BERUNです。
色々やらなくてはいけないことはたくさんあるのですが、ブログを書くこともわたしの生きがいでありますので、綴ってまいります。
ふと思ったのですが、わたしはこれまでの人生、根拠のない自信にとても助けられてきたなぁということ。
根っこは小心者でビビりで勝てない試合はしない、そんな文章で書くと絶対知り合いにしたくないようなわたしですが、思い返すと人生の節々で、この人のこの言葉によって、首の皮一枚で救われてきたなぁというようなことがあります。
この仕事をしてからもそうです。
個人商店は1人社長ですので、良し悪しを周りに判断されることがあまりありません。
なので、とってもセンスのないものを扱っていても、センスのない方に届けさえすれば生きていけるのが個人商店です。(ちょっと大袈裟かもしれませんが、意外と真実です)
これは大型店だとそうはいきません。
大衆の人たちにウケてもらうためには、センスのないものではなく、今格好いいものを売らなくてはいけません。
それが個人商店と大型店の違いです。
そのため、個人商店はたまに軌道修正をしなくては、お山の大将になってしまう危険性があるのです。
それによって、この人有名だけど、カッコいいのか??というような人がいるのが事実です。
わたしはいまだに飲食店に一人で入るときに、一回店の前を通り過ぎて、一旦立ち止まって、よし。としてから入るようなミノムシサイズの心臓の持ち主ですが、そんな私のハートを握ってもみほぐしてくれていた人たちがいます。
わたしが22歳のとき、英国でルームシェアをしていた家の大家さんは、元々日本でピアニストとして活躍していた人でした。
かなり有名な曲を作っていて、当時一世風靡した方だったのですが、日本の人間関係に疲れて印税を携えて英国に飛び込んだそうです。
その方と夜たまにお酒を飲む機会があったのですが、その方がわたしに向かって、
「You have a talent」
としきりに言うんです。
ようはあなたは才能があるってことなんですが、そんなこと、22歳でミノムシハートの私には、
「あぁ、ありがとうございます」
くらいのもので、あまり真に受けるような感じではありませんでした。
ですが、日本に帰ってきてから、個人商店としての道筋に不安を覚えるたびに、その言葉が耳に蘇ってくるのです。
その些細な言葉が、ことあるごとに私の心を助けてくれていました。
個人商店は流行や先人の道を辿っていくのではなく、道なき道をかき分けて歩いていくわけですから、その先がどうなっているのかなんて何もわからないわけです。
自分の身長よりも高い草木をかき分けて沼地を歩いていくような感覚でしょうか。
そんなとき、自分の心に残る力付けられる言葉があるかないかは本当に大切だと思います。
わたしの師匠であるエドワードエクリュの木場さんも、昔から、
「竹内君は20代で一番センスがあるよ」
ということを言ってくれていました。
ですが、そんな大会ないわけじゃないですか。笑
センス日本一選手権なんてないんですが、わたしが信頼している方からそのような言葉があったことによって、救われたことは何度もあります。
その言葉には真実はありません。
根拠もありません。
でも、その言葉によって救われる、力づけられる人がいるんです。
そういう人の言葉の火を絶やさずに生きることが、こんな激動の社会を強く生きていくための方法なんだと思います。
今この話は過去の会話の中でのやり取りですが、わたしのお客様でも、仕事で失敗をして落ち込んでいる時に、左腕にお気に入りの時計をしているのを見て、気を落ち着かせるという話も聞いたことがあります。
それは洋服にも言えるでしょう。
新しい洋服を着ることによって、自分という人間は何者かになれるのです。
それは今の自分の等身大からは少しかけ離れた存在かもしれません。
ですが確実に言えるのは、それは自分なのです。
仕立て上がったばかりの洋服は、自分が自分以上に見えるくらい特別な力を与えてくれます。
落ち込んだときがあったら、自分のお気に入りの洋服に身を包み、ゆっくり茶を飲み深呼吸をする。
すると、こんな素敵な服を着ている男が落ち込んでいる場合じゃない。
と気持ちが前向きになると思います。
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わたしのBERUNの名前の由来ですが、BE RUN、走り続ける(RUN)と、なりたいものになれる(BE)という意味がこもっています。
それを洋服という観点からお手伝いしたいというところからこの名が来ております。
洋服から力をもらい、人生を好転させるということは、とても良い流れだと思います。
お一人お一人に、根拠はないけど、自信を与えてくれたものというのは、過去を掘り起こせば必ず何かはあるはずです。それを温めて温めて、孵化させることで、自分らしさを保つ心が育まれるのではないかと思います。
枕が長くなってしまいました。
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グレーフランネルにネイビーフランネル
久しぶりにお越しいただきましたK様。
もしかして気に入られなくなっちゃったのかなぁと思っていたのですが、トレーニングで身体が大きくなってしまい、洋服がキツくなってしまい、まだ身体が動きそうだったので、なかなか足を運べなかったということでした。
昔わたしが私物で使っていたマルベリーのバッグを彼に譲ったのですが、かなり使い込んでいてくれていて、
「これ以上のバッグはない。めちゃくちゃ気に入ってます」
と、喜んでいただけていたのが嬉しかったです。
身体の変化も落ち着いてきたので、以前お作りした洋服の直しと合わせて、今回秋冬物のジャケット&トラウザーズをお仕立ていたしました。

選んだ生地はヴィンテージのダイヤゴナルのフランネル。色はほんのり青みがかったグレーカラーのジャケット。
トラウザーズはダークネイビーのフランネル。

上にグレーを持ってくるのは渋さが出て格好いいです。
以前来られていたときは、20代の爽やか青少年というイメージでしたので、清潔感のある洋服をお見立てしていましたが、人生色々と経験をされてきて、顔に良い深みが出てきたので、この顔ならグレージャケットイケるぞ。

と思った次第です。
わたしの仕事は、一人一人の現在地を測り、その先を見据えて、ほんの少し背伸びをしてもらい、洋服と共に成長していってほしいということです。

年齢と共に似合う洋服の幅が広がっていくことは、順当に良い年の重ね方をしている証拠です。
K様、久しぶりにお渡しできてよかったです!
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グレーヘリンボーンのチェスターフィールドコート
いつもお越しいただいておりますI様。
今回は冬用のチェスターフィールドコートをお仕立ていたしました。

Harrisonsの700gmsという肉厚なコート生地。
グレーヘリンボーンのチェスターフィールドコートというど真ん中ストレートな1着。

お身体の大きいI様ですので、肩幅はたっぷりゆとりを持たせ、そこから下にストンと落とすスタイルでお作りいたしました。

生地の重みで自然と縦に落ちるシルエットが生まれます。とても美しいシルエットです。
身体の大きな方ですと、どうしてもオーバーサイズになってしまうか、タイトになってしまうか、そのどちらかの選択肢になりがちです。

肩幅のある方は、その肩を目立たせたくないと肩の小さなものを着たくなるという衝動がありますが、そうではなく、肩をしっかり出して、そこからバストもしっかりと出すことで、肩を目立たせることなく、上半身を綺麗なシルエットで作り出すことができるのです。

まずは自分の身体を知ること。そして、活かせるところと隠したいところをしっかりと考えること。
かのウィンザー公は英国人の中では身長が小さく、身体も華奢な方でしたので、お抱えのテーラーと相談をして、上着のボタンを留める位置より、ウエストの絞りの位置を少し上に上げることで、体格を良く見せるという方法を編み出しだそうです。
また、彼はツイードジャケット以外はほぼダブルブレストしか仕立てないようにしており、それも体格を良く見せるための方法だったそうです。
そのように、業界のトップの方であればあるほど、自分の見せ方というのを誰よりも研究しています。
そのように考えますと、自分の洋服選びの仕方も少しは変わるのではないでしょうか。

I様、いつもありがとうございます。
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ネイビーフランネルの3ピース
初めてお越しいただきましたN様。
私と同い年なのですが、お子様が5人もいて、私は3人で手一杯で、尊敬します。笑
今回はお仕事で使うためのシンプルなスーツをお作りいたしました。


今回は冬用のご注文でしたので、ダークネイビーのフランネルでスリーピースを1着。

N様はご身長が190cm弱ありまして、背が高い方ならではのお悩みもあります。
まず、既成服がなかなか合うものがない。
ではオーダーならいいのか、ということなのですが、オーダーでもそこまで背が高い方に対してのノウハウは量販店にはなかなかないようで、パターンオーダーの限界値を超えてしまい、結果的になんだか中途半端なスーツになってしまうとのこと。
背が高い方のスーツのフィッティングは、バランスがとても難しいです。
着丈が短いとお尻丸出しのツンツルテンスタイルになってしまいますし、かと言って長くしては、上着がズドーンと出過ぎてしまいます。
バランスがとても大切です。

先ほどのI様と同じですが、まずはしっかりと肩幅とバストを出すこと。

身長や体格に関わらず、ここは絶対です。
肩が薄くバストがぺたっとしているテーラードはわたしはナシだと思っています。
まぁ、いわゆるザ・ナポリなカーディガンみたいなジャケットであれば、そういうのもあるとは思いますが、わたしの中ではあればジャケットというより、ジャケットの形をしたカーディガンみたいなもの。という位置付けです。あれはあれで1着あると便利ですね。
そしてベストは身体のラインに沿わせる。
トラウザーズはヒップから裾に向かって適切なゆとりを持たせる。
そうすることで、特徴的なお身体の方も、身体のラインを強調させることなく、自然なシルエットを作り出すことができます。

N様にお渡ししたとき、ちょうどBERUNのローゲージニットが完成した直後でした。


ネイビーフランネルのトラウザーズは単品使いもできます。

バブアーとの相性もバッチリです☆
N、この度はありがとうございました!
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ツイードチェックの魅力
いつもお越しいただいておりますH様。
探究心のあるH様。英国本国のサイトから色々古着を買い集めているようです。
体験談を聞きますと、ほとんどが失敗で、良い古着を見つけるのは難しいと仰っていました。
わたくし中学生のときから古着は買い漁っておりますので、この道20年以上です。
なので、今でも失敗することもありますが、大体は想像通りか想像以上のものに出会えます。
古着でしか出会えない千載一遇を日々楽しんでおります。
古着の楽しさと、オーダーの楽しさは全く別物ですね。
古着のツイードジャケットは安価ではありますが、なかなか身体にビタッと合うものを見つけるのは大変です。
なのでわたしはツイードはオーダーをお勧めしております。
古着でジャケットを買うのはなかなか難しい。
わたしは古着で買うものは、コート、アウター類がほとんどです。
身体にあまり寄り添うものではないもの。
身体に近いものであればあるほど、オーダーの方がいいでしょう。

今回はドーメルのツイード生地を使いジャケットをお仕立ていたしました。

トラウザーズはベージュのキャバルリーツイル。

ベストはH様自ら英国から取り寄せたという、ウィリアムロッキーのカーディガンタイプのベストを合わせてコーディネートを組みました。

とても渋くて素敵です。
いつもありがとうございます!
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男は黙ってツイードスリーピース
2度目のオーダーでお越しいただきましたI様。
前回はツイードのチャールズスタイルのダブルブレストのコートでした。
今回もツイードで、しかもスリーピースです。
いえ、BERUNではブレイシーズも込みで4ピースですね。
ちなみに4ピースというのは世間共通用語ではありませんので、お使いにならないようにしてください笑

選んだ生地はわたしがLovatの本社で買い付けてきたツイード生地。

ブルーグリーンのヘリンボーン柄で、厚みがしっかりとある生地です。
ジャケットとして単品使いもできて、中にニットを合わせてツーピースでも使える。タイドアップをすればスリーピースとして使える。

ツイードのスーツは本当に便利ですねぇ。
とても素敵な着こなしでした!

I様、末永くご活用ください!
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そういえば、気がついた方、もしかしたらいらっしゃるかもしれませんが、
BERUNのルームシューズが新調されています。
前回までは12月のお渡し分でしたら、今回から1月にお渡しした方のご紹介になっております。
そうです。新年から新調したのです。
デッドストックのチャーチのものを2足ほど揃えました。
たまーにお客様から、ブログの写真、スリッパじゃなくて、靴履かせた方がいいのでは?
というお言葉もいただいていたのですが、それはもちろんそうなのですが、私の写真はサッと自然に撮っていますので、いざ靴を履いて、よし!!となりますと、なんだか硬さが出てしまいます。
その方の自然の動きを撮っておりますので、今後もこのような形でやらせていただきます。
何はともあれ、ルームシューズのクオリティが上がったので、今までより少し映えるようになったのではと思います。
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-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士
Haruto Takeuchi / 竹内大途