BERUNです。
我が家の庭も一面土だったところから、ようやく植栽が加わってきました。
田舎に来た価値を、これからたっぷり味わいたいと思います。
衣替え
先週、クローゼットの場所替えが終わりました。わたしの衣替えは、季節以外の洋服をどこかに仕舞うのではなく、取りやすいところから取りづらいところへ移動させるだけです。
日本の気候は洋服を仕舞うことに適していません。半年ぶりにパートナーに再会して激太りしていたらショックを感じるでしょう。同じようにいざ季節が来たと箱を開けたときに、想像を超えるダメージを受けていたときのショックは計り知れません。
特に密閉するような容器は絶対にやめましょう。ホームセンターに売っているような安価なポリ素材のフタ付きのケースは、洋服にとっては過酷この上ない環境です。
これからの季節に気をつけなくてはいけないことはカビ、黄ばみです。秋冬に着ていたときは何も問題がなかった洋服も、半年仕舞うことで黄ばみ、染みが着実に表面化していきます。
わたしもこの前、8年間クリーニングに出していなかったフレスコのスリーピーススーツのトラウザーズの裏地がうっすらカビているのを発見し、慌ててクリーニングに出しました。(神楽坂には信頼できる店があるので安心です。)
このように、表地はぴんぴんしていても、中がやられている可能性もありますので、ぜひ裏返して中も確認もしてみてください。
わたしの春のクローゼットの一部はこんな感じです。ほら、好みが分かるでしょう笑
仕立ても軽いものが多いです。肩のシワをみると、マニカカミーチャ(雨降り袖)のジャケットも多いですね。
基本的に春秋のジャケットはベージュ、グリーン、ブラウン系が多くなります。スーツもベーシックなものも持っていますが、明るめの色が多いです。ベーシックなスーツ地でしたら、これからの季節はフレスコが役に立ちます。
冬のあいだに脳内で暖めていた春物の洋服が仕上がってきました。
今回はそちらをまとめてご紹介したいと思います。
Holland & Sherry Spring Jacket
Holland & Sherryの220~240gmsという、かなり軽い生地感です。この色柄、カッコいいですね。完璧だと思います。
ベージュベースにブラウン、グリーンがグラデーションがかったチェック柄になっています。
春は三者混が多くなりますが、このように軽いウール100%の生地というのもとても着やすくてお勧めです。しかし薄いウール100%生地というのは雰囲気が乏しくなりやすいため、なかなかこれだ!と感じる魅力的なものは少ないです。
ジャケットのウール素材に合わせて、トラウザーズもウールのものを合わせました。
AGNONA Silk & Cotton Jacket
お次はこちら。
AGNONA(アニオナ)社のヴィンテージ生地を使用してお仕立てしました。シルク52%・コットン48%という生地です。
わたしが個人的に作るものはいつも実験です。この生地もシルクが入っていますが、生地を柔らかくしたかったため自宅で洗いとタンブラー乾燥をかけています。アニオナのシルクコットンの生地をここまで手荒に扱う人はなかなかいないと思います。笑
大きく綾織(ツイル)が入っている生地で、全体的にグリーンがかっている、カジュアルながらもエレガンスを感じる雰囲気です。
コットンジャケットのため、肩パッドも外し、カジュアルな仕立てにいたしました。ポケットもフタ付きのアウトポケット。袖ボタンは初めてかな?と思うくらいやったことのなかった2つボタン。
2つボタンは主にアイビースタイルに使われるディテールですが、この雰囲気はどう見てもアイビーではないため、混同することはないだろうとこちらにしてみました。
春はわかりやすくこのくらい洒落感があるのも着たくなるものです。
ジャケットのシルクコットンに合わせて、コットントラウザーズを合わせています。はじめに合わせたウールの上下と比べて、カジュアルな印象を感じるかと思います。
FOX CITY
春秋用のスーツ生地バンチの中で、FOXのFOX CITYというシリーズがあります。
290~320gmsの強撚糸という、マーチンソンのフレスコが台頭している中に、大股で入り込んできた生地です。
これがかなりいい。まずバンチ正面の色がモスグリーン。潔いです。
日本で製本されたバンチは、ほとんどが黒から始まります。これが非常に日本らしいですね。
しかし欧州で作られているバンチは、正面にはこのバンチの”顔”を置きます。いわゆるセンターです。
この一枚目の生地を見ると、大体このバンチが語りたいことが伝わります。
FOX CITYは、マーチンソンや今までの強撚糸の生地とは全く異なる角度から提案してきた春秋用のスーツ生地です。これはお客を取り合わない、お互いにハッピーな新作ですね!さすがFOXです。
(下から撮っているのでドヤ感出てますね笑)
こちらの生地を使ってお仕立てしたスーツ、色はグリーンとグレーの中間です。グリーンが強く前に出ているわけでもないため、ビジネスシーンで着ても全く問題ありません。
このように、テーラードの洋服の楽しみ方も広がりがあります。
ネイビー、グレーに留まらず、様々なスタイルを楽しみましょう!
-Atelier BERUN-
東京神楽坂のビスポークテーラー
東京都神楽坂6-73-15
メゾンドガーデニア301