい
というイメージが払拭されれば、色柄を楽しみ、休日にテーラードを楽しむという余裕が生まれます。

O様、冬のワードローブに追加して、ぜひ冬をお楽しみください!
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ヴィンテージ生地で仕立てるコート
前回W様にはトレンチコートをお仕立てして、今回は春秋に着られるバルマカーンコートをご注文いただきました。
選んだ生地は80年代のドーメルのトニック。
しかしトニックといえば、モヘアの混合率が高い夏向けの生地です。
その生地でコートを仕立てるなんて、BERUNさん、どんな感じになるんです??

こんな感じです。いやぁ手前味噌ですが格好いいです。
トニックは現在もお作りしておりますが、ヴィンテージのトニックはもうなかなか見つかりません。
見つかったとしても、色柄が使いづらいものだったりしますので、このようにシンプルで、時代問わずに使える名作のヴィンテージ生地というのは、絶滅危惧種になっています。

こちらはコート1着分のみありましたので、まさに春秋のスプリングコートを探されている方に向けて置いておいた生地でした。

ヴィンテージ生地の魅力はそれはそれはたくさんありますが、仕上がりを見て私がいつも感じるのは、鈍い光沢感と、陰影の出方が現代のものとは全く異なるということ。
生地は最後にフィニッシュという工程を行いますが、そこで生地の表情をどのように付けるかというのが決まります。
現代の生地は色々ありますが、どちらかというと、表面に光沢感を持たせ、高級感を出す生地が多いです。
それに対しヴィンテージの生地は、その表面の光沢感というのが抑えられていて、わかりやすい光沢感がありません。
どちらかというと、糸そのもののポテンシャルの高さから滲み出てくる鈍い光沢感なのです。
これは昔と現代の人の求めるものの価値観が変わってきていることも挙げられます。
わかりにくくて結構。わかってもらうために着ているわけじゃない。という男気を感じます。
男らしいですよねぇ。そんな時代遅れの男に、私はなりたい。
野風増〜野風増〜。
さぁ、今回は脱線が多いですね。

W様にお仕立てしたこちらのコート、格別の格好良さでした。

陰影の出方がとても美しい。
もう出会えない生地です。ぜひ、大切にたくさんご着用ください!
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-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士
Haruto Takeuchi / 竹内大途