BERUNです。
先日、お客様が4年ほど前に作った靴を持ってこられました。
「いくら磨いても、表面のぼこぼこが取れない。それと、雨が降ると次の日靴の周りが白くなる」
ということでした。
お分かりの方もいるかと思いますが、こういった現象は、何度も雨に降られ、適格なケアをできずにいるとでてきてしまうものです。
革の中にある汚れや、汗の油が雨の水分で反応し、表面に出てきてしまいます。
そのため、いくら靴クリームで革の表面からケアをしても、根本的な解決にはならないのです。
これは個人差がありますが、足の汗を多くかく方や、営業の方など、一日中歩き回る方がなりやすいです。
こういった状況になりましたら、わたしはお客様には”ウォータークリーニング”をおススメしています。
真水に専用の液体を混ぜ合わせ、洗浄後は独自の乾燥技術で、革に大きな負担をかけることなく靴を丸洗いできるサービスです。
嬉し悲しきことですが、わたしは一足の靴をそこまで履き続けることがないため、このサービスを自身の靴で試したことはないのですが、お客様のものをやるたびに、よみがえった!という感想があります。
この靴を見る限り、表面のぼこぼこが目立ち、経年変化ではなく、経年劣化と言われても致し方無い状況かと思います。
つま先にヴィンテージスチールを入れ、ハーフラバーソールを併用している、歩き仕事の方にとって”最強の組み合わせ”です。
しかし写真の通り、ラバーの糊が剥がれてきてしまっています。
かなり履き馴染みが出てきましたので、ここでスチールの役目は終わりにしましょう。
新しいラバーに張り替える段階で外します。
色々な考えをお持ちの方がいますが、わたしのスチールの考え方は、履きおろしから履き馴染みが出るまでに、つま先の削れを防ぐ(だけの)ものと思っています。
見た目ももちろんカッコいいですし、こだわっている雰囲気もありますが、観賞用のものではありません。スチールを付ける際には、ネジで底に穴を開けます。
元々のネジ穴が開いてしまっているため、もう一度スチールを付けようと思いましたら、一工夫をしなければなりません。
そういった理由を踏まえ、わたしはスチールの削れかハーフラバーの交換の際には、スチールサヨウナラ!とするわけです。
話が脱線しましたが、今回ウォータークリーニングを終えた靴の仕上がりがこちらです。
表面のぼこぼこはなくなりました。しかし長年履いたアジは残る。いい仕上がりだと思います。
ハーフラバーとヒールを交換してもらい、新たな靴に生まれ変わりました。
東京ではオレンジヒール(渋谷・日本橋)にてウォータークリーニングサービスを受け付けています。
大切な一足をもっと長く履きたいとお考えでしたら、一つ方法としてはありかと思います。
先週はバーガンディの靴の仕上がりが続きました。
<Full Brogue Single Monk Strap>
<Chukka Boots>
<Double Monk Strap>
ワインレッドとダークブラウンの中間とでもいいましょうか。とても品のある、美しい色合いです。
トラディショナルの世界に初めて足を踏み入れた方でも、一朝一夕で悠然と着こなしている様に見えます。とても便利な一足になることでしょう。
最後に、ただ今オリジナルボウタイの試作中です。
こちらは第一弾。フリーハンドにて紙に一本線で描き、その通りに職方さんに作っていただきました。
何より探し続けたのは素材です。
こちらはCotton / Silk。
光沢が強すぎず、マットな素材感です。
そもそも今の時代、ボウタイというアイテムですでに相当な”攻め”の姿勢になります。
そこから更にSilk100%の光沢が強いものというのもありですが、素材は少し控えめにするという発想が、今の時代にはいいかと思いました。
華やかさの中に素朴さもある、人間味のある一本です。
こちらはまだ試作段階です。
本製作まで、もう少し修正を加えて作り替えていきます。
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