洋装士という生き方

BERUNです。
あけましておめでとうございます!
今年もよろしくお願いいたします。

年始からありがたいことに公私共に忙しくさせていただいておりまして、なかなかブログを書く時間がありませんでした。
今年はインプットをより強化していこうと思っておりまして、本や映画を観る時間を増やしていくつもりです。

昨年末はフィッターという働き方について書きましたが、詰まるところわたしがやっている仕事は、わたしが勝手に作った肩書きである”洋装士”に他ならないと思っております。

このオーダースーツという業界は資格がないため、ありとあらゆる肩書きの人がいます。
ファッションコンサルタント、スーツコンサルタント、、etc..
わたしが21,2歳のとき、自分のこれからの仕事に見合った肩書きはないものかと考えていました。

わたしの仕事は、デザイナーでもない。スタイリストでもない。そしてテーラーでもない。
もはや世間一般で言える肩書きと呼べるものはないのではないかと思ったのです。

そのとき、”洋装”についてはプロフェッショナルである。
“洋装”についてはなんでもアドバイスをしてほしい。
そういう仕事の仕方が理想だと落ち着きました。
そうなれば、デザイナー、スタイリスト、テーラー、それら全ての仕事を理解して、咀嚼する必要があります。

そして1から10にする仕事。それはフィッターという肩書きだけでは二次元的だろう。
そういうことで、洋装士と名付けました。

なんか格好いいようなことを言ってますが、その当時、たくさんの方に会っており、
「士業って格好いいなぁ〜」
とふわふわ感じただけの若造です。笑

そんなこんなで首の皮一枚で繋がり続けてもうすぐ15周年になろうとしています。
格好いい憧れの大人像はありますが、そんなのは夢のまた夢で、きっとおそらく一生、
「これ格好いいですねぇ~!」
「これ素敵〜!」
「めちゃくちゃいいなぁ〜!」
とか言い続けて人生終わるんでしょう。笑

そんな予感がしています。

そんな理想の大人になりたいけどなれないボーイの竹内を、今年もよろしくお願いいたします。

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カバートクロスバルマカーンコート

11月末にお渡ししたコート、H様にお作りしたのは肉厚なカバートクロスの生地で仕立てたバルマカーンコート(ラグランコート)。

チェスターフィールドコートの直線的なシルエットはそれは格好いいですが、このバルマカーンの大人の余裕を感じるコートもとても素敵です。

着丈もたっぷり長くとり、ガバッと羽織るように着るのが粋。

個人的にバルマカーンは襟を立てて着るのが好みです。
襟を立てることで、Aラインであるバルマカーンコートのシルエットに縦の線が生まれます。
フワッとしたラインから、キリッと引き締まるイメージに変わります。

H様、ぜひガシガシ着倒してください!

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アーマースーツ

いつもお越しいただいておりますO様。
以前Porter & Hardingの生地でツイードの5ピースをお作りさせていただきましたが、今回はツイードスーツの続編です。

右が以前お作りしたもの。左が今回お作りしたものです。
一見明るい色味のため、軽そうに見えますが、実際はLovat社の極厚なヘビーツイード。
バッキバキに硬いツイードです。

このトラウザーズの縦の落ち方を見ていただけたら感じていただけると思います。

上着を着てもこの通り。もう主人に迎合しないことしないこと。笑
こいつを手なづけるのは、グレゴリーペック主演の大いなる西武のじゃじゃ馬くらい時間がかかるでしょう。

ですが、だからこそ長い付き合いになると思います。

この太いシワ、たまらないです。

手懐けた先に、最高のパートナーという関係が待っています。

O様、長い年月かけて、じっくり変化を愉しんでください!

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ウールカシミヤジャケット

初めてお越しいただきましたS様。
Fox Brothersの一昔前のウールカシミヤの生地をご提案いたしました。


ライトグレーベースに、スカイブルーとブラウンの千鳥格子柄。
生地だけで見てみると少し派手かな?と思うような柄ですが、いざ仕上がってみると、そんなことはなく、とても上質で上品なジャケットに仕上がります。

色や柄だけで毛嫌いするのではなく、生地の上質さによってそれらを超越することもあるのが、生地選びの面白いところです。

グレー、ブルーとブラウン、3色入っているため、トラウザーズ選びは困りません。
今回はネイビーのトラウザーズを合わせました。

ジャケット自体は軽めな生地のため、コットントラウザーズを合わせれば、春と秋でも使うことができます。

先ほどご紹介したような、冬と言う1つの季節に特化したストイックな生地もとってもとっても魅力的ですが、合わせ方によってはスリーシーズン使うことができる生地感のものもとても便利ですので、シチュエーションに合わせて揃え方を考えてみるのも楽しいと思います。

BERUNのロングニットポロに合わせてみましたが、程よいカジュアル感が出てとても素敵です。

S様、ぜひたくさんご活用下さいませ!

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ツイードジャケット&ツイードコート

いつもお越しいただいておりますU様。
今回はツイードジャケットと、ツイードのコートをお仕立ていたしました。
トラウザーズもご注文いただいていたのですが、こちらの都合によりお渡しするのが少し遅れてしまい、今回はジャケットとコートのみのお写真となりました。

8月のスコットランド詣ででかなりの量のツイード生地を仕込むことができまして、それにより、その人に合わせたツイードの色柄を的確にご提案することができるようになりました。


今回選んだこちらの生地はグリーンベースのツイードに、濃淡の違う2色のパープルのウインドウペーンが入った、良い意味で人を選ぶ色柄。
このような色柄は過去の経験ももちろんですが、ひらめきとインスピレーションが1番大事です。
お客様を見て、お話をしていく中で、その方の雰囲気、人柄、あらゆるものを汲んだ上で「コレだ!」
というものを発見して、そしてなぜそれがその方にとっていいと思うかをしっかりとお伝えする。
これが押し付けになってしまってはいけません。
プロは完成度が100%イメージできているのが当たり前で、それが間違いなくその方にとってとても良いものだという仕上がり像がイメージできているので、その想像を出来る限り共有します。
その共有が終わり、共感へと繋がったら、
「後は信じてください」
です。

今まで15年この仕事をしてきておりますが、この想像が大きく外れた事はあまりありません。

お客様には完成までは、少しのワクワクと、いくばくかの不安を抱えてお待ちいただき、そして納品となるわけです。

今回お渡ししたこちらのツイードジャケットも、U様の雰囲気にとても似合っておりました!

合わせてお作りしたツイードのチェスターフィールドコートは、Taylor & Lodge社のもの。
ブルーのヘリンボーン柄で、あまりクラシックすぎず、程よくスポーティーな雰囲気を感じましたので、いつも私がお作りしている着丈よりも短めのカジュアルな形でお作りしました。
U様には以前キャメルカラーのカシミヤ100%のチェスターフィールドコートをお作りしておりまして、そちらは思いっきりクラシックなロングだけでお作りしているため、素材と丈感が変わることで、着分けすることができるようになります。

このようなほどよくカジュアルな色柄のチェスターフィールドコートというものがあると、オンオフどちらでも使うことができるので、コーディネートが格段に広がります。

U様、どちらもタフな生地ですので、ぜひ貸しお使いください!

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高身長の方が着るチェスターフィールドコート

初めてお越しいただきましたI様。
細身で身長が高く、なかなか合うコートがないということで、コートををお作りさせていただきました。

細身で身長が高いという方は、オーダーでも(オーダーこそ)サイズ感を合わせるのはかなりのフィッティング技術が必要で、危ない橋を渡らないため、細身で着丈を短めにすると言うサイズ合わせになってしまうことが多いです。
この辺については、同じような体格の方でスーツのフィッティングをした際にご説明をできればと思っております。

スーツもですが、コートも意外と難しいです。
まず、身長の高い方はコートの着丈を短くしない方が良いでしょう。
短くしてしまうと、寸足らずに見えてしまい、コート本来の美しさが損われてしまうからです。

今回ご提案したものはFox Brothers社の肉厚なウール地。
メルトンのような目の詰まった生地感ですが、上質なウールの質感も感じることができる、非常にバランスの良い生地でした。
上質なミリタリー生地とでも言いましょうか。
こういう良い生地にまた次のシーズン出会えるように、常にアンテナを張っておきたいです。

とても素敵に着こなしていただき、ありがとうございました!

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クラシックダブルスーツ

海外からお越しのY様。
ダブルブレストのクラシカルなスーツが欲しいとのことで、私が選んだのは、ドーメルの別注生地、グレーヘリンボーンのフランネル。


こちらの生地でダブルブレストのスリーピーススーツをお仕立ていたしました。
フランネルですが、あまり起毛感がない、マットの質感の生地。

身長は高くは無いのですが、肩幅とバストが大きく、ウェストが絞られている、筋肉質なY様。

このような方のフィッティングで決してやってはいけないのは、びちびちに細身に仕上げること。
体が一部分でも大きく盛り上がっている方であれば、そこをベースにサイズ感を考えていく必要があります。
身長が低い方であれば細身にしたほうがいい。と言うような解釈は間違いです。

Y様が着てこられたシャツの袖が少し長かったので、少し袖が落ち気味ですが、全体のバランスはほどよくゆとりがあり、ほどよくシェイプが効いていて、無駄がないフィッティングだと思います。

サイジングで必要以上に何かを強調する必要はありません。
ただ、体に沿っているというだけで、本当に良い洋服は魅力的に見えるものなのです。

Y様、ぜひたくさんご着用ください。

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グレーホームスパンスーツ

初めてお越しいただきました、N様。

ドーメルのVintage Sportexのグレーにホームスパン柄が入った生地で4ピーススーツをお仕立ていたしました。。
ツイードになる手前のスーツ生地、というとてもいい塩梅の生地です。

遠くから見ると普通のグレースーツ。近くで見るとホームスパンの柄が見えてくる。カジュアルすぎず、でも普通のスーツと少し違う、玄人好みの生地です。

BERUNではほぼ確実に起こる出来事なのですが、フィッティングルームからトラウザーズを履いた状態で出てこられる際、言葉では言えないけど、「これ、ズボンデカくないか。。?」という雰囲気を感じます。
不安に感じていると思いますが、エイッとトラウザーズを上げて、ブレイシーズを装着すると、
「おおーっここまで上がるんですね」(でもまだ少し不安)←見慣れないから

そしてそのまま、ウェストコート(ベスト)を着ていただきます。
この辺りから、少し期待が見えてきます。

そして上着を着ていただくと、このトラウザーズのゆとりに合点がいくのです。

BERUNでお作りしているフィッティングは、既製服ではまず感じることがないサイズ感です。
そのため、慣れるまでに少しばかし時間がかかります。
ですが、一度慣れていただけたら、とても快適で自然体でいいシルエットだと感じていただけます。

N様、遠いところからわざわざお越しいただきまして、ありがとうございました!

まだまだ、ご紹介しきれないほどたくさんの仕上がりがあります。
少しずつ、書き上げていきたいと思います。

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-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士

Haruto Takeuchi / 竹内大途

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