夏の終わりのハーモニー

BERUNです。

昔話を聞くと、真夏でもツイードを着て、それがオシャレだと意気込んでいる方がいたそうですが、それはオシャレとは違うのではないか。。と私は思います。

今この時期に、アパレル業界の方ではすでにツイードを着ている方もいるとかいないとか。。

それは周りへの配慮を考えていない、独りよがりのオシャレ自己満足だと、私は思います。

私はまだリネンを愛用します。

日本の季節は四季ではなく、もう少し細かく分けると二十四節気。もっと細分化することもできます。

それだけ季節の移ろいを楽しめる、いえ、楽しんでいた民族なのです。

西洋人が勝手に作った、春夏、秋冬という2つに分けてしまうのはとても勿体無いです。

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夏の終わりにモヘアリネン

おそらく今季最後の夏物の納品のなると思います。
いつもお越しいただいておりますG様。

夏の間フランスに行かれていて、エスプリの空気を身にまとった状態でのお渡しでした。

お作りしたのは、私も持っている、そしてBERUNでもネクタイを作っている、水色のモヘアリネンのジャケット&ベスト。

トラウザーズはホワイトリネンのトラウザーズ。

この組み合わせ、夏すぎます。

これを着て30度超えの気候で汗をかきながら過ごしたい。

最近の夏はとても暑いですが、では昔の紳士は夏だからとゆるりとした服装を着ていたのか。

旧華麗なるギャツビーを思い出していただきたいですが、トム・ブキャナン(ブルース・ダーン)とギャツビー(ロバートレッドフォード、たくさんの素晴らしい作品をありがとうございました。ご冥福を祈ります)が暑い日にエアコンもなく、汗をダラダラ流しながら過ごしているシーン。

汗をかくという行為は何を着ていても起こります。

では美しく汗をかこうじゃないか。

というのが紳士道の行く道です。

ですが、最初に書いたように、季節を度外視するというのとは異なります。

しっかりと季節のものを楽しみながら、美しさは忘れない、というのが紳士のセオリーです。

今回のこちらのお洋服も、気持ちよく汗をかきたくなる。

そんなお洋服でした。

G様、いつもありがとうございます!

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靴ありきで選ぶ服

前回はスーツをお作りいたしまして、今回はジャケットスタイルでご注文をいただきました、S様。

前回同様、最初に靴を見せていただきまして、この靴に合う上物が欲しいというご要望でした。

こういうご依頼はなかなかないですが、ワクワクする内容ですので、楽しんでやらせていただきました。

靴はベージュと白のコンビシューズ。

カントリーすぎず、程よく洒落た雰囲気もあり、S様にぴったりのイメージです。

私が選んだのは、ブラウンベースのアースカラーコーディネート。

ジャケットは英Marling & Evansの茶の千鳥格子。

こちらの生地、一見シンプルなブラウンに見えるのですが、よく見ると何色も色が入っている、とても魅力的な生地です。

色がたくさん入っているということは、それだけ色を拾えるので、合わせる選択肢が増えるということ。

トラウザーズはオフホワイトのウール。

下に明るいトラウザーズを持ってくることは私は多くやるのですが、ベージュ系ですとコットン素材を選ぶことが多いです。

色味は同じでも、素材がコットンとウールでは見た目の雰囲気がかなり変わります。

コットンですと、上品さの中にカジュアルさがあるというイメージですが、明るいウールは上品なトラウザーズになります。

少しカジュアルさがあるブラウンの千鳥格子に、上品なオフホワイトのトラウザーズ。そこに合わせるのは今回のテーマであるコンビシューズ。

とても綺麗に収まりました。

今回、タッターソールのシャツも合わせてお作りさせていただきました。

細かな千鳥格子のジャケットと、大柄なタッターソールとの相性がとてもいいです。

S様には前回、ダークネイビーのダブルブレステッドのスーツをお作りいたしておりますが、そちらのスーツの中にタッターソールのシャツを合わせるというコーディネートも、なかなか洒落た着こなしで素敵です。

中にニットポロを合わせたスタイル。カジュアルさが出て、とてもいい雰囲気です。

S様、いつもありがとうございます!

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語り継がれる生地

BERUNにはたくさんの生地がありますが、その中でも、売るつもりのない生地(笑)というコーナーがあります。

もちろん、欲しい!と言っていただけたら「No」とは言いませんが、とても希少なもののため、私の方からお薦めすることはないというような生地です。

ヴィンテージで、ロストテクノロジーで、生地のコンディションがすこぶるいい。そして柄も今の時代にマッチする。という様々な要因が重なっている生地です。

いつもお越しいただいておりますO様。今回はそんな特別な生地でジャケットをお仕立ていたしました。

80年代のHolland & SherryのLumb’s Golden baleの4PLYという、良すぎる要素が目白押しの生地。

BERUNでもこちらの生地はブルー、グレー、ブラウンと3色を発掘しましたが、それぞれ2着ずつほどなので、BERUNの生地棚の一番高いところ(神棚)に鎮座しております。笑

O様にお作りしたこちらは、ブルーで、ヘリンボーンのラインがとても特徴的なもの。

単調なヘリンボーンではないところがとても面白みがあります。

今の時代では作らない柄だろうけど、決して古臭くは見えない。

ボタンホールの作業がまだでしたが、ご試着いただきました。

とても素敵なジャケットを作らせていただきまして、ありがとうございます。

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ギリギリ民間服、もう一歩で軍用です

今年の春に初めてお越しいただきましたS様。今までご自身でたくさんのスーツを頼んでこられたS様は、ご自身のスタイルをお持ちの方でした。

最初にお作りさせていただいたのは、ドネガルツイードの3ピーススーツ(BERUNではブレイシーズ付きで4ピースがデフォルトです)。

そして今回は、コートが欲しいとのことでしたが、どうせなら、今持っているようなラインナップのものではない、レベルの違うものを着ていただいた方が面白みがあると思い、こんな生地をご提案しました。

900gmsの極厚なキャバルリーツイル。

極地で活躍するレベルの生地。

英国から届いた生地なのですが、こちらの生地はかさばりすぎるため、店には置いておらず、私の自宅近くのアジト(笑)に置いてありました。

なので、現物をお見せできない状態で、ただすごい生地です。とお伝えし、作らせていただくことになりました。

こうして信じていただけると、こちらも嬉しくなるものです。

間違いないものを作る自信はありますので。

お色はグレーとベージュの間のグレージュなのですが、その2色だけではない、様々な色が入っています。

900gmsのキャバルリーツイルと聞けば、ジャイアンみたいな生地なのかな。。と思ってしまいますが、意外と色味は上品で、華のある、とてもバランスのとれた生地です。

形はアルスターコートでお仕立ていたしました。

小柄なS様に900gmsの襟の大きなアルスターをお作りするというのもなかなか手強い相手を送り出したことになりますが、何年もご自身のスタイルでテーラードを楽しまれてきたS様ですので、全く着負けすることなく、着こなしていただきました。

この肘のシワの太さを見ていただけたら、どれだけ最強な生地なのかはお分かりいただけると思います。

まぁ、今着負けしていないと思っていても20年後くらいに写真を見返すと、着られてるなぁと思うものです。

なので、飽きずに長く楽しめるというわけです。

もちろんこのクオリティでしたら一生物です。

一生物という言葉はあまり使いたくありませんが、このレベルの生地でしたら、むしろ一生で足りるのだろうか。と思うレベルです。

そんな洋服ばかりでは肩が凝って仕方がありませんが、いくつかあると楽しめますね。

S様、この度はありがとうございました!

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-Atelier BERUN-
東京表参道の仕立て屋 / 洋装士

Haruto Takeuchi / 竹内大途

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