流行ではなく季節を追う

BERUNです。

2月中旬ですが、日中は17度を超えるような日もあり、まるで春のような日が続いています。
将来この国では、真冬という季節は存在しなくなってしまうのではないでしょうかと心配になるほどの気候です。しかしどれだけ冬が暖かくなろうと、ツイードは勧め続けるでしょう。笑

こちらは先日お渡ししたツイードジャケット。
ブラウンに少しグレーがかった大人さがある色味です。
今まで通年着られるものを好まれていたK様でしたが、この度ツイードデビューをされました。
通年使えるものは、温暖化してきているこのご時世には便利ではありますが、やはり季節が限定されている生地の魅力には敵いません。
K様ははじめの頃、この着丈の長さに慣れるのに少し時間がかかっていたご様子でした。ですが、1シーズン、2シーズンと着ていく内に見慣れたようで、今では既製品のサイズに納得がいかなくなってしまったそうです。ありがたい話ですが、もう元には戻りたくなくなる(欲張りになる)というのが、ビスポークの一面でもあります。本物を知るということは、そういうことなのかもしれません。

ツイードは、お子様がいらっしゃる方にも強くおススメしています。汚れ汚され、傷つけられることでツイードは魅力を増していくからです。
コードヴァンのランドセルのように、手荒に扱っていただきたい。帰ってきたら家に放り投げて遊びに出かける小学生の扱いに耐えうるコードヴァンのランドセルは、遊び盛りの6年間毎日使い続けることを想定して作られています。
(最近では合否の安価な物も出てきていますが、それでは6年使い続けられたとしても、その先にあるのは、経年変化ではなく劣化です。化学繊維の限界がそこにはあります。)
ツイードは元々、作業用のために作られた生地です。シティで小綺麗に着るのはナンセンスといえるでしょう。

さて、ツイードのように冬の素材を存分に愉しんだあとは、暖かい春が来ます。名残惜しいですが、しっかりとお休みさせましょう。
春には春の生地や仕立てがあります。次は春を愉しむ番です。

春のシックなグレースーツ

グレーのピンチェックの生地を使用してお作りしたスリーピーススーツ。(後ろが散らかっていてすみません)
身体が細いK様。細身の方は、既製品を探すと小さくなるか、短くなるかしかありません。そのため、ビスポークで作るとはじめはとても違和感を感じる方が多いです。 上着では着丈の長さや肩幅の広さ、スラックスでは尻の下のゆとり、裾の広さ辺りが気になるところです。
ですが、しばらく見ているとどなたも見慣れてきます。BERUNのフィッティングは、元々人間の身体に理想的なシルエットに合わせただけです。特別なことは何もしていません。

季節を問わず着られるグレー、ネイビーのスーツですが、季節毎に気分を変えたいときは、タイの色を変えていくのがいいでしょう。チーフは遊ばず、年間を通して白をお勧めします。

流行を追う虚しさ

流行は追っている最中は面白いかもしれませんが、一種の魔法のようなものです。
魔法から解けた瞬間、我に帰ると妙な虚無感に駆られます。
近視になり、モノやディテールばかりを追うことで、盲目的に目の前に置かれたものを欲してしまいます。もっと広い視野で、季節、世界を見ていきましょう。
流行はわかりやすく、モノやサイズ、色で我々を踊らせてきます。
今年は何色が流行っているのかではなく、この季節のこの気候だからこの色を選んだというように、自分主体となって決めていく方が、より洋服を愉しめると思います。

流行を追った先には何も残りません。ですが、季節を追うことは、その先の季節を待つ楽しみ、年を重ねる楽しみがあり、気がついたらその季節毎の自分ならではの楽しみ方が身についています。

このように、季節毎にワードローブを揃えていくと、今自分が本当に必要なものが見えてきます。そうやって少しずつ、生きたMy wardrobeを構築していきましょう。

Atelier BERUN

東京都新宿区神楽坂6-8-23

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