BERUNです。
11月はあまりブログを更新できませんでした。
毎週月曜日に更新すると言っていたはずなのですが、、
2018年は人とのつながりをより強く感じた年でした。
2010年の創業当時からお付き合いのある方ともつながっていますし、今年初めて会った方も、人生にかかわるような関係をつくれた方々もいます。本当に人生は人でつくられるというのを実感しています。
菊野昌宏氏
先日、わたしのお客様でもある独立時計士の菊野昌宏氏に久しぶりに会いに、仲間たちとご自宅兼作業場の千葉まで行ってきました。
日本に2人しかいない、そして世界には30人しかいない稀有な職業です。目視では確認できない程の極小のねじから手作り、すべての工程を1人で行う究極の職人です。
このとき一緒に向かったのは、白Tが一番の正装である鞄職人のKeiichiro氏と、おそらく日本で一番文学派の保険マンである小林さん、そして述べ20万人以上の教え子をもつ英語講師の西先生。
西先生のブレゲのブレスレットを調整している菊野さん。
ねじから作る時点ですでに驚愕だったのですが、板金加工もご自身でやられているというのには凄すぎて言葉がでてきませんでした。時計一本を作るだけでどれほどの知識量が必要なのか、はかり知れません。
江戸時代に日本人が作っていた和時計を現代に起こすという信念をもっておられるピュアな方です。
こちらは江戸時代の上流階級で使われていた印籠型の懐中時計を元に菊野さんが作ったものです。時計のブレスを外し、この専用の印籠にはめ込むことでこのような顔になります。菊野さんは今後、付け替え式ではない、完全に印籠型の時計を作りたいと話していました。
彼と話をしていてとても感銘を受けたのが、ハンドメイドにこだわる理由という話をしていたときです。
わたしの仕事や、福島さんの鞄作りでは、手で作るという価値がモノづくりにクオリティとして反映されます。鞄でいうと、ミシンでは縫い込めないところまで力をかけて縫うことができる。そして、ミシンの場合では一部分のミシン糸がほどけたら次々とほどけていってしまうが、手でしか縫えない縫い方によって、そういった問題を起こさないようにできる。
スーツでいうと人が縫うことによって出せる着心地や柔らかさ、ミシンでは出せない立体感(主にイタリア系のスタイルに見られる)を出すことができる。耐久性を出すところと柔軟性を持たせるところの緩急をつけることができる。
しかし時計の話となると、もう現代では、人が作るメリットは技術の面では(ほぼ)ないそうです。機械がやった方が精密である、そして早い。その時代にわざわざ手で作るこだわりを、少し前までは質問されても明快に答えられなかった、と正直に話してくれました。
行き着いた答えとしては、とてもシンプルで、人が作ったというストーリーが何よりも大切。機械でできることを人が作る。この時代にそこにこだわるという時代錯誤な考えかもしれません。わたしが書くとなにか安っぽく聞こえてしまうが、彼の口から出た言葉はとても芯があって、人の心をとらえました。
今はオーダーが3年待ちだそうですが、それ以降の注文は受け付けていないそうです。それは、彼が注文の品物に追われることで、更なる発展に向けて新作を作る時間や余裕がなくなってしまうことを避ける。そして、注文待ちに甘えることなく、後ろの扉を閉めて時計作りに励みたいという職人の姿勢でした。身が引き締まる思いです。
2年前に彼と最後に会ったときとはまた濃縮され、人間的深みがでていました。
浅葉裕文氏
初めての出会いは先月の16日、わたしが10年以上愛用しているブランドHaver Sackの店内でジャズライブがあるとのことで行ってきました。仲間たちと出かけ、そのときの演者が浅葉裕文さんでした。
1950年代のジャズをベースに、即興で繰り広げられる演奏は素晴らしい時間でした。
学生の時、狂ったようにパンクバンドをやっていたわたしですが、大人になった今はジャズをやりたいと常々思っています。
演奏終了後、会話をしているとなんと同世代で、聴いていた音楽も同じところを通っていました。
先日BERUNにて。すっかり意気投合して、来年の2月に行う予定のBERUNのパーティで演奏していただくことになりました。今から楽しみです。
気が付けば来年の2月には丸9年を迎え、10年目に入ります。色々な方との出会いに感謝をして、神楽坂でこれからもお待ちしております。
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