夏をスーツで愉しむ

BERUNです。

わたしが以前、夜まで作業をしていたときに偶然立ち寄っていただいたY様。
その後、スーツを仕立てさせていただくことになりました。

IMG_4790

今まで百貨店などで安価なパターンオーダーはしたことはあるものの、本格的なものは初めてとのことでした。
ドライバーという仕事のY様。運転中も上着を着用するため、シワになりづらく、かつ通気性のよい生地を選択しました。

IMG_4789
季節問わず着られる方がいいとのことでしたので、wool100%の290gmsの、通年着用可能な英Edwin Woodhouse社の春夏向けの生地を使用しました。
ネイビーの上に同色のウインドーペーンが施された柄。初めての柄物として使いやすいです。
運転中は腕が前に出ているため、袖の丈は通常よりも少しだけ長めに作ってあります。腕を伸ばしたときに、シャツの出る長さが自然であるように。
BERUNではあまり多くない注文ですが、ご要望があり、こちらは2パンツでお作りしております。
そして、せっかく2本作るので、それぞれ違った着方をできるようにいたしました。

IMG_4792

1本はクラシックなベルトレス、サイドアジャスター付きのリバースプリーツ。裾はダブルで仕上げました。

IMG_4801

もう1本はベルト仕様でアウトタック、裾はシングル仕上げです。
こうやってそれぞれ異なる仕様にすることで、ただスラックスが2本あるだけでなく、着る楽しみが増します。
また、自分の好みがより分かるようになり、これからのスーツ作りにもとても参考になります。
スーツは自分の身体をより良く見せることもできますが、よりわるく見せてしまうこともできてしまいます。すべてはサイジングが要です。

 

IMG_4891

 

こちらはアイリッシュリネンの王様、SPENCE BRYSONのリネン100%で作ったスーツです。全体写真がなくてすみません。
はじめはジャケットのみで考えられていましたが、どうせだったらセットアップの方がいいよね!となり、上下作ることとなりました。リネンのセットアップは別々で着てもよし、セットアップはなおよしととてもおしゃれで使い勝手のよいアイテムです。
製作の前にたっぷりと水を含ませ、アイロンで生地の歪みを整えることで、仕上がり後の伸縮を防ぎます。
生地の風合いによってはやらない方がいいものもありますが、植物系の素材であれば必要な工程です。

IMG_4892

フラワーホールは手縫いです。

IMG_4894
釦はお客様からの希望で、通常の黒蝶貝ではなく、少しマットな印象のある貝釦を使用しました。
写真ではわかりづらいですが、こちらは通常の黒蝶貝よりも高価な釦です。シックな光沢感があり、素晴らしくジャケットを引き立ててくれています。

濃色のリネンは色抜けがあるため、しばらく着ておりますと、可動域の多いところから白く退色していきます。
それはデニムの色落ちとは少し見え方が違います。一見すると、もうそれ寿命ではないか?とも見えなくもないです。
ですが、そういうクタクタに着倒したリネンのセットアップを、格好良く着こなせるようになる男性はとても魅力的だと思います。

IMG_4899

IMG_4903

H様はこれを着て、ロンドンへと旅立っていきました。

アイルランドで作られた生地が日本でスーツとなり、隣国イギリスへ帰る。
素敵な話です。

 


Atelier BERUN

東京都新宿区神楽坂6-8-23

http://berun.jp/
Facebook
◆Tel : 03-3235-2225

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です