BERUNです。
本日2021年2月1日で、BERUNは11周年を迎えました。
何もわからず、自分でやってしまおう!と突っ走った21歳の頃を振り返ると、今こうして大好きな洋服に携わり続けているのが夢のようです。
今までわたしに関わって、わたしの作る洋服を着てくださっている皆様に心から感謝いたします。
日々、見るもの、触れるものが変わり続ける中、物作りに対する変化も日々起こっています。
2010年当初からのお付き合いのお客様は、わたしのことを「今も昔も変わってないですねぇ」とニヤニヤする方もいらっしゃいます。
確かに変わっていないところもあると思います。特に熱量が増してきたときの感じは。。笑
付け加えると、自分としては、芯は変わらず、その周りについているものが徐々に削ぎ落とされていって、シンプルに、より強固になっているなということを実感します。
究極的な飽き症のわたしにとって、10年以上同じことを続けてこれたのは奇跡のようです。それも、トラディショナルという一見代わり映えのしないように思えるものの中で、奥の底の見えないところで微細に華麗に変化し続けているこの世界にどっぷりと魅了されているからだと思います。
これが目まぐるしく変わる現代のファッション業界にいては、すぐに疲弊して飽き飽きしていたでしょう。
年をとる毎に、深みを増していくこの業界は、足を踏み入れるのは早ければ早い方がいいと思います。
ですが、血気盛んは若い頃は、この世界の魅力に気づく人はなかなか少ないです。
パンツは細い方がいい、ジャケットも細くて短い方がいい。オーダーよりはイタリーのブランドものの方が名が通っているからいい、とキメキメバキバキでいたくなるのが、文字通り若気の至りというものですから。
リーバイスが最近のニュースで、
「テーパードの時代は終わった、世界の人はリラックスを求めているから、これからはバギーパンツだ」
と銘打って、ゆったりとしたシルエットのデニムを打ち出し始めました。
こういうニュースに対し、
「自分もこういうシルエットのデニムが欲しかった!さすがリーバイス!」
と、ブランド側が作り出すシルエットに左右されているうちは、本当の自分自身のファッションを追求することはできません。
とことん、突き詰めれば突き詰めるほど、シルエットはフツウでいいのです。細くも広くもなく、無理なく程よくゆとりがあるだけでいいのです。
その一見ツマラナイように思えるシルエットを極めることが、ビスポークの愉しみであるとわたしは思います。
これはブログでも何度でも書いていますが、極論、ファッション云々と言っている時点で、本当のファッションのことなんて理解できていないのかもしれないということです。
呼吸をするように、自分の身体にただ合っている洋服を着ている、という境地に立つことがゴールだとしましょう。
洋服のことなんて1ミリも考えることなく、ただ美しい、という姿になっているのが理想です。
まぁ、そんな境地に一体何人の人が立っているのかという話ではありますが、男ならそこを突き詰めてみるのも一度きりの人生、面白いのではないでしょうか。
境地とは言っていますが、てっぺんは一つではなく、その人の先にあるてっぺんです。人一人に一つずつ、てっぺんがあります。だから誰とも競うわけでもありません。自分が自己を磨いていくことで、自らのてっぺんに登っていくだけです。
これもわたしが目まぐるしいファッション業界から足を洗った理由の一つです。常に一番かっこいい、一番美しい、という他人目線の一番を決める業界に辟易していました。
だからこそピスポークは面白いとわたしは思います。
いつスタートしてもいい、いつ休憩してもいい。どこにゴールを設定してもいい。自分らしく生きること、それがビスポークライフです。
昨年はコロナによって大きな時代の転換期を迎えましたが、ビスポーク、テーラードの価値は増しているのを感じます。
文化は簡単になくすことはできますが、再起させることはとても難しいものです。
コロナを機に日本でも、何十年と営み続けてきた燻し銀な個人店が続々と閉店しています。とても悲しいことです。
それらのような店をもう一度作り上げることがどれだけ大変なことか。
だからこそ、人類が何百年も作り上げてきた洋装の文化を、簡単に奪われるわけにはいきません。
極微力ながらこれからもBERUNは、文化継承、醸造に協力していきます。
毎年この時期はパーティーを開催しておりましたが、今年は叶いません。
また気持ちよく、マスクなしで人と愉しく話せる日が来ることを願うばかりです。
お世話になった方々には、お礼を込めて少しずつメッセージを添えさせていただいております。
そんな12年目を迎えるBERUNを、これからもよろしくお願いいたします!
-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー
東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301
アニバーサリーおめでとうございます!
いつだったかベルリンフィルの主席奏者のレッスンを見た時の事を思い出しました。
その時に感じたのは、
ああ、これは単に教えているって感じじゃない。
文化の伝承をしているんだ
という事でした。
教えるとか、上達するとかいう事を超越しているのを感じました。
これからも良いものを後世に伝えていってほしいと思います。
また忘れた頃に頼みますので、よろしくお願いします。
コメントありがとうございます!!
とても嬉しいです。
小口さんには当時とても支えていただきました。
本当にありがとうございます。
レッスンを見ただけでそこまで感じられたというのが素晴らしいですね。
演者の本気度合いも素晴らしかったのだと思いますし、小口さんの感性もとても素晴らしかったのでしょうね。
またお会いできるのを楽しみにしております。