BERUNです。
スプリングコートというアイテムは、もはや日本では着る時期がないのかもしれない。そう思わざるをえないような季節の変わり方です。
ツイード納品されたの、つい最近ですよね?なんて声が耳に届きます。数年前まではまだツイードは、4月の上旬は着られていたはずなのですが、もう麻に手を伸ばしたくなるような気候です。安心してください。麻もいいものがたっぷりと揃っております。わたしも春に向けて仕込んでおります。
お客様の好みや雰囲気に合わせて、行けるところまで行く。というのがBESPOKEの愉しさ。
靴や洋服など、業界の人を凌駕するほどの量と質をもったH氏。
1着目はグリーンのチェック、ハリスツイードの3ピース。
2着目のこちらは、グレンチェックの色の中に茶と紫が入った、独特な雰囲気を醸し出すEdwin Woodhouse社のグレンチェック柄。裏地は表地の紫を拾い、パープルのペイズリー柄で締めました。
こういった組み合わせは、慣れない方には決して提案しません。映画を見た、または好きな俳優が着ていたから、というような理由で、こういうスタイルの洋服を作りたくはないのです。
そういった理由であれば、その人のスタイルには決して投影されません。借り物の衣装になってしまいます。
貸衣裳にならぬよう、その人のスタイルを確立する洋服を、共に創作していくのが愉しいところです。
サイズ感もいい雰囲気です。
トラウザーズはわたりから裾までたっぷりと余裕をもって作ったワイドシルエット(裾にかけて若干テーパードをかけています)で、深い股上でウェストコートの丈を短く作っています。このシルエットはブレイシーズで吊らなくては作り出せません。ウェストコートがぴったりとジャストサイズのため、メリハリがついて既製品にはない上品な仕上がりになります。BERUNのフィッティングもここ半年ほどでまた大きく変化しています。いかに美しく、男性的に魅せるかを日々探求しています。スーツだからこそできる表現方法があります。
朝夕は着られる!という最後の愉しみをもって、まだツイードを手にかけて来られる方もいらっしゃいます。
こちらは4年前に作ったW Bill社のヴィンテージツイード。久しぶりに触ると、あまりの触り心地の変わりようにびっくりしました。
仕立てた当初はこいのぼりができるほどの堅いツイードでしたが、「冬はほぼ毎日着ています」という着用頻度が影響して、とても柔らかくなっており、素晴らしい経年変化を見させてもらうことができました。
ボタンが取れたとのことで交換しました。初めに着けていたものが黒のナット釦だったのですが、あいにく同色同サイズのものがなく、濃紺のナット釦をお付けしました。本人にもわからないくらいの違いですが、こうした茶目っ気も持ちながら、直して紡いでいくのが洋服の楽しみ方の一つだと思います。
年始から話を進めていた、ビスポークシューズのアッパーモデルのサンプルが仕上がってきました。
箱からオリジナルで作成しました。限りなく生成に近い、ややピンクベージュがかった色にゴールドの型押しロゴを押してあります。
バーガンディのウイングチップ。なんにでも合わせられるスタイルですが、意外と巷では見かけません。
完成して履いてみた印象は、グッドイヤーとは思えないほど軽い!
見えない副資材にまでこだわった逸品です。
こちらに至っては、見て実際に履いていただかなくては良さを伝え切れません。
綺麗な靴と鞄を持てば、ついつい遠くまで出かけたくなってしまいます。
春は出会いと別れの季節。しばしの別れを告げる冬服にたっぷりと感謝をしましょう。そして、久しぶりに出会う春夏物の洋服たちを、思いっきり歓迎しましょう。
Atelier BERUN
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