季節を細分化する

BERUNです。

台風19号の爪痕が全国各地に残されています。
先週お伝えしていたように、シャツ工場が浸水してしまった影響で、年内はシャツの工場は1枚口のオーダーのみのご案内となりそうです。

先週、福島の郡山までプライベートの用事で行ってきましたが、今だに川沿いの道路脇には家庭内廃棄物の山が並んでいました。
今も断水している地域があり、完全復旧にはまだ時間がかかりそうです。ですが、多くの方は前を向いて、1日でも早く復興をしようと頑張っている姿勢を感じました。

シャツ工場に置いていた生地も流されてしまったため、BERUNで新たに定番生地をおさえておこうと、生地を探し回っておりましたら、素晴らしいものを見つけました。

白の厚みのしっかりとあるオックスフォードシャツ。この折れ曲がったカーブを見ていただいても、かなりのハリがあることを感じていただけることと思います。
こちらとサックスブルーの2色を定番として、店に置くことにしました。BERUNの新定番です。

もう6年ほど前になるでしょうか。オックスフォードが誕生した当時のブルックスブラザーズの生地をそのまま復活させようと、米国の当時の生地のレシピを元に、あるシャツ生地メーカーが特別に利益度外視で織り上げたオックスフォードがありました。その生地を当時、特別に数着分だけ仕入れることができ、それで仕立てたシャツはとても好評でした。今はもう痛んで着られなくなったが、今でもあの生地が一番よかったと言うお客様が何人もいらっしゃいます。それには及びませんが、こちらもなかなか良い硬さです。
ブロードのようなきめ細かな美しい生地も素敵ですが、普段使いとしてガシガシ着るなら、オックスフォードはオススメです。男性のワードローブの永遠の定番です。

生地はすべて出会いです。びびって「全部ください!」と言わなかったことを後悔したことが何度もあります。その反対に、仕入れすぎて、余っているものもあります笑
(そういう生地が自宅、実家にたくさん眠っています笑)

デニムトラウザーズ

BERUN創業当時からずっと支持をいただいているデニムトラウザーズ(デニムスラックス)。
今回、とてもいいデニムを見つけたので、こちらも数着分仕入れました。
仕立て屋でデニム?と思われるかもしれませんが、わたしの中では一本筋があります。

身の周りの洋服、その他諸々を自分が納得のいくものに揃えていく。それをドレス、フォーマルだけではなく、カジュアルウェアもビスポークすることで、その方の最大限の美を高めていくことができます。
オンのときだけ格好いいというのは、日本人にありがちな傾向です。何も雑誌から飛び出したようなお洒落をする必要はありません。オフも自然体で美しくあるということができれば、何にもとらわれず、自分らしい過ごし方ができると思います。

こちらは3年前にお仕立てしたデニムトラウザーズ。カバンの持つ方だけ外側が色が落ち、当たり前ですが、デニムのように色落ちしていきます。

ヒゲもできます。ワンタック、裾はダブル。5ポケットではない、装飾性、カジュアルさのないデニムです。
ここ1、2年で巷でも見かけることは増えましたが、全くストレスのないこのサイジングはビスポークでないと作り出せません。

上品なギンガムチェック

秋物のジャケットも続々と仕上がっております。

Edwin WoodhouseのHyde Park。カシミアが1%入っている秋冬用のジャケット生地です。程よい軽さと硬さがあるため、とても着心地のいい仕上がりになります。英国生地では、あまり合物の生地で使いやすい生地がないため、とても重宝します。
イタリア生地のような派手さはなく、シックな柄です。オンではフランネルのトラウザーズに合わせるといいでしょう。オフではニットを中に着て、デニムに合わせることもできます。

こちらは8年ほど前に、当時お世話になっていた老舗のテーラーの方から譲り受けたドーメルのヴィンテージ生地、TOWN TEXを使用してお作りしたスプリングコート。写真では本当の格好よさは10%ほどしか伝わりませんが、フィッティングをしたときは鳥肌が立つほど格好よかったです。

ブラウンにブルー、グリーンなど、様々な糸色が織り成されている生地です。よくみるとたくさんの色が入っているのに、遠くから見るととてもシンプルなブラウンのギンガムチェック。薄いのに、ハリがある。現行の生地で同じ風合いのものを探すことは不可能です。そのくらい、独特の、特別な存在感があります。

わたしが昔から、これで何を作ろうか、どう料理しようか、、と悩みに悩んでいた生地でしたが、とても洋服好きな方が魂を引き継いでくださるということになり、お仕立てすることになりました。
わたしが作っても、数ある洋服のクローゼットの中に入っていってしまうので、もったいないのです。こういう特別な生地こそ、たくさん着てくださる方にお仕立てしたいと思っています。

こちらは起毛したコットン生地。重さは480gmsくらいでしょうか。ブラウンとカーキの間のようなとても使いやすい大人さのある色です。これから自宅で、半日水に浸け置きし、一度洗濯をし、それから製作に取り掛かります。その一手間をすることで、仕上がったあとに自宅で洗っても縮みが起こりづらくなります。
モールスキン、コーデュロイにいく前に、まだまだ小刻みに季節を愉しむことができます。デニムや中肉コットンが夏よりの春秋だとすると、こちらはまさに秋から履ける秋冬生地です。

着る洋服が細分化されていくと、天気予報を見るのが愉しみになります。明日はあの洋服が着られるな。。とわくわくしながら床に着くのもいいではないでしょうか。
麻のシャツにスプリングコートを着る、というような特別な着方をすることができるのも、今の季節ならではです。パナマ帽はいつまでかぶろうか。フェルトのデビューはいつにしようか。

季節の変わり目だからこそ、できる愉しみを存分にしましょう。

 


Atelier BERUN

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