BERUNです。
本日、久しぶりに「007」の新作を見に行ってきました。
ただ、恥ずかしながらわたしはまだショーンコネリー時代の初期の「007」しか見ておらず、約40年のブランクありの「007」です。
個人的には、「007」はショーンコネリーだというイメージが強すぎて、どうも2代目ボンドからの作品が見られなかったのです。
それと同じく、現ボンドのダニエル・クレイグが硬派と軟派を兼ね備える「Mr.ボンド」に思えませんでした。
しかしそういう意見に反して周りでは、
とても良かった!
スーツがかっこよかった!
タキシードが着たくなった!
など良い評判を耳にするので、調査を兼ねて見に行ってきたわけです。
結論から言うととても面白かった!
現代のアクション映画自体、あまり好んで見るタイプではないのですが、今回の「007」は退屈しませんでした。
いつもわくわくさせてくれるのが衣装。
スーツが「トム・フォード」に、靴が「クロケット・ジョーンズ」。。
なぜ「クロケット」なのかと疑問に感じたのは隠せない。
なぜ英国を代表する「ジョン・ロブ」ではないのだろう。
それに昔のボンドスーツとは違い、かなりモダナイズされたタイトフィッティングのスーツ。
ここまでピタピタだと銃をしまえないでしょう。苦笑
始まりからハードなアクションシーンからはじまるため、そんな最中わたしは、
「トム・フォードのスーツが、あぁ。勿体無い。。」
なんてビクビクしながら観ていました。
(確か撮影用にトム・フォードの同モデルのスーツが60着用意されていたそうです)
余談ですが、「ミッション・インポッシブル」の「トム・クルーズ」が着ているスーツも、ロンドンを代表するテーラー「ティモシー・エベレスト」のフルオーダー。
血のりが付いたり、ついには破けたときには同じく、
「なんて勿体無い」
なんて思っていました。
他の人と見る視点が違います。笑
ボンドのみならず他の脇役も衣装がかっこいい。
真っ青なシャツにネイビーのブレイシーズ(サスペンダーはアメリカ英語)をつけネイビーのソリッドタイを合わせるコーディネイト。
痺れます!
私のように、英国を愛し、英国服を着て、英国靴を履いておくりびとに送られたい人にとっては、「007」のようにかっこよくブリティッシュスーツを着て、かっこよくブレイシーズを身に着けて映画のシーンに出てくれる作品があると本当に嬉しい。
なぜならそれを見た人が、
「ブレイシーズってカッコイイ!」
「シンプルなスーツでもあそこまでかっこよく着こなせるのか!」
と思ってくれるからです。
イタリアファッションに強い影響を受けている現代の日本に対抗して、「007」のようなブリティッシュスタイルを観て感化されてくれる人が増えると嬉しい限りです。
(衣装提供のトム・フォードはイタリーメイドですが、トム・フォードのスーツは英国調の作りがほとんどです)
今回のファッションの見所は、何といっても3つのスタイルを楽しめた事。
・アクティブな動きを華麗に魅せたモダンな2ピーススーツスタイル。
・極限まで身体のラインを生かしたタキシードスーツ。
・舞台を最後のスコットランドに移したときのダニエル・クレイグとおっさんのカントリージェントルマンスタイル。
ダニエル・クレイグの徹底していた演技の1つは、車から降りた瞬間にボタンを止める仕草を必ずしていたこと。
これは座っているときはボタンを開けているという証拠ですね。
日本ではニュースキャスターの影響で、
「座っているときもボタンは開けていては失礼だ」
などと間違った着方のスーツ文化がはびこっているので、気をつけていただきたいです。
またタキシードに関しては、真っ黒の生地ではなく、ミッドナイトブルーと呼ばれる黒に限りなく近いネイビーを使っています。
これは現代のフォーマルクロージングではこの色を使う方も増えてきています。
この色は夜の会食やパーティなどでの薄暗いライトの中、「黒よりも黒に近い色」と呼ばれる色です。
黒のボウタイにシャツはボタンではなくスタッズを使い、白のブレイシーズでベルトループ無しのトラウザーズを吊るす。
定番のコーディネイトだが、これ以上はない外してはいけないタキシードスタイル。
お見事でした。
そして何より嬉しかったのは、カントリージェントルマンのスタイルに身を包んだボンドを見れたこと。
Barbour(バーブアー)ではないかもしれないが、オイルドコットンのウェアを着てローゲージニットをインナーに差し込んだボンド。
スコットランドのハイランド地方での撮影。
この場所では昔はオイルドコットンのウェアや、ローゲージニットは必要不可欠だった。
もう一ついえばツイードジャケット着るボンドも見たかったですが、今回はなかったのが残念。
射撃練習をするシーンのおっさんのオイルドコットンのロングコートも最高に渋くて素敵でした。
昨年でジェームズ・ボンドは50周年を迎えたそうで、時代が変わるごとに「カッコイイ」という定義は少しずつ変わりはしますが、永遠に変わらないものもあります。
それを教えてくれる作品の一つがボンド映画なのではないでしょうか。
相手を皮肉りながら褒めけなす小粋なブリティッシュジョーク。
こんなジョークを言える男になりたい、と思います。
そう、やはりイギリスには男が惹かれる何かがあるのです。
何事にも媚びない、不器用なまでに芯を持った男。
そんな男に憧れます。
いつも読んで下さっている方々、ありがとうございます。
ベルンでした!
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