BERUNです。
気がつけば12月もあと11日。
年内最後の営業は29日までです。
12月は納品が続いております。
アップしきれませんが、少しずつご紹介していきたいと思います。
大人のカジュアルスタイル
いつもお越しいただいておりますT様。
ウールのカバートクロスで仕立てたサファリジャケットと、デニムでお作りしたトラウザーズを合わせたコーディネート。
中にクルーネックのニットを合わせることで、よりカジュアルな大人の休日スタイルに仕上がります。
日本ではクルーネックとタートルネックですと、タートルネックの方が圧倒的に人気があるように思います。
これは理由は私の中では明確で、タートルネックは重ね着などする必要がなく、スポッと被れば気軽にお洒落な雰囲気を出せてしまうとからです。
それと比べますと、クルーネックは中にシャツを着なくてはならないため、休日はとことんオフを楽しみたいというお方にはなかなかハードルが高いのです。
欧州で言いますと、クルーネックを着ている人の方が、責任の重い仕事をしている傾向があります。
それはやはりシャツを着るかどうかです。
休日でも襟付きのものを着るという意識のある方が、クルーネックを選びます。
休日にシャツなんて着たくないよ。と思うかもしれませんが、クルーネックの下に着るシャツは、何も仕事のシャツと同じにする必要はありません。
むしろ、もっとカジュアルで、2軍3軍くらいのシャツをインナーに使っていただきたいのです。
長年使ったリネンのチーフがグラス磨きに変わるように、モノの役割は状態により、立ち回りが変わります。
怪我をした選手が復帰する場が2軍であるように、襟が擦れてきた、黄ばみが目立ってきた。
そのようなシャツはインナー使いすることにより、またカジュアルコーディネートでの出番が表れるのです。
むしろニットの下に合わせるシャツはあまりパリッとしすぎているよりもそのくらいの方がちょうどいいのです。
そう考えますと、休日にシャツを着るのも、イヤな気持ちにならないのではないでしょうか。
わたし自身、仕事のときはサックスブルーのシャツ一択ですので、昔作った色々なカラーで作ったものや、柄が付いているものはオンの日は使う機会が少ないです。
そのような色柄もののシャツは、ニットの中に合わせております。
休日でも、襟付きのものを着て気持ちをパリッとさせるのは、律することによって磨かれる人間という生き物にとっては、とてもいいことだと思います。
サファリジャケットはカーキベージュのようなお色。
マフラーはBERUNで最近完成したニットマフラー。
見た目はがっちりしてチクチクしそうなのですが、カシミヤ素材ですので、いい意味で裏切られます。
フワッと弾力があり、カジュアルながら上品さを感じることができる仕上がりになりました。
デニムトラウザーズはBERUNの2010年からの定番アイテム。
これがあればもう5ポケットのデニムを履かなくなります。
こちらのデニムトラウザーズも、ガシガシ履き倒して、色落ちが進んでやれて来たら、ワンマイルウェアとして使い、また1軍用の綺麗なものを新調するというように買い足していくと、息を長く使い続けることができます。
T様、いつもありがとうございます!
.
カントリーツイードスタイル
いつもお越しいただいておりますS様。
今回はツイードジャケットに、キャバルリーツイルというBERUN定番コーディネート(コッテリコース)をご提案いたしました。
ジャケットはスコットランド買い付けのLovat社のツイード生地。
こちらのトラウザーズは今年かなりおすすめしました、550gmsの肉厚なキャバルリーツイル。
お色はダークグリーンで、光が当たるとじんわり緑みが強くなるようなお色です。
今までネクタイはしない!とおっしゃっていたS様でしたが、徐々に私の熱がうつってきたようで笑、ニットタイ位なら良いかも。と取り入れ始めていただいております。(嬉しいです)
やはりテーラードジャケットにシャツを着るなら、タイはした方が格好いいですね。
タイをしないなら、ニットポロにするか、今の季節であればタートルネックにするなど、シャツ以外の選択肢を考えた方が、コーディネートが引き締まります。
BERUNのオリジナルシューズも目をかけていただいております。
「こんな靴ないよね、あるといいよね」
を具現化した靴です。
履き心地が良く、品がある靴。
先日、靴職人のレコットの津久井さんと、靴を作ってくださっている職人さんと最終打ち合わせをしました。
最後に、津久井さんでしか見えない美学を数滴足して完成しました。
ぜひ多くの方に見ていただきたいです。
渋さがありながら、親父くさくはない。とてもいい塩梅です。
S様、いつもありがとうございます!
.
上下フランネルコーディネート
細身で怒り肩のS様。
細身の方で困ることが多いのが、ゆとりのある服が既成服でないこと。
細身の方に合わせた洋服は、細すぎるものが多く、ではゆとりをとなると、途端にオーバーサイズのものしか見つからないのです。
これは何度も言っていることですが、既成服で自分のジャストサイズのゆとりを見つけることは果てしない旅です。
わたし自身、この仕事につく前まで、数多の洋服を見て着ていましたが、その当時は、
「おれ最強にお洒落で、自分のこと、めちゃくちゃわかってるぜ」野郎でした。
そして21歳でこの仕事を始め、徐々に見えてきたのは、自分のこと全然わかってないし、巷にあるもので満足のいく洋服はまずないということでした。
テーラード以外の洋服でしたら、良い物はたくさんあります。
それはサイズ感とかではなく、その物の持っている世界観の方が重要だからです。
カジュアル畑ではお洒落上級者だけど、いざテーラードとなるとわからないという方は、この世界はただお洒落っぽく見せることがすべてではない、という見せ方があるからです。
S様には今回、グレンチェックのトラウザーズにネイビーフランネルのジャケットをお仕立ていたしました。
トラウザーズは今はなきEdwin woodhouse社の生地。
グレンチェックですが、色が紫やアンバーなど、複数の色が入っている素敵な柄が魅力です。
S様はニットポロのコーディネートをすっかり気に入っていただいております。
ノータイでシャツを合わせるなら、ニットポロを合わせた方が洒落た雰囲気になります。
上着はネイビーフランネルのジャケット。
シンプルだからこそ、良いもので間違いない仕立てでお作りしたいです。
S様、いつもありがとうございます!!
.
ネイビー&グレージャケットスタイル
いつも来ていただいておりますT様。
スーツスタイルのご提案が続き、今回はジャケットスタイルをお作りいたしました。
ジャケット2着と、トラウザーズ2着、オッドベスト1着。
これらをすべて交互に全てに合わせられるように組み立てました。
ジャケット&トラウザーズスタイルは、スーツよりも考える工数がかなり増えます。
・色合い
・柄
・素材
・サイズ感
・フォーマル度(カジュアル度)
これらの要素をすべて加味して上下合わせられるものを考えるのです。
このポイントを押さえられなければどうなるのか。
そのジャケパンスタイルは、”オシャレ”という世界より上にはいけなくなります。
例えば、
①ネイビージャケットにグレーのスラックス。おっシンプルでいいじゃん。どちらも素材はウール。グッドグッド。だけど、上はタイトフィットで、下はオーバーサイズ。
(サイズ感が🙅✖️)
②色柄、サイズ感はok。だけど、上質なカシミヤのジャケットに、下はドローコード付きのスウェット素材のスラックス。えっでも、これハイブランドのもので、生地めちゃくちゃ良くて、一本10万したんだよ!
(言い訳無用でフォーマル度が🙅✖️)
③色、サイズ完璧。だけど、ヘリンボーン柄のジャケットに、ブラックウォッチのスラックスを合わせている。
(完全になしではないが、難しい。この場合、柄合わせが✖️)
なんとなく想像できましたでしょうか。
これらは決してNGというわけではないのですが、オシャレを楽しんでいるという世界から抜け出すことができません。
オシャレに見せるのは結構簡単で、それっぽく魔法をかけて雰囲気よく見せる方法はいくらでもあります。
ですが、オシャレの先にあるのがスタイルです。(これはあくまでわたしの考え方です)
スタイルという世界にいくためには、上の5つの要素をしっかり押さえておく必要があります。
前置きが長くなりましたが、今回お作りしたものはどれもとてもシンプルながら、すべて自由に合わせられるコーディネートになりました。
ネイビーのギンガムチェックのジャケットは、H Lesser & Sons.がCarlo Barberaに別注をした珍しい生地。
240〜260gmsという軽い目付けの生地ですが、軽く起毛しているため通年使える表情があります。
オッドベストはベージュのピンチェック。
オッドベストはシンプルなものが一つあれば、何でも合わせることができます。
合わせたトラウザーズは、はいはいまた出ましたよ、550gmsのネイビーグレーのキャバルリーツイル。
上と下の生地の目付けが倍近く離れていますが、色柄、サイズ感をしっかりと合わせているため、違和感がありません。
そもそも下は傷みやすいので丈夫である必要があります。下を重くすることは、理にかなった考え方なのです。
ブルーのジャケットにグレーのトラウザーズ。永遠の定番です。
もう1着の上着はミディアムグレーにブルーのウインドウペーンが入った生地。こちらはセミヴィンテージの伊Carlo Barberaのもの。
「えっBERUN、英国推しじゃないの?イタリアもんも扱うのー?」
「いや、わたくし、良いと思ったものは国問わずに扱います!(一人芝居)」
全てを受け入れる。それがその人の奥行きになるのだと思います。
わたしは◯◯しか認めない!と言った時点で、その人の底が見えてしまいます。
カルロバルバラのこちらの生地は、触ったときに生地が沈む感覚で、糸のクオリティの高さを感じられるものです。
グレージャケットにネイビートラウザーズ。
とても合います。
そしてトラウザーズを替えてみましょう。
グレーonグレー。
合いますね。
色のトーンを少し変えることで、同じ色の上下のコーディネートでもしっかり成立させることができます。
グレージャケットは少し難しいですが、合わせ方を間違えなければとても格好よいコーディネートが完成します。
T様、たくさんコーディネートを楽しんでください!!
手織りハリスツイードのジャケット
昨シーズンコートをお仕立てさせていただき、今回はツイードジャケットをご注文いただきました、I様。
トラウザーズは少し遅れておりましたので、先にジャケットのみのお渡しとなりました。
選んだ生地はわたしがハリス島で見つけてきた手織りのハリスツイードの生地。
生地だけで見ると、、、
と想像がつかないような色ですが、わたしの中では完璧にイメージができておりましたので、バンジーの背中を押す役割を担い、”押すすめ”させていただきました。
ピンクベースにグレーとブラウンのチェック柄のような色合い。
これはなかなか一見すると難しいと感じるかもしれませんが、I様のイメージにピッタリ合いました。
手織りのツイードは機械織よりも柔らかく、フワッとした質感があります。
硬く詰まったというより、立体感がある風合い。
それが手織りの良さです。
グレーとブラウンが入っているため、トラウザーズの色選びに困ることはありません。
一見すると難しく見える色柄ですが、意外と何にでも合わせられる、そんな懐の深さがある。
このようなジャケットこそ、次の代へ渡していきたいですね。
最近立て続けに、おじいちゃんおばあちゃんの遺品整理で出てきた洋服の中で仕立てのいいコートがあったからもらってきた。
という話を聞きました。
きっと、おじいちゃんの魂はお空の上でニコニコしてるんだろうなぁと思います。
わたしも一族総出で追い剥ぎにあうのが夢ですヨ笑
その夢のためにも、今格好いいなんていうものより、未来永劫格好良さが変わらないものを揃えていく方がワクワクしますから。
BERUNで作る洋服はそんな思いで作っております。
I様、この度はありがとうございました!
年内、あと一回はブログ書きたいですね。
駄文にお付き合いいただきましていつもありがとうございます。
.
.
.
-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士
Haruto Takeuchi / 竹内大途